猛暑の名古屋での大相撲その他

1. 前回は古いレコードを涙を呑んで捨てたことを書いたところ、十字峡さんから「京都の某市民活動センターがレコード図書館を開設して寄贈を受け付けている」という情報を頂きました。
情報提供に感謝です。ただし私のは、個人的な思い出は1枚1枚強いのですが、音が良くないので残念ながら人様に聴いていただく価値はないと思います。

それにしても十字峡さんお住まいの京都は暑いですね。6日連続の38℃超えは観測史上初めてのことだと。皆さん体調管理に本当に苦労していると思います。
何とか乗り切っていきたいものです。

当地も例年より4度前後高い異常な気候で、地元の人も口を開けば「今年は暑いね」と言っています。山奥の開発地に住む家は冷房の設置はありません。しかし「そろそろ要るかもしれない」と心配している人もいます。
それでも朝夕は多少しのぎやすくなり、汗をかきながらですが、散歩もできるだけしています。朝早く、人工池のまわりにしばらく寝転んで青い空を見上げたり、八ヶ岳を眺めたりします。
冬の厳しい時期は帰京しますので定住者と違って、「いいとこ取り」をしているのでその点は申し訳ない次第です。


2. 今回は暑さの中の日々、私事で終わりそうです。
18日の水曜日には日帰りで名古屋を往復しました。
最高気温39度という日で、目まいがしそうでした。
英国に住む次女が2人の孫を連れて一時帰国をしています。亭主は仕事で東京ですが、残りは何せ幼児もいるので逃げ出して田舎家にやってきました。

名古屋は6歳の孫が「ニンジャ」と「大相撲」のファンで、今回初めての見物となったものです。茅野駅から塩尻乗り換えで片道3時間はかかります。
折角なので改修なった名古屋城なども見たいと思っていたのですが、とても歩く気にはなれず地下鉄で愛知県体育館まで直行しました。

ご存知の通り、3横綱と新大関栃ノ心休場の寂しい場所ですが、孫もさほど力士の名前に詳しいわけではなく、我々も実際に見る土俵の雰囲気に十分満足しました。
孫は、遠藤、勢、御嶽海の3人を大声をあげて声援し、この日は長野県郷土の英雄御嶽海を含めて3人とも勝ったのでご機嫌でした。


3. 田舎家ではもっぱら彼と付き合って将棋を教えたり、家族皆でトランプや「モノポリー」をしたり、庭でセミの抜け殻を拾ったり、ゆっくり本を読む時間もとれません。
一人で絵を描いたり、短い「勉強時間」に漢字を覚えたり、本を読んだりすることあります。


モノポリー」は大昔子供たちと遊んだころの道具がそのまま残っています。
今回は、何十年ぶりかで今度は孫を中心に遊びましたが、単なるすごろく遊びとはいえよく出来たゲームです。
プレイヤーはあらかじめ銀行から現金をもらって、町のさまざまな名前のついた通りや電力・鉄道会社などをすごろくを振って順番に通っていく。所有者がまだないところに止まったら現金で購入して、オーナーになれる。
他のプレイヤーが、所有者のいるところに止まると地代や使用料を払う。そのほかさまざまな「止まる場所」があって、所得税や寄付金を払ったり賞金を受け取ったり、監獄に入れられたりする。


「通り」は2つあるいは3つのカラー・グループに分かれていて、同じグループをすべて購入すると家やホテルを建てることができる。そうするといっそう高額の地代を払わせられる。


しかも、「通り」は「ウェストサイド通り」といった庶民的な場所は購入代金も地代も安く、他方で「五番街」のような高級な通りは高額である。
ということで、資本主義の仕組み通り、資産家はますます富裕に、貧乏人はなかなか這い上がれない・・・
しかし不動産や公益事業をあまり多く持ちすぎると現金が少なくなって、他人所有の土地に止まったときの地代支払いに追われ、最悪は破産してしまう。


誰かが破産するとその時点で総資産額を計算して順番を決めて、ゲームは終わる。
英国では、アッパー・クラス(上流階級)は土地を持っていて働かなくても豊かにに暮らせる(ジェイン・オーステインの小説に面白おかしく登場する人たちのように)。
他方で「中流の下」や「労働者階級」は働いて金銭収入だけで資産はいつまでたっても増えない・・・・

そういう社会の仕組みを象徴するようなゲームです。
高度成長期の戦後日本は「1億総中流」と言われましたが、この国もどうやら昔の日本・今の英米のような格差社会になってしまったようです。この格差をどう是正していくかが、為政者の大事な責務ではないでしょうか。


4. 娘の方は6か月の産休中ですが、パソコンで年中ロンドンの会社や同僚たちと連絡をとっているようで、結構忙しくしています。
それでも夕食時は多少ゆっくりして、ベランダでワインや珈琲を飲みながらお喋りをします。

普段の1000円以下より少しましなワインも飲みました。
英国で日本人一家が暮らし、言葉・習慣・文化の違いを超えて「モノポリー」社会や職場や学校制度に溶け込んでいくのは、苦労も大きいだろうし経済的な負担も大きい。


そんな悩みも話し合い、しかし、英国社会の良いところも聞きました。ストレスが少ない、生活のメリハリが利く、寛容である、人間関係も気持ちよい、教育も優れている・・・など。

他方でもちろん日本の方が良いところもたくさんある。何といっても食生活の充実と便利・清潔なこと。


両方の「いいとこ取り」をするのは贅沢・わがままかもしれない。
しかし、私たち一人一人が、(例えば)英国の「良いところ」を知って・学び、日本の「良いところ」も学び、可能な限り(経済的に無理なことは諦めても)気持ちの上だけでも両方の「いいとこ取り」を果たそうと努力する姿勢もあっていいのではないか、そんな話をしましたが、やはり贅沢な願いでしょうか。