「幕間に読む」本を送って頂きました。

  1. 京都の岡村さんが文庫本を送って下さいました。

(1)永六輔さんの『明るい話は深く、重い話は軽く』(光文社文庫、2003年)。

(2)「幕間に読む本かも知れません。出掛けた喫茶店で読むのに適していると思ったのです。無理してでも読んで頂ければ幸いです。」。

(3) ご親切に感謝しつつ、アドバイス通り、散歩コースの大学構内のカフェで早速読みました。

2.岡村さん自身読書家です。毎朝「イノダ」に座ってコーヒーを飲みながら必ず分厚い書物を拡げています。

前回のブログで映画「いちご白書」を取り上げましたが、映画のもとになった原作の邦訳が昔角川文庫から出ていて、これを読もうと京都の本屋をあちこち探し歩いた由。

3.この本、とても読みやすいです。

(1)永さんの「土曜ワイドラジオ東京」は聴取率トップの番組だったそうですが、「四散する電波の中の言葉を活字にした」。

(2)様々な話題を短く取り上げます。

有名・無名な人々の話が多いです。

(3)古き良き日本語への拘り、IT社会への違和感、付き合いのある文化人の思い出、農業や平和への思いなど。

例えば「ラジオと活字(本)の共通点は、想像力を刺激すること」と言う人を紹介し、「それ以外のメディアからはこの刺激はもう得られない」と共感します。

4.題名通り、重い話をさらっと取り上げるところも、心に残ります。

(1)例えば93頁、「付き合わなくてはいけないニュースがあります。体が発信している体の情報です」と書いて、

 「同じように、家族の体の情報にも気をつけよう。食欲はあるかな、顔色はどうかな‥・・大丈夫?」そして「大切な家族を喪った、僕からのアドバイス」と続けます。

(2)「大切な家族とは?」と思って読み進むと、107 頁で遠藤周作のお陰で、「開業ナースの方たちと知り合いになり、それが昌子さんの介護に生かされ、幸せな最期を送ることができました」。

 

(3)そして最後に奥様に触れるのは、第4章「話す」。

―「妻が亡くなって六日目、いつものラジオ生放送に出演しました。それは外山恵理アナウンサーがいてくれたからでした。外山君はその二年前、お父さんが亡くなった翌翌日に健気にも僕の番組をその死を悟られない努力をして務めてくれたのでした。(略)外山君に出来て僕に出来ないわけがない、そう思ってマイクに向かった。

 マイク越しに見る彼女の大きな目が、僕の代わりに泣いていました」。

  1. 永さんは、1933年生まれ、2016年83歳で死去。

(1)奥様は2002年68歳で亡くなりました。「大変な愛妻家として知られる」。本書はその翌年の出版です。

(2)代々続く浅草のお寺の生まれで、父親は16代目住職。

(3) 仏教の教えを身近に感じて育ち、「いなせ」な江戸っ子だったでしょう。

(4)代表作は『大往生』(岩波新書、1994年)。200万部を超える大ベストセラー。早速図書館で借りてきました。彼だから書ける本だろうと思います。