他の人にもあるかどうか知りませんが、私の場合、あることを考えていて、脈絡もなく全く別のことを思い出すという瞬間がよくあります。
アリスの少女時代のボランティア体験を考えていて、突然、夏にニューヨーク(NY)で観た、アンドリュー・ワイエス(1917年〜)の「クリスティーナの世界」を思い出しました。
この絵は、NYの近代美術館(MOMA)の中で私がいちばん好きな絵です。NYには昔長年住んでいたので、何回観たか何十回観たか忘れましたが、写真はこの夏、まことに久しぶりに新装なったMOMAを訪れたときに撮ったものです。
描かれた人物は、ワイエスの夏の家があるメイン州クッシングの隣人アンナ・クリスティーナ・オルソン。ある評論家は「現存のアメリカ画家によって描かれた作品の中でも、『クリスティーナの世界』ほど広く知られ、深く愛されている絵はないと言っても過言ではない」と書いています。
さらに続けて・・・「孤独と宿命の絵である。この作品が語っているのは、この身体の不自由な農家の女の悲劇的な運命である。彼女は、その限られた世界の中心にある我が家、寒々とした風雨にさらされる家まで誰の助けもなしに這っていかなければならない。これが描かれたのは1948年。その後の20年間、彼女が死ぬまでワイエスはこのメイン州の隣人と彼女の家、四囲のことどもを描きつづけた ーー彼女の顔と姿と気性に刻まれた、時と宿命とを考えながら、彼女の人生をその身代わりとなって生きるためにーー」(ラスボーン・もとボストン美術館館長)