1.前回のブログをアップしたのは「子どもの日」の日曜日でした。(本日は母の日です)。
翌5月6日は10連休の最終日で、羽田空港まで家人を送っていきましたが、国際空港にはまだ鯉のぼりが舞い、武者人形が飾ってありました。さすがにもう無いでしょう。
家人は2週間、ロンドン郊外の次女の家に2人の孫の世話をしに行きました。
亭主も出張で留守、ナニーさんも休暇というので、狩り出されました。「空飛ぶ婆や」と友人にからかわれながら、これが3回目のお勤め。その間私は東京の家を守っています。「まだ安静に」と医者に言われているので、もっぱら家で読んだり・書いたり、ネットを覗いたりしています。
2.(1)前回の新天皇即位についてのエコノミスト誌の記事の紹介は、フェイスブック経由2人の方に「シェア」して頂きました。
「シェア」というやり方を私自身はよく理解していないのですが、何れにせよ、このエコノミスト誌の記事は、我善坊さんのコメントにあるように「冷静」であり、的確であり日本に好意的でもあると思うので、多くの人の目にとまるのは嬉しいことです。
(2)また我善坊さんは、「日本の君主制は世界の潮流からは取り残されたもので(女性天皇を認めないのはその最たるもの)、これを改めない限り、他の君主国より先に消滅するでしょう」と書いておられます。
私も同じような懸念を持つものですが、他方で抵抗派の右翼も強硬のようですね。
この国は、少数意見はほとんど無視され、何事も多数決と称されて押し切られるのが普通ではないでしょうか。
ところが、この問題に関しては少数派の意見がまかり通っているようです。不思議ですね。
(3)他方でフェイスブック上の岡村さんとMasuiさんのコメントも興味深かったです。
・お二人とも昭和の時代に海外で研究したり、あちこち旅して回った経験の持ち主です。
・そして、現地の人たちと、先の戦争や昭和天皇について話し合った経験をお持ちです。
・また、貧乏旅行をしてユースホステルやキャンプに泊まった、皆フランクに付き合ってくれた、親切だったなどの思い出を書いてくれました。「生のドイツ人との接触ができ素朴な人間性のドイツ人に多く出会いました」というコメントもありました。
・若い時の、そういう経験はとても貴重ではないでしょうか。いまの若者は、海外で現地の若者たちと、同じような機会を持つことがあるのでしょうか?
3.いま、海外に留学する豊かな若者が、とくに中国から急増しているそうです。貧乏旅行をして、キャンプやYHでいろんな国から来た男女と裸の付き合いをするなんて、過去の話かもしれませんね。
海外からの豊かな留学生がやってきて、中には自国の国益を強く主張するという事例もあるようです。
たまたま、4月13日号の英国エコノミスト誌が「私立学校教育(Private Education)」の特集記事を組んでいます。
インドや中国などの発展途上国で、私立学校教育がブームになり、教育費の支出が急増しているという内容です。
例えば、中国では教育費支出は家計の5%、インド4%、他方でアメリカは2.5%、欧州平均は1%だそうです。
これらの国での中間層の増大、少子化、IT技術、知識社会化などを背景にしている。
4.とくに中国では海外への留学生が増え、海外の有名校との連携も進んでいる。
として、後者の事例として英国の名門パブリック・スクールであるウェストミンスター校を紹介しています。
(1)イートンやハーローと並ぶ同校は、1560年、時のエリザベス1世の資金で、貧しいが優秀な40人の児童に教育機会を与えるために設立された。
いまでは、750人の生徒を有し、年間授業料は寮費を含めて59千ポンドもかかる超有名かつお金のかかる学校である。
(2)同校は、このたび中国のある私立学校と提携し、2020年に四川省成都に海外拠点を設立することを発表した。3歳から18歳まで2500名を受け入れる。
さらに、今後10年で5校を設立し、最終的にロンドンの本校の20倍の学生を受け入れる計画である。
(3)同校によれば、このプロジェクトから得られる収益の一部は、ロンドン本校での奨学金制度を拡充し、貧しい学生により門戸を開放することに使いたいとのこと。
5.他方で、“Art Attack(芸術への攻撃)”と題する記事では、中国からの英国の大学への留学生について、ともに超有名校であるLSE(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)とオックスフォード大学の事例を紹介しています。
(1)LSEの事例――キャンパス内に、大きな地球儀の彫刻を展示した。
これに、中国人の留学生が猛烈に抗議した。台湾が独立国のように、チベットのラサが首都のように描かれているという理由である。
LSEは抗議をうけて、学生に変更を約束した。
台湾はこれに憤激し、蔡英文総統が同校の卒業生(法学博士)であることもあって、外交問題に発展している。
(2)因みに、LSEは学生総数の実に68%が留学生で、総数の18%が中国からである。
海外からの学生は、豪州、アメリカ、カナダでも同じように増えているが、とくに英国は2016年のBREXIT国民投票以来、ポンド安が続き、海外からの学生に魅力ある留学先となっている。ここ10年で3倍に増え、いまやEUを抜いて中国からの大学生がトップになった。
学生の一部は(1)のように、本国共産党(CCP)の方針や指示を受け入れて、言動に示す者も少なくない。
(注―先般紹介した、豪州における中国の影響力を取り上げた『Silent Invasion(静かなる侵略)』によると、教育についてのCCPの方針は以下だそうです、
・CCPの認めない5原則――台湾独立、チベット独立、ウイグルの分離、法輪功の存在、プロ民主主義の行動の5つで、学生は海外にあってもこれを理解し、その線に沿った言動を保つこと。
・また中国では2013年、教育にあたって大学に、立憲民主制、報道の自由、人権、大学の自治など、7つの禁止項目が党から指示された。
この「思想の管理」は海外の中国人にも及ぶ。その結果、例えば留学生はオーストラリアの大学でこれらの「禁止」された概念や、中国の暗い歴史(天安門事件など)を学ぶことはできない。)
(3)時には、中国政府が直接介入することもある。
オックスフォード大学では、最近、総長の香港訪問をキャンセルするように中国大使館から要求された。
同大はこれを拒否した。「留学生を減らす」という脅しを受けて、同大は「大丈夫。代わりにインドからの学生が穴を埋めてくれるから」と回答したという。
(4)しかし、オックスフォードのように毅然とした態度を取る大学は、有名校でも多くはない。英国の大学はいま、中国からの留学生から得られる利益とその存在が与える負の側面とのジレンマに悩んでいる。
―――というような内容です。中国の世界的な存在感・影響力の大きさをあらためて感じるさせる出来事だと感じました。
それにしても、日本の若者はいまどうしているのか?
世界の若者は、いまも昔の岡村さん・Masuiさんのように貧乏旅行を続けているのか?
それとも、豊かな留学生が世界を席巻しつつあるのでしょうか?