NZのジャシンダ・アーダーン前首相のこと

  1. 今回は、いささか旧聞です。まずは、4月に行われた統一地方選挙の総括です。

(1)5月1日の毎日新聞社説は、

 「統一地方選は、投票率低下や議員のなり手不足など課題を浮き彫りにしたが、前向きな動きも見られた。女性当選者の増加である」と述べ,女性の当選者が過半数や同数を占める地方議会が幾つも生まれたと報じました。

 長女夫婦の住む杉並区では、区議会議員は男女同数になった由(区長はいま女性

です)。

 

(2)また同紙の元村論説委員は、「今回、88市長選に女性28人が立ち、7人が当選した。東京の区長選は3区で女性が当選し、合わせて6区が女性リーダーになった。男女比と同じ「50対50」には遠いが、わずかでも前進することが大事だ」。

  1. そんな記事を読みながら、ニュージーランド(NZ)のジャシンダ・アーダーン前首相が4月5日、議会で行った「別れの演説」を思い出しました。

 (1) アーダーン前首相は、2017年にNZ史上最年少の37歳で首相に就任。翌年には現職の首相として初めて産休を取得し、生まれた長女を連れて国連総会に出席し、話題になりました。

  任期途中の本年1月、「力が残っていない」として辞任ならびに政界引退を表明し、今回の演説となりました。

 (2) 彼女については、度々ブログで取り上げました。

モスクで51人が殺害された2019年の銃乱射事件や、コロナ感染、火山の噴火など 困難な出来事に見舞われましたが、心のこもった対応で世界的に高く評価されました。

「親切は力であり、思いやりは実行可能であることを、身をもって示した」と評され、本人の言葉「この国は小さく、遠い国です。そういう私たちが唯一世界にリーダーシップを発信できるのは、モラル(倫理)の大切さなのです」も引用されました。

 

郷里での人物評も紹介されました。「ジャシンダはいつまでたっても、ただのジャシンダ、公私ともに同じ人間だよ。いまも質素な暮らしをし、飾らない人柄、普通の隣人のような女性だ」。そして、「親切で誰もの幸せを願う彼女のスタイルは、生まれ育った「小さな田舎町の暖かさ」を身につけていることから来るんだ」。

3.「最後の演説」は約40分、今もYoutubeで視聴出来ます。

(1)彼女は先住民マオリの伝統衣装を身にまとい、最初と最後をマオリ語で語りました。終えると、暖かい拍手とマオリの踊りの中、議員一人一人と抱き合い、別れを惜しみました。終始、彼女の人柄を象徴する暖かな雰囲気でした。

 

(2)最後は自分自身について率直に語り、次世代にメッセージを送りました。

「私の人生に特別なことは何もありません。父は排水工の息子で警察官になり、母は農家の出で、学校の食堂に勤め、二人とも本当によく働きました。妹と私は、家族で初めて大学に進学しました。アルバイトを掛け持ちする学生生活でした」。

(3)自身を「繊細で心配性」だと言い、夜も眠れない日が多かった、弱虫で涙もろく、タフな人間では全くなく、出産にも大いに悩んだ・・・等々。

 

(4)そして「そういう人間でも、政治家になり、首相にだってなれる」と締めくくり、若者や女性に励ましのメッセージを送りました。

 

  1. 世界的な高い評価に比して、国内では保守派からの批判も強いと地元の新聞は伝えます。しかし、この日の議会演説は感動的だったと評しました。

NZは小国であり、いろいろ問題も抱えています。しかし、1893 年,世界でいちばん最初に女性参政権を定めた先進国であり、核禁止条約の批准国です。英語とマオリ語と並んで、手話も公用語だと長女が教えてくれました。