ksen2006-01-23

少し間が空きましたが、タイム誌の記事からゲイツ財団について補足しておきます。
1.前に、レバレッジ効果について強調しましたが、その前提として、財団そのものの活動内容は何と言ってもimpressiveなもので、それがあってのレバレッジでしょう・・・・290億ドルの総資産のうち約5%を年間支出している。教育・図書館・シアトル地域の活性化に使われているが、主体は世界中の健康問題でこの支出が6割を占める。「この分野では世界で再重要の組織」とはカーターもとアメリカ・大統領の言。将来的には、5%をさらに上げて、水資源・公衆衛生・マイクロ金融等にも広げたいと考えている。
2.1999年に財団を作った背景として、両親の影響が大きいという。財団設立までビル・ゲイツは、社会貢献活動に熱心とは思われていなかった。しかし、亡くなった母親は、2人が結婚した時すでにミランダに手紙を書いて、機会に満ちあふれた2人の未来を祝うとともに責任についても強調したという。一時教師をしていた母親も富裕な弁護士の父親もボランティア活動や慈善活動に熱心であり、「父と母は自分たちのやってることをよく話してくれた」とビルは語る。そして80歳になる彼の父親ビル・シニアはいまフルタイムで財団に関わり毎日オフィスに出勤する。ちなみに、ゲイツ夫妻は財団と頻繁にコンタクトしているが、割く時間は夫妻それぞれ週に15時間、ミランダは月に2回オフィスに顔を見せる。
3.ミランダが子育てにある程度手がかからなくなったことも、財団の活動開始と関係しているようである。ゲイツ夫妻にはまだ小さい3人の子供がいるが、ミランダは末娘が1歳になってから公に活動を開始した。財団を作るにあたって、自分たちの巨額な資産をすべて子供たちに残すのは良いことではないという思いがあったという・・・このあたりはアンドリュー・カーネギー以来の伝統を思い起こさせ、記事でも「子孫に美田を残さず」(直訳すれば「金持ちのまま死ぬのは恥ずかしいことだ(The man who dies rich dies disgraced)」)というカーネギーの言葉が引用されている。2人の資産の殆どは財団に寄贈される。「しかし子供たちにどの程度残すかについてはまだ決めていない。(余談になりますが、末娘の名前は「Phoebe(フィービー)」だそうで、私は、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」に出てくる主人公ホールデンがこよなく愛する妹と同じ名前であることを思い出しました。もともとはギリシャ神話の女神の1人だそうです)。
4.夫妻の役割は、「イコール・パートナー」だという。しかし財団運営ではどちらかと言えばビルが主導権をとり、現場ではミランダの存在が大きいという。バングラデッシュ・ダッカにあるコレラに罹った子供たちの病院を訪れ、なんとも悲惨な状況を目にして、ミランダがビルに「あなた最初にする?」と訊くとビルは「いいや」と答えた、ミランダが進んで病床の子供に薬を与え、ビルは微笑も消え、息をつめて見守っていた、そんなエピソードも紹介されている。
以上、断片的ですが、ご参考まで。