錦織選手と白鵬が頑張っていると思う

1.人質として拘束されていた後藤健二さんがイスラム国に殺害されたという恐ろしい現実を目のあたりにした日に、更新をしています。
おびただしく「死」が溢れる外の世界と、よく晴れた空を見ながら書斎で静かに過ごす日常との対比が異様に感じられます。もちろん、「死」はいつ何時といえども私も狙っているわけですが・・・・

2.arz2beeさん有難うございます。圭選手の全豪オープンは残念でしたね。またの活躍を期待しましょう。
英語のやりとりと日本語とでは微妙に違うというご指摘、興味深く読みました。
喋っている本人は、どちらが本音かと言えば、おそらく答えられない、両方ともとしか言いようがないのではないかと思います。


圭選手の場合、14歳から4年間、孤独なアメリカ暮らしをしたこと、そこで、テニスの技量のみならず、母国と違う思考と行動様式を肌で感じ、ある程度は自らも身に着けたであろうこと、それがテニスの強さにつながるであろうこと。
かつ、そこには、「日本は個人主義が弱い。これでは世界で戦えるプロテニスの選手にはなれない」と考えて後押しした両親の存在があったこと。
前回紹介したタイム誌はそんな事々に関心を持ったようです。


タイム誌のアジア版が圭選手の写真を表紙に載せて、特集記事を書いているのは、彼がいかに注目されている証左だといえましょう。
とくにこれが、テニスということも大きいと思います。
四大大会を頂点とするテニス、やはりこれは西欧のスポーツ文化で、そこにアジア人が頑張っているという意識が、欧米のメディアに強くあるのではないか。


3.日本の場合、言うまでもなく、勤勉で、礼儀正しく、規律を守り、上下関係にけじめをつけいわゆる「人間関係の空気を読む」ことを大事にする。
他方で、アメリカの、自由に自分の意見を言い、行動することが評価される、その代り、他人や社会のせいにすることが厳しさ、その違いと言ったらよいでしょうか。
タイム誌の記事によると、圭選手は「もちろん僕は日本が好きだし、ここが故郷です。でも、日本ではリラックスできないのも事実なんです」語っています。
もちろん有名人だから、当然だろう、と思う人も多いでしょう。
しかし、それだけではなく、「普通の日本人と少し違う、そしてこの国ではリラックスすることができない」、そんな風に感じているのではないか。そして、その意識は、彼のような超有名人だけでなく、普通の若者でも感じることがあるのだということを、『コミュニティを問いなおす』(広井良典ちくま新書、2009年)から、少し長くなりますが、引用しましょう。

期末レポートに書いた広井先生のゼミの学生のレポートです。


―――私は初めてブラジルに行ったとき、「同じ人間なのにどうしてこうも文化が違うのだろうか」と驚いたものだった。何しろ考え方が日本とは全く違うのだ。
まず、日本からきたわたしが彼らの中にいてまったく気を使う必要がない。 相手が他人であろうが親しい人であろうが、表裏なく接し、気軽に話をし、かつ会話がとぎれない。日本でいうところの「空気」が存在せず、他人の目を気にする必要がない。・・・・
 私は日本に戻ってきてから、日本社会に違和感をもつようになった・・・・・


4.他方で、圭選手との対比で、興味深いと思うのが、大相撲初場所で33回目の優勝を成し遂げたモンゴル人の横綱白鵬関です。
言うまでもなく、日本もモンゴルも二重国籍を認めません。アメリカ、英・仏・独などの欧州やブラジル、イスラエル、トルコ等の多くの国であれば、両方の国籍OKですが、白鵬日本国籍を取ればモンゴル国籍を放棄しなければ
なりません。これは心情的に厳しいだろうなとは、同じ決断を私たちが迫られた場合を想像すれば理解できると思います。


その彼も、少年時代から、家族と離れてたった一人で、言葉も文化も違う国にやってきて、孤独な日々を送ったはずです。苦労して技量をみがき、日本語も熟達し、国技といわれるスポーツのチャンピオンにまでなりました。


しかし、やはり自分は普通の日本人とは少し違う、この国で完全にリラックスすることができない、モンゴルに帰っても、同じように感じる・・・・
圭選手の気持ちが理解できるのではないか、そんな気がします。


おまけに、相撲はテニスほどグローバルではありません。
日本と日本人の伝統と価値観を象徴するものと多くの日本人が思っているのではないか。
その好例として、今回のいわゆる彼の「審判批判問題」があるように思います。


我が家で購読している東京新聞は、スポーツ・芸能が得意な新聞ですが、初場所14日目の稀勢の里戦で取り直しになった審査員の判定に不満を述べた白鵬について、詳しくかつ厳しく報道しています。

「協会は強い指導力を −記者の目」だの
「大横綱としての品格を」
「「相撲界を考えて」大鵬夫人も注文」
宮城野親方が謝罪、北の湖理事長「厳重に注意」」「白鵬無言貫く」
そして本日の朝刊にはついに、「白鷗、TVで初の謝罪」と報道されます。


相撲は国技であり、品格が大切で、審判の判定に文句を言うのは品格に欠ける・・・
そういう価値観をよしとする日本人が多いからこそ、こういう報道姿勢になるのでしょう。
私個人は、変り者なのか、「空気」なんか気にしないで、自由に意見を言うオープンな社会が大好きですから、文句ぐらい言ったっていいじゃないかと思う者です。


何れにせよ、異なる文化と価値観のもとで暮らすというのは、緊張を強いるだろうなとしみじみ思います。


5.いうことで、本日の更新を終わりますが、実は、数日間、PCが壊れてしまし大いにストレスがたまりました。
昨年末から風邪からくる咳がとれない、ところがいい加減な人間ですから、熱いお茶を飲みながらPCをいじっていたら、むせてお茶をPCの画面にこぼしてしまい、動かなくなりました。さすがに精密機械は繊細なものだと痛感。
結局、PCを買い替えざるを得なくなり涙を呑んで新品を購入し、ソフトも別に希望もしないのに「ウィンドウ7」から「8」に変えられ、目下苦労しながら、対応しているところです。
「7」で十分満足しているのに、アメリカ式のやり方というのも強引だなあ、公正な審査員が欲しいなあと、大いに文句を言いたい気持ちです。