本


大学は、1月には秋学期の授業が終わり、いまは定期試験と入試の時期に入っています。学生諸君と話しをする機会もぐっと減りました。うちの大学はセメスター制をとっていて、春は4〜7月、秋は10〜翌年1月でそれぞれ完結します。
秋学期の「現代社会外国書講読Ⅱ」の14回の授業も1月末で終わりました。ごく少人数だったので研究室でやりましたが、テキストには、”How to Change the World—Social Entrepreneurs and the Power of New Ideas(仮訳『ソーシャル・アントレプレナーが世界を変える ――新しいアイディアが作り出す力』、2004年オックスフォード大学出版局)"を取りあげました。

これ、まだ邦訳が出ていないので(目下進行中という話を聞いたことがありますが)、原書講読に利用できて助かります。David Bornsteinというジャーナリストが書いたもので、アショカ財団を立ち上げたビル・ドレイトンの軌跡を縦糸にして、アショカが選定した9人のソーシャル・アントレプレナーへのインタビューを含めて、彼らの活動の事例研究が中心になっています。
全部で21章プラスエピローグ、本文280頁ほど、学者の書いた本ではなく、いわばドキュメンタリーなので、これなら読みやすいだろうということで取りあげました。結果的には、21章のうち最初の2章を読んだだけで終わってしまいました。それでも、この間
ヴィデオ(machidaさんがブログで紹介しておられた、1月4〜5日NHKのBSで放送された「ニュー・ヒーローズ」のオリジナル英語版です)を見たり、私のお説教を聞いたりですから、冒頭の2章、19頁まで読み終えることが出来て、まあまあかなと私としては満足しています。


うちの大学に来る学生に聞くと、英語は得意でないとか、中高の授業でかえって嫌いになったとかいう連中が多いのです。私としては、何とか英語への抵抗感を無くしたいというのがいちばんの狙いでした。そのため、分からない単語をすべて辞書で引こうと思わない(そんなことをしたら、1日かかっても1頁も読めない)、なるべく多くを読んで、(英語の授業じゃないんだから)一語一語理解しようと思わずに文意をつかむ努力をする、60%でも70%でも理解できたらまずは上出来でそれを少しずつ上げていく努力をする、もちろん語彙を増やすことは大事だが、とにかく英文に慣れて、勘というかセンスを磨くこと・・・・そんなお説教を繰り返しながらの授業でした。
うまく行ったかどうか自信はありませんが、彼らが少しでも、英語の文章を理解することの楽しさを感じ取ってくれたとしたら嬉しいなと思っています。同じ学生が来るかどうか分からないので、来学期も同じテキストを使おうかなと考えています。