タイム誌2月6日号「内向性の利点」


1.珍しく1日しか空けずに書いていますが、我善坊さん有難うございます。
ご指摘の話しは知りませんでしたが、たしかに我々の同世代の日本人には、こういう「家族が大事」発言に否定的な風潮はまだあるかも知れませんね。
アメリカだって似たようなものかも)

2.多少そのことに関係するかどうか・・・
タイム誌2月6日号の「内向性の利点が見直されている」
(The upside of being an Introvert)という文章を面白く読みましたので、
むしろ「下らない」と思う人が多いかもしれませんが、ご紹介します。
あるいは、アメリカ人、アメリカ社会だからこういう話題が関心を惹くのかもしれない。
以下の通りです。

3.もちろん固定したものではなく、かつ程度の差に過ぎないとはいえる。
しかし、人間には「内向的(introvert略してI)」な人と「外向的(extrovert略してE)な人がいて、これは生まれついての性質である。
アメリカの社会は、人々に、外向的・社交的であることを強く期待する」
それは現代になって(情報革命も影響して)ますます強まり、外向的であることが大事、という考えが広まっているように思える。
しかし果たしてそうだろうか?


と筆者は最新の心理学や脳生理学の知見を紹介しながら、「内向性」にも優れた利点があり、専門家には見直されている、経営者にも増えていると指摘し、むしろ「未来の経営者に必要な気質はI」とまで言います。


4. 内向性とはどういう性質か?どういう利点があるか?
を紹介する紙数はありません。
まあ、大勢の人と付き合う時間より、ひとりで本を読んでいる方が好き、といった性向でしょう。
面白く思ったのは、アメリカのリーダーを取上げて、分類していることです。
(1)政治家は圧倒的にEが多い。代表的なのは、JFK, ブッシュ子、ビル・クリントン(超Eとのこと)、英国であればサッチャーチャーチルもE
(2)これに対して、オバマヒラリー・クリントンはI
ヒラリーは「もっともパブリックな仕事をしているが実は非常にプライベイトな人間」とのこと。
前回のブログで紹介したオバマの「家族が大事」という発言を引用して「孤独を好み、パーティより家族との時間を好む性向」を指摘します。
(もちろん内向的であることの弱点・問題もあり、例えば少数の人間のアドバイスを大事にしすぎる傾向、オバマもその欠点から免れていない、とも)

共和党の有力候補のうちロミニーはI, ギングリッチはもちろんE

(3)起業家や経営者で言えば、スティーブ・ジョブズがEで、ビル・ゲイツがIとのこと。
フェイスブックマーク・ザッカーバーグやグーグルのラリー・ペイジなどもIのように思えます。
私がもっともEだと思うアメリカ人は「20世紀最高の経営者」といわれるGEの前CEOのジャック・ウェルチですね。


(4)これに対して、日本の政治家やリーダーはどうか?
なでしこジャパンの佐々木監督はIという気がするが・・・


そもそも日本人は国民性として、Eは少ないかもしれないし、Eを評価する風土もアメリカほどないかもしれない。
よくも悪くもメリトクラシー実力主義能力主義)の社会・競争社会、敗者に厳しい社会・格差社会だからこそ、その負の側面もあって、こういう議論に人々が関心をもつのかもしれない。


しかし、日本社会も変わってきているのではないか?
これまたよくも悪くも「外向的・社交的」なパーソナリティを評価する文化が育ってきているのではないか?
格差の広がりもそこに関係するかもしれない。
ソーシャルメディア」の普及も多少、影響しているかもしれない。


こじつけかもしれないが、いじめの問題も、「内向き」の子供より「外交的・社交的」であることを評価する文化と多少関係があるのではないか?・・・


などと考えた次第です。


5. このように、(アメリカでは)いままで外向性が過剰に評価されていたのではないか。
内向性には(もちろん弱点もあるが)外向的な人間にない「強み・利点・優れたところ」があり、社会としてもっとこの点を大事にすべきではないかというのが筆者の主張です。
しかし同時に、内向的な人間であっても、基本的に性向は変えられないが、社会で生きていくために妥協や調整していくことは必要だし、それは可能であると、筆者は心理学者の説や事例を紹介します。


そもそも「アイデンティティ(自分が自分であること)」には3つの局面がある。
1つは「生来の」パーソナリティでこれは「生物学的アイデンティティ」で変えられない。
2は、文化や家族や社会が期待する「社会的アイデンティティ
3は、自らがこうありたい・或いは自分にとって何が重要かを考える「イデオロギーとしてのアイデンティティ
人間はこの3つを調和させながら生きている・・・・
だそうです。


6. 筆者はタイム誌の東京支局長。
仕事の中で、出席せざるを得ないパーティに出て、世間話・雑談(small talk)をすることぐらい嫌なことはない。
東京のアメリカ大使館での、そういうパーティに出て、あまりに楽しくないのでトイレに入って20分ほど一人でしゃがんでいた・・・
皆さんもそういう経験がありませんか?
という疑問からこの記事を思いついたそうです。



7. 最後に、自分がIかEかを判断する質問が載っていますので、紹介します。

以下の質問に「はい」か「いいえ」で答えて下さい。
1. グループの活動より1対1の会話を好む
2. 文章で自らを表現する方が好き
3. 一人でいても楽しい
4. 富や名声や地位に、他の人よりも関心を持たないと感じる
5. 世間話は好きでない。自分の関心あるテーマを掘り下げて話し合う方が好き
6. 良き聞き手だと言われることがある
7. 大きなリスクを取るタイプではない
8. 仕事をするときに中断されるのはあまり好きではない
9. 誕生日はごく少数の友人か家族と祝いたい
10. 口調が柔らかい・優しいと人に言われることがある
11. どんな仕事をしているか、終わるまで人に話したくない
12. 人と対立するのは好きではない
13. 一人でやる方が良い仕事が出来る
14. 考えてから喋ることが多い
15. 外に居ると、どんなに楽しくても疲れる
16. 電話を鳴っていてもボイス・メッセージで聞くことがある
17. やることがたくさんある週末よりも、何も予定の入っていない週末の方が好き
18. 一度にいろいろやることがあるのは好きではない
19. 物事にたやすく集中できる
20. 教室では、ゼミより講義を聞く方が好き

注:決まった得点の目安がある訳ではなく、誰でも両方の性向を備えている。しかし、「はい」という答えが多いほど「内向的」ということは言える(逆もまた然り)