「お茶の時間」の紅茶とスコーン

さわやかNさん、グーグルの
「イメージ検索」でottershawのパブを
検索していただいた由、有難うございます。キーワードは、「Ottershaw, Pub, Harvester」ですね。私もやってみました。
ハーヴェスターというのはどうもチエインの店の名前のようです。


エクゼター(Exter)は私もやってみたが
出ませんでした。ホテル内のパブでホテルの名前も忘れまして。


ともかく、パブは、「入りやすくて、どこの飲み屋は贅沢ということもないから選ぶ手間も省けて、入ってみればたいがいどこのも似たりよったりの作りがしてあり」(吉田健一)ということで、1杯のビールで、他人の目を気にせず、好きなだけの時間のんびり居られるというのが最大の利点でしょうか。

昔、大学生のときに、大学の近くに、1日居ても300円という居場所があって、学生が思い思いに碁を打ったり麻雀をしたり昼寝をしたりしていた姿を思い出します。


英国人のよく使う言葉を借りれば、パブは概して労働者階級(ワーキング・クラス)の「居場所」であり「時間の過ごし方」とすれば、もう少し気取った、中産階級(ミドル・クラス)にとっては「お茶の時間」ということになるのでしょうか。


また吉田健一を引用すると、
「午後4時から4時半というのがお茶の時間になっている」


「一日のうちでこれが一つの区切りになっているようで、お茶の時間になればその日の仕事も一応は終わったという感じがする。それでゆっくりして、友達と話し合う気分にもなるのだろうか」


まあ、この忙しい現代では、これで1日の仕事が終わったというわけには行くまい。
しかし週末などの「午後のお茶の時間」には今でもそういう雰囲気があるだろうと思う。

勤勉な日本人の趣味に合うかどうか。

それにしても、この猛暑というのに、皆さんよく働きますね。

それに比例して生産性は上がっているのなら結構ですが・・・・。

他方で、どうも、「働く」「忙しい」という姿勢を見せないと何となく気が引けるという雰囲気も日本社会にはあるのではないか。


昔の私の職場はやや例外でしたが、よその会社でよく、「忙しい」「「忙しい」と嬉しそうに、かつ自慢げに言う人がいました。
中には、「忙しいのは君の労働生産性が低いからではないのか」と皮肉を言いたくなるような人も居ました。

そういう「文化」と「午後のお茶の文化」、だいぶ違うでしょうね。



ということで英国に居るとこちらものんびりして、旧知の佐藤夫妻に連れていってもらって、週末、近くの「グレイト・フォスター」というマナー・ハウスでお茶を頂きました。

以下、お茶についての雑な感想です。

1. お茶の種類
 紅茶とスコーンを頼もうと思ってメニューを見たら、「グリーン・ティー」「ホワイト・ティー」「ブラック・ティー」の3種類に分かれて、それぞれにたくさんの銘柄がある。
 英語で「グリーン・ティー」は日本茶だと思っていたが、ここではすべて紅茶のことらしい。
 説明を聞いたが煎じ方に違いがあるらしく、「普通の紅茶は?」と訊いたら「ブラック・ティー」「その中でも普通のブラック・ティーは?と訊いたら「イングリッシュ・ブレックファスト」と答えるのでこれを頂きました。

2. スコーン

 林望氏の『イギリスはおいしい』で、132頁から6頁以上かけてその作り方を説明しているので、ご存知の方も居るかもしれない。

私は、作り方だの成分だのにさっぱり興味がないが、ともかく、甘みのない、「外はサックリして、中はしっとりと柔らかい」という代物。

リンボウ氏の言葉を借りると、「焼けて来ると、生地の横腹のあたりに割れ目が生じ・・・「狼が口を開けたような」と評されるスコンの美しい焼き上がりの姿」

「食べるときは、この割れ目に沿って上下2つ割りにして、そこへバターなり、ジャムなり、クロッテッド・クリームなりをたっぷりと塗ってたべる。それゆえ、スコンには、余分の甘味があっては叶わないのである」。


3. そういえば、グレイト・フォスターでは訊かれなかったが、紅茶を頼むと、
「ブラック、オア、ホワイト、サー?」と訊かれることがある。

要は「ミルクを入れますか?」という質問なのだが、これ日本ではもちろん聞きなれない言い方だし、アメリカでもまず言わないように思う。

英国で久しぶりに、この表現に出会って、最初は戸惑いました。


ちなみに、「グレイト・フォスター」ではお茶の銘柄によって、ミルクを入れるかどうかは決まっている。例えば「アール・グレイ」には普通ミルクを入れては飲まない。だからこういう質問はしないのだ、という説明でした。


4. 紅茶を頂きながら、仲間とおしゃべりをするのももちろん楽しいが、こういう会話をウェイトレスと交わすのも実に楽しい。

この点はもう少し補足したいところですが、長くなりすぎたのでこの辺にしておきます。