『小さな企業のソーシャルビジネス』

何となく、雑用が多くて、更新が遅れております。
年を取ると、何事も昔のようにてきぱきとは処理できず、
時間がかかります。

1. 柳居子さん、さわやかNさん、有難うございます。
何れも、たいへん興味深く読ませて頂きました。


(1)「権力の偏重」は「病理」以前に、日本人の「血」であり、「民族記憶」ですか。つまり、
病理なら治療できるが、これは、直しようがないと・・・。なるほど。


(2)聖徳太子の十七条の憲法
勉強になりました。たしかに「和を以って尊しとなす」ばかり知られていますが、その後が大事なのですね。
論議を尽くせ」、これまさに福澤の「自由は多事争論にあり」ですね。


(3)さわやかNさんの「七人の侍=百姓のしたたかさ」への類推も面白いですね。これで言うと、
「権力の偏重」と嘆いても、庶民は、表面はペコペコしながら、おなかの中では舌を出している、と
いうことですかね。
たしかに、福澤は下級といっても武士ですから、こういう庶民の「したたかさ」は理解できなかった
かもしれません。
それと、そもそも支配階級に内在する「権力の偏重」を正さないと、この国は真の独立国家にならないのだというのが
彼の悲願で、何れにせよ、庶民はあまり念頭になかったかもしれません。

以上、重ねて、勉強になったことお礼申し上げます。


2. ところで、雑用に追われている、と書きましたが、
先週、京都に滞在したのも、その1つです。

かましい自己宣伝ですが、KSENの仲間、植木さんと小さな企業のソーシャルビジネス

文理閣)という本を出しました。


彼は、まことにアイディアマンで、
(1) 出版日を2011年11月11日にしよう
(2) 出版記念にイベントを開催して、パネルディスカッションをやろう
(3) 11月11日午前11時11分に参加者に祝ってもらおう

ということで、
私には想像もつかないアイディアです。
おまけに、当日は、いろいろな方に来て頂きました。
昔の職場(旧東京銀行)のOBも1人来てくれて驚きました。
有難うございました。



3. この本、一部の人には関心を持ってほしいのですが、
(1) ソーシャルとビジネスとには親和性があるのではないか
(2) その前提として、ビジネスとは何か?を1人1人が考える必要があるのではないか
(3) 日々のビジネス・仕事を通して、良い社会を目指す。そこから、「やりがいのある仕事や働き方・生き方」
が見えてくるのではないか
(4) そのためにも、ネットワークや協働が大事ではないか。
まあ、そんなようなことを、京都の事例を紹介したりしながら説明しています。


実は、植木さんや仲間と、京都ソーシャルビジネス・ネットワーク主催にて
京都府の助成を頂いて、「ソーシャルビジネス町家塾」を開催。
12日(土)がその第1回で、開講式。
「カスタくんの町家」に16名の受講生が参加することになりました。
19日(土)がその第2回で、私が、講師を担当します。
2時間半の授業で、本書は、この授業のテキストに使用することも1つの目的にして作成したものです。

受講生には、12日に渡したので、次回、
ささやかな本書について、どんな意見や厳しい批判や質問をもって集まってくることでしょうか?

少しは、「参考になった」と言ってくれると嬉しいのですが・・・

4. なお、先にあげた、11日のパネルディスカッションですが、植木・川本の他、
東京から株式会社ソシオエンジン
の服部さんがパネリストとして参加してくれました。

ここは、ソーシャルビジネスの普及活動を全国に展開する、社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク(SBN)
の事務局を務めています。

この3月以降は、もっぱら、東日本大震災復興の支援を手掛けています。
当日は、陸前高田市にて取り組みを始めた「なつかしい未来創造」の事業プロジェクトの説明がありました。


地元企業が中心になり、SBNも支援して、
(1)なつかしい未来創造株式会社
http://blog.canpan.info/miraisouzou/
(2)NPO法人陸前高田創生ふるさと会議
の2つがスタート。


「自然資本」「伝統資本」「信頼と誇り資本」という3つの資本を核に、さまざまな事業を展開して、
10年間で500人の雇用創造を実現しようとするものです。
服部さんは新会社の役員として参加しています。



5. つまり、地元の企業がイニシアティブをとって、SBNのような外部組織や行政の支援を得て、
被災地の復興を新しいビジネスを通して実現していこう、というものです。
まだスタートしたばかりで、課題も多いでしょうが、服部さんからは

「被災者にとって、100個のおにぎりを届けてもらうのも有難いが、何と言っても、「仕事」「雇用」が生まれること
がいちばん大事かつ嬉しい」というコメントがありました。


また、
「全国から、若者が支援に動いている。
ボランティアも大事だが、新しいプロジェクト支援のため、地元企業がインターンを受け入れており、
これに参加する若者も現れている。
インターンを経験して、若者は、確実に変わる・・・」
そんな報告もありました。


6. 私も、ソーシャルビジネスに関する本を書き、調査したり、取材したりしながら、
これからのソーシャルビジネスの担い手は、地元企業や中小企業と
そこに働く人たちではないか、という感想を持ち始めたところです。

そんな折から、1部上場の大企業・優良企業の不祥事が大きく、報道されました。

「小さな企業かつソーシャルな志向を高める企業」を社会や消費者が支える。
そして、彼らが、企業倫理という側面でも日本社会を引っぱっていくような時代になるかもしれない。
異論があるかもしれないけど、昔風の大企業には、あまり期待できないのではないか。

そうすれば、「権力の偏重」にも多少の変化が出てくるかもしれません。