憲法記念日も蓼科で過ごしました。

  1. 先週、茅野駅から「あずさ」で帰京しました。車窓から眺める山々や新緑を楽しみました。

  1. 2週間の蓼科滞在を報告した前回のブログにいろいろコメントを頂きました。

ドイツ在住の刈谷さんは、今年からライン川沿いの河川敷で家庭菜園を始めたそうで、野兎の被害を心配しておられます。

私のところでは鹿除けのネットを張るのが一仕事です。

刈谷さんも、作物を育て、収穫し、自然の恵みに感謝しつつ、おいしく頂く喜びを味わってもらいたいと願います。

  1. 昔、この田舎家に遠路はるばる、神戸から来て頂いた高橋さん、宇治からの田中さんからもコメントを頂きました。

田中さんは、当時京都で一緒に活動していた仲間との「研修会」と称する集まりに、ご自分で愛車を運転して来て下さいました。懐かしい思い出です。

 

  1. Masuiさんもこの地を奥様とよく訪れるので、「中央高速道路は自然の中を楽しくドライブ出来るので大好きな道路です」とあります。

 私は、毎年4月中旬、ドライブの途次、山梨県釈迦堂のパーキングエリアで車を停めて、少し登ったところにある花桃や桃が咲き乱れる花園を散策するのが大好きでした。以下は、昨年の写真です。もう訪れることもないでしょう。

  1. 岡村さんは、亡くなられた奥様が茅野出身で、旅先で知り合い、大恋愛で結婚されたそうです。よく奥様の実家に出かけては、農作業を手伝った由。「縁側から眺める八ヶ岳が好きで休み毎に出かけて行きました。今更ながら、祇園町みたいな環境の違う所によく来てくれたなぁと思います」という、思いのこもったコメントを頂きました。

  1. ということで、皆様から頂いたコメントに感謝しつつ、滞在時のことを思い出します。

 田にはすでに水が張ってありました。しかし、田植えはまだでした。もう無事に稲が植えられたことでしょう。

 雨の日は、一日中狭い居間に二人で過ごし、ストーブで暖まりながら、本を読み、音楽を聴き、PCをいじりました。

  1. 読書と言えば、3月に88歳で死去したノーベル賞受賞作家の大江健三郎の、840頁もある『自選短編』(岩波文庫、2014年)を、蓼科でも読み続けました。

(1)本書の「あとがき」で大江は、漱石の『こころ』は,「時代の精神」をはっきり表現しえた小説として特別な作品だと思うとしつつ、

(2) 自作の短編からも、自分の生きた「時代の精神」を読み取ることが出来るだろうと述べ、

(3)その上で、「漱石の「明治の精神」を僕自身にあてはめると、「戦後の精神」になる」と続け、それを以下のように語ります。

「十歳で戦争が終わり、(略)十二歳で日本国憲法が施行され(略)「良い時代」になったと思った」。そして、

今七十九歳の僕にとっては、六十七年間ずっと「時代の精神」は不戦と民主主義の憲法に基づく、「戦後の精神」でした」。

(4)この「あとがき」から9年経って、今年接した訃報です。

 彼とともに、戦後というひとつの時代と「精神」が終わったのかもしれない・・・・そんな寂しさを感じながら、憲法記念日の5月3日に読み終わりました。