横浜での同期会で京都曲水の宴の話を聞く

1.前回は「碌でもない話」にお付き合い、有難うございました。

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麻雀で某氏夫人が、出来ている四暗刻の1枚を落として頭にして、両面待ちにして上がった話を書きました。

藤野さんの「僕なら五索か六策のどちらかを捨てます。四暗刻単騎の魅力には勝てません。それにしてもご夫人の勝負勘は素晴らしい。役満というロマンを捨てて、実利を獲った」とありました。

下前さんは「日本麻雀連盟認定の五段」だそうで免状を稲山連盟会長(もと新日鉄の偉い人)から頂戴したそうです。「いろいろな楽しみがある」、例えば母上が介護施設で麻雀の仲間に入ったが、すぐにやめてしまった。「いくら勝っても一銭にならないし、面白くない」という理由だそうです。

いやはや、京都の方は「雅」専門と思っていたら、麻雀のような遊びにも強いですね。 

2他方で麻雀をやらない沢崎さんからは、例の忘れられないラグビーの試合でも、重要な選択肢があったというコメントを貰いました。

(1)「すぐに連想したのが、2015年ラグビー、ワールド・カップでの日本対南ア戦。

ヘッドコーチ(日本語では(エディ・ジョーンズ)監督)はペナルティゴールを狙うよう指示したのに(残り時間からして引き分けに持ち込める公算が高い)、選手たちは従わず、敗けるリスク込みでスクラムを選択し、トライを取りに行った。

NZ出身の関西人のトンプソン選手は「歴史を変えるのは俺たちだろ!」と鼓舞したそうです。」

➜結果、最後の数秒でトライに成功し、逆転勝利、優勝候補の1つ南アを倒した。

(2)この時、実は沢崎夫婦は現場にいましたが、私も英国の娘の家でテレビ実況を見ていました。大変な騒ぎでした。翌日、お堅い「タイムズ」も一面に写真入りで取り上げて、「信じられない」「ラグビー史上最高の試合」といった見出しが並びました。

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(3)私はラグビーは詳しくないのですが、監督の指示を選手の自主判断で変えられるというルールが素晴らしいですね。

もちろん失敗したら選手全員が責任をとる、これが「遊びは勝ち負けよりも大事なことがあるのだろう」というコメントに繋がるのでしょうね。

麻雀での選択で四暗刻を選択して、結果振り込んでも,ラグビーと違って歴史が変わるわけではない、本人の麻雀歴に名誉の記録が残るだけ。しかし、大事なのは、2つの選択肢のどちかを選ぶかを自分で決める、このことだと思います。

後ろから見ていた私は、「四暗刻を残したら」とアドバイスしたくなったかもしれませんが堪えました。決断するのは最後は自分です。

また「AIだったらどうだろう?リスクを避けて索子2枚を残したのではないか?」というコメントも面白いですね。何でもAIになってしまう未来は、リスクを避けることが最優先するような社会でしょうか?

f:id:ksen:20190416110333j:plain3.ところで我々老夫婦は先週は風邪でダウンし、熱も出て水曜~土曜(昨日)までの予定をすべてキャンセルしてもっぱら寝ていました。

その前の16日(火)にどうしても外せない用事があって、ここで無理したのもこじらせたかもしれません。

「不測の事態で疲労が重なれば、風邪を引くのは正解かもしれません。この際は頑張らないで敗北宣言。しっかり寝込んで英気を養う。これが東洋医学の教えるところ」というアドバイスに従っていますが、現役の働き盛りはこれが出来ず、申し訳ないことです。

16日(火)は、毎年恒例の元の職場の同期会でした。

男性だけは毎月集まって、国際情勢(BREXITや、そろそろ米の中間選挙も話題になる)の話などをします。

4月は総会でミセスにも声を掛けます。逝去した同期のミセスも有資格で今回も物故者10人のうちの2人を入れて13人の女性が参加、18人の男性と合わせて31人でした。

この幹事をやらされ、おまけにいつも議事進行の担当なので、風邪ぐらいでは休めません。この日も、横浜のホテルのレストランを借り切って、ウェルカム・ドリンク、昼食会、そのあとの二次会と続き、帰宅したのは午後5時過ぎで、声がすっかりつぶれてしまいました。家人と二人で即ダウン。以来、ただいままで近所の医者に行くほかは外に出ていません。本日も予定を一つキャンセルし、世田谷区の選挙(区長&区会議員)の投票にだけは行くつもりです。

4.いつも、たまに参加した男性や女性(月例会の資格はないので)に「挨拶」をお願いしていますが、今回は新しい趣向として、皆で合唱(斉唱ですが)をしました。

大学のコーラスOB男子が3人いるので、彼らに音頭をとってもらい、以下の2曲。

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滝廉太郎の「花」(春のうららのすみだ川♪)

ヴェルディのオペラ『ナブッコ』から「Va,pensiero」(行け、我が想いよ、金色の翼に乗って)

決して強制ではないことは強調したつもりですが、さすがに女性の皆さんはそこそこ歌ってくれました。

前もってYoutubeのサイトや歌詞やイタリア語のカタカナを事前に流したこともあり、コピーを取って持参してくれた方もありました。

サイトはロンドンのコベントガーデンでのもの。

https://www.youtube.com/watch?v=P_Y-yJBa8FA

ロンドン勤務者も多いので、このサイトを見て、ご夫人も興味を深めてくれたかも。

まあ余興です。 

5.何人かに「挨拶」をお願いしました。その中の1人、某さんが京都から前日帰ってきたばかりという報告でこれが貴重な体験なので、最後に報告します。

f:id:ksen:20190419075044j:plain(1)14日(日)に京都の上賀茂神社で毎年恒例の「曲水の宴」が開かれて、これに参加した。

今年のお題は「山吹」で、応募したところ、何と「天」という最優秀作品に選ばれた。選者は歌人永田和弘氏(元京都大学、細胞生物学)である。

(2)曲水の宴とは、流れに添って歌人が座り、歌を一首よんで、お酒一献を頂くという平安貴族が遊んだ優雅な行事で、これをいまも伝える人たちがいる。

13日に練習をして、当日はプロの歌人と一緒に袍(ほう)という公式の装束に身をつつみ、それそれが題詠に沿った歌を詠んで小川に流す。

本来はそのときに即興で詠むのだが、いまはそれは「建前」で、皆予め作っておいたものをこの場で披露する。もっとも彼によれば「もう一首」と言われ、これは事前に聞いていなかったので驚いたが何とか作った由。

(3)最優秀作に選ばれた彼の歌は以下の通り。

―――児を抱きて撮りし写真の背景に

    今なほ眩し山吹の黄はーーーー

実は当日この「写真」も持参してくれましたが、まだ20代の彼が幼いお嬢さんを抱いて山吹を背に立っています。場所はニューヨーク、ちょうどこの頃私も彼といっしょにニューヨークに居て家族ぐるみ付き合ったので、とても懐かしく拝見しました。

 

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(4)という「挨拶」に、皆びっくりして聞きました。

いや大した偉業で、我が同期にかかる文化人がいるとは誇らしいです。

彼はそのことは「光栄で嬉しいが、同時にこういう古い文化を継承する試みが、いかにボランティアや寄付をやり繰りしながら守られているか、痛感した」と語りました。

「観光気分で、綺麗だとか、奥ゆかしいとか、表面的にしか見ていなかったことが、大変な苦労で支えられていたことに、恥ずかしながら、自分が参加して初めて気が付きました」とも言っていました。

ということで、彼の呼びかけで、その場で、まことにささやかながら、「曲水の宴保存会」に有志の寄付が実施されました。 

なかなかいい話でした。

当日の模様は1分30秒の京都のニュース番組で見ることができます。以下のサイトのいちばん最初が今年度の報道です。

https://search.yahoo.co.jp/video/search;_ylt=A2Rivc__eLZcHBkApx.HrPN7?p=+%E3%80%8C%E4%B8%8A%E8%B3%80%E8%8C%82%E7%A5%9E%E7%A4%BE+%E6%9B%B2%E6%B0%B4%E3%81%AE%E5%AE%B4+2019&aq=-1&oq=&ei=UTF-8

彼の歌が「披講」される(冷泉家時雨亭文庫ノメンバーによる)のも一部収録されています。