マスクも届き、㈱カスタネットの植木さんからも電話。

1. 今回も新型コロナウィルス関連のもろもろ報告です。

朝の散歩以外は自粛を続けています。幸いに我が家は長年生協と契約していて、週1回、食材を届けてくれます。

 アベノマスクは届きました。家人に任せて、開けずにそのまま施設に送りました。「アベノマスク不要なら寄付を」という新聞記事をみて、電話した上で送付しました。義母が最期にお世話になった病院にも電話したのですが、こちらは病院指定のマスクを使っていて在庫豊富なので結構です、という返事でした。因みに我が家では家人が、ネットの動画を見ながらせっせと手製を作ってくれます。

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2. 前回、オーストラリアの政府の対応が迅速だという報告と、早くも3月21日に閉鎖されたシドニー郊外の観光地ボンダイビーチの写真を載せました。29日付の「時事通信発」によれば、約5週間ぶりに一部、解除されたそうです。

 他方で欧州でもアメリカの一部でも、制限の一部解除が進んでいるようで、ニュージーランドも「制限緩和、企業活動・学校再開へ」というニュースを27日朝のBS国際ニュースがやっていました。

 予想されることですが、待ちに待った再開が始まると一部には混乱も出ます。以下は畏友のブログ「情報浴」4月30日付の引用です。

 「(ニュージーランドでは)6週間のロックダウンの後、昨日、一部レストランの開業を許した。最大都市オークランドではハンバーガー店に群衆が殺到、ドライブスルーには車の列が並び、交通麻痺。・・・政府は、即時ハンバーガー店の注文は予約制とするよう新規制。」

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3. そのニュージーランドですが、BS国際ニュースは39歳のアーダーン首相の対応への高い評価をとりあげました。彼女については、3月29日のブログで紹介しました。

https://ksen.hatenablog.com/entry/2020/03/29/081149

 テレビスピーチでの、断固とした決意。飾らない、温かい態度。国民の質問に丁寧に応じる、寄り添う姿勢。信頼度は高く、世論調査では88%の支持を得ているそうです。

 今回のCOVID-19の惨事にあたっては、メルケル首相を筆頭に、台湾、フィンランドアイスランド、NZなど女性の政治リーダーの対応が際立っているように感じます。

 他方で、日本の対応はというと、感染者・死者数とも低い数字で推移

しているというのに、国際的な評価はいまいちです。検査数が少ないことへの厳しい批判もあります。

 在ニューヨークの友人に教えてもらって視聴したのですが、30日の夜、コロンビア大学の東アジア研究所が主宰した、「日本におけるCOVID-19」と題するテレビトークがありました。

 日本政治が専門のジェラルド・カーティス同大名誉教授・元所長と日本側は竹中治堅政策研究大学院教授の2人でしたが、カーティス教授の見立てはかなり厳しいものでした。https://www.facebook.com/watch/live/?v=2652891534964994&ref=watch_permalink

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 政治の混乱、国民のフラストレーションの高まり、当初国民の救済よりパンデミック後の経済復興を優先したこと、自民党内部および公明党との緊張、などを指摘した上で、何らかの政変が起こるのではないか(「前回は失敗したが”小池の乱”のような)ということまで言及しました。

 同教授の「政治が変わるかも」という期待には共感します。しかし、個人的にはもう少し悲観的で、「のど元過ぎれば~」の保守的な日本人の国民性からして、なかなか難しいのではないかと聞きながら思いました。

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4.最後は、京都で株式会社カスタネットという中小企業を経営している植木力さんの奮闘の話です。

(1) 29日、彼から久しぶりに電話があり長話をしました。

実は、その数日前にぐうぜん彼が夕方7時のNHKニュースに出ているのをみて、家人に「あれ植木さんじゃない?」と言ったばかりでした。途中からテレビを付けたのですが、社名は出なかった。しかし関西ではもっと大きく放映されたそうです。

(2)話題は、コロナ対策に病院で必要な防護服が不足している。それを彼の会社がかねて取引のある台湾の会社のベトナム工場で生産してもらい、何十万枚も京都市経由病院に収めるという話です(彼のフェイスブックには連日アップしています)。

(3)彼の話では、この防護服、新しい会社や工場で生産しようとしても、すぐに製造できるものではない。彼の会社はもともと防災用品の1つとして、「マルチポンチョ」という製品を販売していた。その仕様をもとにすれば簡単に作れると思って、試作品を作ってもらい、京都市に見せたところ直ちに受注になったそうです。

 台湾のこの会社には、英米からも引き合いが来ていて、あちらは早い注文と大量発注、しかし長年の付き合いで、しかも親日的な風土のあるだけに、最優先で植木さんの依頼に応じようという気になってくれた。

(4)そんな話を電話で聞きながら、植木さん、頑張っているなと嬉しく思いました。

 彼のことだから、意気に感じて、利益度外視で、社会貢献という視点に絞って物事を進めている筈です。

 そしてそれを、小さい会社のイメージ向上につなげるのが彼のビジネス戦略としても優れたところです。

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5.植木さんとは、私が京都の大学に勤務している頃からの長い付き合いです。

(1) 大学で新しい「学科」を作ることになって、学長と二人でアメリカの大学を幾つか訪問しました。

 当時、「社会起業家」というビジネスと社会貢献とを両立する存在と考え方が英米で注目されていて、大学のカリキュラムにも入れる動きがありました。

 2006年ノーベル平和賞を受賞した、バングラデッシュのグラミン銀行創始者ムハマド・ユヌスがロール・モデルでした。

(2) 新しく出来た学科は、社会起業家について学び、「ソーシャルビジネス(社会企業)」に取り組む若者を育てたいという「理念」をPRしました。

 たまたま脱サラをして会社を立ち上げた植木さんが関心をもち、以来いろんな活動を一緒にやってきました。

(3) 彼は、創業したばかりの赤字会社を経営しながら、カンボジアに小学校を作る資金集めを手伝いました(開校式には一緒に出張しました)。

 ソーシャルビジネスを立ち上げる若者を支援する「塾」も開講しました。京都市の支援もあって町家を借りて、二人も講師になりました。

『小さな企業のソーシャルビジネス』という本も共著で出しました。

(4)それらを本来の会社経営で生かしつつ、「ビジネスの中で、社会の役に立ちたい」という思いで長く続けた、彼のアイディア・経験・実績が、今回の成果につながったのだろうと思います。

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6.私は、2月末に行く予定だったのをキャンセルして以来、京都行きはご無沙汰し、自粛しています。

 いつまた友人たちに再会できるかわかりませんが、それまでに植木さんが、この防護服の病院への納入を無事に終えて、皆さんに感謝され、役立つことを願っています。