1.「あの戦後の惨めな経済情勢から,我々は努力して今日の繁栄を築くことが出来ました。しかし戦争で失った命は帰っては来ませんでした」。
前回頂いたMasuiさんのコメントを読み返しながら、命を守る人たちを思い、自粛を続けています。
ここ2週間、出かけたのは朝の散歩と病院行きのみ。(家人は食材を買うため、ごく近くのスーパーに行きますが)。
まだ「宣言」が出る前に、中央高速を走って「桃源郷」と呼ばれる釈迦堂SAにある花桃を眺めたのが懐かしいです。
いまの散歩は、東大キャンパスは入れないので、フェンス越しに咲いている八重桜を眺め(学生の姿もありません)、もと東京教育大農学部あとの駒場野公園は閉めてないので、ここまでの住宅地を歩きます。
2. 病院行の1つは親知らずを抜く手術です。南新宿のJR東京総合病院に1泊入院し、手術は局部麻酔ではなく、「セデーション」での治療ということで全身麻酔ほど強くないが、鎮痛剤を投与して行いました。
手術中は意識はほとんどなく、終わってからどのように病室に戻ったかも記憶になく、1時間ほどそのまま寝てしまいました。末期医療などに使われるようで、こういう風に最期を迎えるのもいいなと思いました。
親知らずは腐って、周りに膿がたまっていて、ほっておくと化膿する、早く抜いてよかったと医者に言われました。病院はこういう時期だけに普段より空いていました。
医者も看護師も皆さん親切です。今回ささやかながら手術入院をしたせいで、コロナに立ち向かっている人たちのご苦労を前より一層身近に感じました。
3.「全国に緊急事態宣言」が出て、事態はどう変わるのでしょうか?
京都の岡村さんが、「イノダ」が空席だらけになった写真と人気のない祇園花見小路の写真を送ってくださいました。どちらもこの時期、ほぼ終日人出で埋まっている筈です。
喫茶店の「イノダ」は元旦を含めて、1年365日、朝7時から開いています。常連の座る円卓があって、「ミスター京都人」と私が呼ぶ柳居子さんは1日も欠かさず、仕事前の7時過ぎから数十年もこの円卓に座っています。
常連の中には、お医者さんも3人いると聞きました。この時期にお医者さんも交えてどんな会話が交わされているか興味がありましたが、年中無休の「イノダ」の伝統も変わるのでしょうか?
いつ、また京都に行かれるでしょうか?今年の山鉾巡行はどうなるでしょうか?
4. 事態が良い方向に変わるといいのですが、世界的に感染者は増え続けています。
全くの素人である私が勝手に注視しているのは、各国の「死者率」です。分母は国連統計の人口、分子はWHO situation reportが毎日発表する死者数です。
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reports/
人口の多寡にかかわらず比較できるので、「死者数」と同じように大事な指数ではないでしょうか。
5. この数字を最新の4月17日発表から、人口10万人単位の指数を調べて、以下の3つのグループに分けてみました。日本は18日新聞発表・国内のみの数字です。
(a)1% 以下の国――インド(0.03)、日本(0.16)、シンガポール(0.17)、ロシア(0.18)、インドネシア(0.18)、ニュージーランド(0.22)、オーストラリア(0.24)、中国(0.32)、韓国(0.44)、
(b)1~10% ――イスラエル(1.64)、カナダ(2.80)、オーストリア(4.50),ドイツ(4.63)、デンマーク(5.56)、イラン(5.87)、アメリカ合衆国(8.57)、
(c)10%以上――スイス(11.82), オランダ(19.38)、英国(20.33)、フランス(27.48)、イタリー(36.61)、スペイン(40.93)、ベルギー(42.09)・・・・・・
6. 以下注釈すると、
(1) 以上はごく一部の国を拾っただけです。
分母は各国が毎日WTOに報告する数字です。従って、どこまで正確な数字かは分かりません。(中国は過少報告だったとして、17日には一挙に1290人前日比増えて、総数4642人になりました。日本の数字も新聞のより低いです)。
(2) 国によっていかに大きな違いがあるか、欧州の一部がいかに突出して多いかが分かります。
(3) 死者の絶対数では、アメリカが最大で,続くスペインの死者の3.5倍も多いです。しかし「死者率」で比較すると、スペインはアメリカの4.7倍以上です。
「死者率」で世界でいちばん高いのはベルギーです。
(4) しかも、この数字は、日本を含む殆どの国で連日2桁~3桁で増加しています。まだ通過点に過ぎないということです。
(上記した23か国のうち、16→17日の増加がゼロないし1桁は、オーストラリア0、シンガポール0、韓国1、ニュージーランド2の4か国のみでした)
7. 最後に日本は、「死者数」でも「死者率」でも,シンガポール、ニュージーランドやオーストラリア、などと並んで、少なくとも現時点では「幸い」、きわめて低いグループに入っています。
その理由は、素人の私には全く分かりません(迷走し、リーダーシップと庶民への思いが不足していると見える、この国の政治家の存在にも拘わらず「幸い」、と言うべきか)。
ただ,気になることを言えば,
(1)死者数が一向に減ってこないこと。このところ連日2桁で推移。他方で例えば韓国は一時よりかなり減ってきている(最近は日に1桁台が続く)ので,両国の差が徐々に縮まっている。
(2) よく言われるように、医療現場の疲弊、崩壊の懸念、
(3) そして最後に西浦北大教授の「日本がこのまま対策を取らなければ、最悪40万人以上の死者が想定される」という警告です。
40万人という数字は、現状からみると想像を絶する事態ですが、もちろんそうはならないように皆が苦労して、耐え忍んでいる筈です。「家に居よう、医療の現場と従事者を守ろう、命と生存を救おう」の3つの標語を、心に留めています。