「新・北欧モデル」フォローと首相訪米の雑情報

1. 本日、東京はよく晴れて、梅ヶ丘の羽根木公園の梅を見てきました。

柳居子さん我善坊さん、FBの海太郎さんいろいろコメント有難うございます。

前回はお礼だけで終わってしまいましたが、改めて読ませて頂きました。


柳居子さんご推薦の書『世界一幸せな国デンマークの暮らし』(角川新書)は読んでいませんが、ご指摘のように、庶民の暮らしの立場に立って書いているのは貴重ですね。
もと日本人で両国の比較ができるからこその発言だと思います。



我善坊さんのご意見も卓見ですね。
加藤周一の「今=ここ」については、ご承知のように『日本文化における時間と空間』の冒頭は以下の通りです


・・・・日本の諺言に「過去は水に流す」という。過ぎ去った争いは早く忘れ、過ちはいつまでも追及しない。その方が個人の、今日の活動の有利である、という意味である。しかしその事の他面は、個人も集団も過去の行為の責任をとる必要がない、ということを意味する・・・


我善坊さんの言われる「過去をあいまいにしない」というのは日本ではなかなか難しそうですね。


2.何れにせよ「エコノミスト」によれば、北欧は、「社会民主主義」とは?
というようなそもそも論には興味がなくて、現実の施策として、
「いままで大きな負担・大きな福祉でやってきたが、それだけではうまく行かなくなったので、大きな政府のまま市場と競争を取り入れた」というだけのことだろうと思います。


それと、「エコノミスト」誌が繰り返し強調しているのは、「北欧モデル」を可能にする長い伝統、「正直でクリーンな政府」と「信頼に支えられた個人の自主性・自由を尊重する」文化・風土・価値感の大切さです。


例えば、英国はいまスウェーデン型のフリースクールを導入しようとしているが、こういう「伝統」の無い国で、ただ「制度」だけ真似することに、「エコノミスト」は懐疑的です。


まったくその通りで、「デンマークの消費税は25%でも国民は幸せだから、日本もまだまだ行ける」というような単純な話では全くないでしょう。


だからと言って「参考にならない」と断定するのではなく、
この国でも 「正直でクリーンな政府はどうしたら可能になるだろうか?」
「個人の自主性と自由を高めることはどうしたら可能だろうか?」
と考え続けることではないでしょうか?


例えば、「公立の中高で、教育内容・カリキュラムを教員が自由に決める。文科省教育委員会や校長は一切口を出さない」「その上で、競争させて、当局は結果と成果だけを検証する」
・・・・こういう教育制度が、日本でどうして出来ないのか?

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3.実は、この「新・北欧モデル」の話を、京都の「ソーシャルビジネス町家塾」で紹介しました。
(1)塾生から「やはり、大事なのは教育ではないか」という意見が出ました。
その通りとは思いますが、上述したように、個々の教育の中味よりも、その前提となる、「個人の自主性と自由」を伸ばす文化・風土を作れるか、が鍵ではないでしょうか。


(2)もう1つ
「北欧4カ国はフィンランドを除いて、スェーデン、デンマークノルウェイ、何れも王国ですね」というコメントがあって、そう言えばそうだな、と思いました。
確かに4カ国のうち3つが立憲君主制だというのは、たまたまかもしれませんが、この点は「エコノミスト」も指摘しておらず、これが、彼らの「文化・価値感」と関係するのか・しないのか、ちょっと興味を持ちました。


4.本日は、北欧から日米に関心が移って、安部首相訪米の報道を、ワシントン・ポスト{WP}などの電子版から、少し読んでみました。
内容については日本のメディアも丁寧に伝えている筈ですので省略し、
以下はアメリカ側からの、あまり堅くない・雑多な感想です。


(1) たかが言葉の問題と言われるでしょうが、日本の報道は全て「日米首脳会談」という用語で一致しているようですが、これ、要するに「日本の首相が訪米して米大統領に会った」ということですよね。「訪米」の代わりに「首脳会談」とすると対等な感じがするからでしょうか。
欧米のメディアの理解は、オバマが2期目に当選してすぐにミャンマーカンボジアを訪問した際も「大統領のアジア訪問」と報道しましたが、今回も「日本首相の訪米」でしょう。


(2) その「日本の首相」を、WPは「回転ドアのように出たり入ったりする」と形容しますが、いまの安部氏は「ナショナリストフィナンシャル・タイムズは「保守的なナショナリスト」)」だが、前政権と異なり、アメリカとの関係強化を強く主張している人物」と紹介します。
  

(3) アメリカにしてみれば
「日本よ、経済しっかりしてね。金融緩和はいいけど国際金融市場を混乱させるのは(欧州だけで手いっぱいだから)やめてね。そのためにもTTPには入った方がいいよ(入ればアメリカからのエネルギー供給も安心になるよ)。中国とあまり波風立てないでね。」というのが基本のスタンスでしょう。

WPは、「日本に対して欧米は、もはやアジアで強くなりすぎることではなく、存在感が無くなってしまうことを懸念している」と書きます。


その点で安部氏が「自分がカムバックしたように日本もカムバックする」と宣言したことは、お手並み拝見という気持ちで聞いたことでしょう。
但し、ことが経済・財政ならいいでしょうが、首相が調子に乗って、「ナショナリスト」の側面を出して、対外強硬姿勢や憲法改正論議に手をつけようとしたときの、欧米の反応は、だいぶ違ってくるのではないか・・・という気がします。
(4) 最後に、お堅いウォール・ストリート・ジャーナル紙が首相夫人について以下のような記事を載せています。
[――今回の訪米に安部首相夫人が同行しなかったことに、日本では驚きと失望がみられる。
日本ではこういう時に奥さんは家に居るのが普通である。野田前首相も在任中、夫人は1度しか、海外出張に同行しなかった。
安部夫人はしかし、普通と違ってスポットライトを浴びるのは嫌いではない。
「今回はオバマ大統領夫人の日程が詰まっていて彼女に会えないというので残念ながら諦めた」と自身のフェイスブックで報告している・・・・


私は、ご本人のフェイスブックを始め、日本の関連する報道をあまりフォローしていませんので、真偽のほどは知りませんが、
以上、アメリカのメディアから報告します。