ksen2006-03-06

3月5日(日)の日経読書欄「この一冊」は、前々回ふれた『ウェブ進化論』(梅田望夫ちくま新書)を取りあげています。
しかし、「日本のネット戦略の矛盾つく」という見出しと「本書の真の問題提起はネット上の新しい変革が相変わらず米国を中心に進み、日本がそこにくみしていないことにある」という評(編集委員による)は、いささかピント外れに感じました。
著者が主張したいのは、ウェブ社会がもたらす革命性そのものにあるので、その意見をどう批判的にうけとめるかが私たち一人一人の考えるべきことでしょう。少なくとも、日経の評からは、読んでみたいという気持ちがあまり湧きません。


それでは著者は本書で何を言いたいか?私なりに整理すると以下の通りです。


1.次の10年における三大潮流(①インターネット ②チープ革命(Cheap Revolution)③オープンソース(公開仕様))がウェブ社会に革命的な変化をひきおこす。

2.その牽引役がグーグル社であり、その結果示現するのは、新しいビジネスチャンスだけではなく、ブログに代表される「総表現社会」である。

3.そしてこれら全てに共通する視座は「不特定多数無限大を信頼できるか?」であり、思想の精神的柱になっているのは、オプティミズム(楽観主義)と果敢な行動主義である。


従って、もし日経の評者が「日本のネット戦略の矛盾」を憂うのであれば、問題の本質はネット戦略なんかにあるのではなくて、上記のような思想が日本の社会・文化・システムに根付くかどうかという点にあるだろうと思います。


そして、この、「オプティミズムと果敢な行動主義」こそ、ソーシャル・アントレプレナー社会起業家あるいは社会的企業家)にも共通する資質ではないでしょうか?