ksen2006-04-06


京都ソーシャル・アントレプレナー・ネットワーク別名京都ソーシャル・アントレ会の副会長でもある、(株)カスタネットの植木さんが、4月4日の日経産業新聞20面に大きく取りあげられました。
「新入社員のほとんどにとっては初めての名刺。(略)だが、相手に自分を印象付けるまたとない機会だ。オフィス用品通販を手掛けるベンチャー企業カスタネット京都市)社長の植木力さん(47)は「名刺交換は戦いだ」と主張する」というリードでほぼ1面の記事が続きます。


植木さんの活躍ぶりをこの場を借りて紹介させて頂くとともに、「05年12月期まで3期連続の増収増益」の実績をもとに、いっそうの社業発展を祈りたいと思います。
ご承知のように植木さんは、中古文具をカンボジアの小学校に送ることから始めて新校舎の建設まで支援し、社会貢献と本業を結びつける新しいビジネス・モデルを追いかけています。そういったユニークな同社についての紹介は、すでに同紙で取りあげているので、今回はもっぱら名刺交換の極意に焦点を絞って植木さん個人を中心にした記事内容になっています。

カスタネットには、植木さんから1人新卒を採用したいという話しがあり、本学臨床心理学科の卒業生が4月から就職することになりました。社員10名ほどのベンチャー企業ですがやはり社会貢献に目を向けるという植木さんの姿勢に惹かれたようです。頑張ってほしいものです。名刺については私も影響を受けて、「現代社会実習」の時間に、そろそろ自分の名刺を作ってみてはどうか?その上で学内だけでなく出来るだけ学外のネットワークを拡げたらどうか?とアドバイスしています。


京都にはユニークな企業が多いようで、小さいベンチャー企業ながら、カスタネットもその1つでしょう。
他方で、大企業では、「日経ビジネス」3月27日号が永守日本電産社長のインタビューを掲載していて、これも面白く読みました。「これまで23社を買収し、ことごとく再建を成功させてきた。買収先の雇用を守り、社員の意識を変えることで人材を育成する」という紹介で始まり、経営者の責務は雇用を守ることにつきるという永守哲学が披露されています。以下、インタビューの一部です。


問 会社再建が社会にも貢献しているということですね。
答 でも、それは誰も褒めてくれへんのです。投資家向け説明会では、「買収した会社でどのくらい人員削減するんだ」と必ず聞かれます。「ゼロ」と答えたら、「そんな会社の株は買えない」と言われるんですわ。
 一方で、最近は「どんな社会貢献活動をしているのか」と聞かれて、「うちは雇用を守っている」と答えても、誰も評価してくれない。どっかの会社がオペラハウスに寄付したりすると拍手喝采になるのに(笑)。


このやりとりを読んでの私が感じたことです。
・ 雇用が第1、これが立派な社会貢献という社長の哲学はおそらく正しい
・ 「オペラハウスに寄付したりする」のも社会貢献だろうが、企業の本業でなかろうという永守さんの思いも理解できる
・ 社会貢献というのは会社や会社人間よりもむしろ、個人の生き方として必須であると考えるべきではないか。日本電産の社員が,守られている雇用に感謝しつつも、100%会社人間になるのではなく、社会のために活動する時間と意欲を持つことができるだろうか?その点を永守社長に聞いてみたいと思います