私たちの読書会

1.前回は、翻訳家の向井和美さんが読書会への愛着を語った、『読書会という幸福』を紹介しました。もとは雑誌「世界」に連載されて、岩波新書の一冊になりました。

(1)たまたま、その日の午後、私たちが「談話会」と呼ぶ読書会がありました。

課題本について皆さんの活発な意見が出て、喫茶店での二次会が続き、楽しい時間でした。

(2) 最近の私たちがどんな本を読み、語り合ったか、直近の過去6回を振り返ると以下の通りです。

・昨年6月―『西の魔女が死んだ』(梨木香歩,新潮文庫)

・同7月―「谷川俊太郎詩集」(NHKの「100分de名著」をテキストに)

・同9月―『青い壺』(有吉佐和子、文春文庫)

・同10月―『センセイの鞄』(川上弘美、文春文庫)

・同12月―『遠い山なみの光』(カズオ・イシグロ、小野寺健訳、ハヤカワ文庫)

・今年1月―『濹東綺譚(ぼくとうきだん)』(永井荷風、岩波文庫)

・そして今回3月22日は、―『日本人と日本文化<対談 司馬遼太郎&ドナルド・キーン>』(中公文庫)でした。

  1. こうやって振り返ってみると、

(1)課題本は誰かが話題にして、何となく決まるのですが、手軽で読みやすい本、小説が多いです。社会科学系などの硬い本は、読むのに時間がかかる理由もあるのか、選ばれにくいです(しかし皆さん、ひとりでは実によく読んでいます)。

(2)選択にとくに一貫性はありません。しかし、「つまらない本を読んだ」という感想が出たことは一度もなく、毎回満足して、活発な意見が出て、盛り上がります(私個人としては、「物語」の方が皆さんの多様な「読み」が表明されて、面白いです)。

(3) ただし、この1月に読んだ『濹東綺譚(ぼくとうきだん)』の時は、とくに女性の反応をちょっと心配しました。もともと昭和12(1937)年に朝日新聞に連載された、こんなに古い小説を今も「読んでみたい」と賛同する人がいて、その点は面白いなと思いつつ、若干の懸念もありました。

(4).本書は、「老いを迎える一人暮らしの作家、「わたくし」と、隅田川の東、向島の私娼の町、玉の井に暮す、私娼のお雪との淡い交情を綴った名作」(川本三郎『陽だまりの昭和』から)と評されます。

皆さん、この評価を素直に受け入れて読んでくれたようで、安心しました。