英国のパブでビールを飲む

柳居子さん、コメント恐縮です。

ほめられるようなことはしておらず、趣味みたいなもので出発直前にも墓参に行きました。
娘夫婦が異国でそれなりに暮らしているかどうかを見てくるというのが旅の主目的ですから、帰朝の報告は自然な行動でした。

それとこの年になると、なんとなく死者との距離が近くなるというか、自分の立ち位置が地上から少しお墓のほうに近づいたかもという気持ちがしてお墓に親近感が沸いてくるのです。

柳居子さんのほうは、ブログを拝見していますが、お嬢さんが京都外大西高の野球部マネージャーをされていた由。
私もテレビで応援していましたが、甲子園の敗退は残念でしたね。


当方は、まだまだ英国報告、やはり人間、飲んだり食べたりも大事なので少しその辺の話も・・・・ということで、今回は、パブで過ごした時間です。

1. パブという場所はよく分からないが、とにかく英国を旅しているといちばん頻繁に目に付く「居場所」という気がする。明らかに、喫茶店やカフェよりも多いし、存在感もある。「英国の田舎のパブ」なんていう写真集もあるくらい。

たしかに、田舎を訪れると写真を撮りたく
なるような風情のあるパブが至る所にある。

2. 例えば、ロンドンから電車に乗って3時間弱、エクゼターというまあ大きな地方都市でレンタカーをしてダートムア国立公園の端を走りました。


あちこちドライブして2泊した帰り、車を返して電車の待ち合わせでエクゼター駅の近くで休憩しようと思ったが、スターバックスマクドナルドもない。あるのは駅前のホテル内のパブだけ。ということで、そこで遅めの軽い昼食とビールを飲みました。

金曜の昼すぎでしたが、地元の・ごく庶民的な人たちが、1人または連れ立ってきて、みなビール(だけ)を飲んでいる。

ほとんどが、食べるものを注文せず、ただビールだけを飲んで、ゆっくりした時間を過ごしている・・・・


吉田茂の息子、吉田健一によれば、「ぼんやりそこのビイル、ジンなどを飲んでいると何となく落ち着いてきて時間がたっていくのが気にならない。まず自分の家で飲んでいる感じだとでも言ったところだろうか」(ちくま文庫『英国に就いて』所収)


3. ビールの種類はいろいろあるが私はあまりこだわりがないし、よく分からない。ただ、注文は「ワン・パイント」か「ハーフ・パイント」で、つまみもなしに、これを2杯も3杯もお代わりして飲んでいる人もいる。値段は、銘柄によって多少違うが、私がよく飲んだフォスターのラガーで、ワン・パイント2ポンド40
法貨で約340円)。
この、値段の安さ、手ごろさも、気取りのなさと共に、パブが喫茶店なんかと違って庶民の「居場所」として定着している理由の1つだろう。


4、前にも書いた、娘夫婦の家のある「オタショウ(かわうそ林)」という小さな村にも、スターバックスマクドナルドもない。あるのはパブだけ・・・・ということで、滞在中、ひとりで散歩がてら3回立ち寄りました。


ワン・パイント頼んで、カウンターで注文してお金を払い、自分で手に持って庭の卓まで運び、椅子に座って、1時間ぐらいかけて、
つまみもなく、ビールだけをゆっくり飲む。たまたま、この地で買った、ダン・ブラウン(『ダ・ヴィンチ・コード』の作者が昨年
出した最新作)の『ザ・ロスト・シンボル』を読みながらの、なかなか快適な時間でした。

どうも日本のファストフッドの店で仕付けられているせいか、飲み終わって立ち去るときに、空になったコップをカウンターまで下げにいきましたが、そんなことをしているお客は他に居ませんでした。


因みに、ダン・ブラウンの第5作になる本書は、評価が分かれているようですが、米国の首都ワシントンを舞台に、フリー・メイソンの組織をめぐる謎やシンボルを取り上げたものです。物語の展開にはやや不満もあるが、首都のさまざまな建物との、或いは初代大統領ジョージ・ワシントンの、フリー・
メイソンとのかかわりやシンボルを読み
解くパズル的説明など、そういう面からは
実に面白い読み物です。


ペーパーバック670ページと少し長すぎるのが難点ですが、これ定価は7ポンド99(約1100円)ですが、新刊をエクゼターの本屋で、3ポンド79(約550円)で売っていました。


最後はパブの話からそれましたが、次回は
紅茶とスコーンについて触れるつもりです。