「新しい再軍備の時代がやってきた」「日本は戦うか?」

  1. 前回のブログで、エコノミスト誌5月27日号が、世界的な軍拡の動きを報じたと

紹介しました。

(1)今回補足したいと思ったのは、読んで少し違和感を覚えたからです。

 軍拡の記事は事実の報道でしょう。しかしそのあとの論調はそれを非難するのではなく、西欧諸国は功利的に対応すべき、 武器の効率化を図り、軍需産業に新規参入を認めて競争させ、西欧諸国間の軍事技術の一層の連携を図るべし、と提案しています。

そこには、抑止力としての軍備増強やむなしの判断が見え隠れします。

 

(2)記事は最後に「何れにせよ、新しい再軍備時代がやってきた」として、

アメリカのミラー統合参謀総長(制服組のトップ)は最近上院で次のように発言した。『準備と抑止力によって大国間の戦争を防ぐことは非常に高くつくが、戦争をするほどではない。そしてそれより更に高くつくのは、負けることだ』」と書きます。

  1. こういった世界大の軍拡の動きの中で、とりわけ日本が注目されています。

何度も日本に触れ、財源はどうするのかを問います。

そもそも同誌は、この2週間前の5月13日号には、「(台湾有事の際に)日本は戦うか?」と題する物騒な記事を載せました。

(1)「日本は1945年以来、戦闘で銃弾を一発も撃っていない。日本は戦うか?」

(2)「もし中国が日本は参戦すると信じれば、衝突の可能性はおそらく低くなる。戦争が勃発した場合は、台湾の防衛は日本の支援と火力次第になるかもしれない」

(3)「最低限、アメリカは日本にある基地を使う必要がある。その上に日本が戦いに加われば、勝利の公算は高くなるだろう」

(4)と書いて最後に、「(しかし)ある世論調査によれば」として、「「米中間の衝突に日本はどう対処すべきか」を訊かれた回答者の27%は「米軍と共同行動すべきでない」と答え、56%は「後方支援に限るべき」とし、たった11%が「アメリカと一緒に戦うべき」と回答している」と報じます。

 

(5)読んで感じたのは、そもそも台湾自身が自らの生存を賭けて大国中国と戦う意思があるのか?そして、来年初めの総統選挙はどうなるか?です。

  1. 他方で米Time誌は、5月12日号で岸田首相の写真を表紙に、「日本の選択」と題

する記事を載せました。

(1)日本は、高い教育水準、長い平均寿命、少ない殺人、低い失業、そして政治は安定している。

(2)他方で、出生率は最低に属し、成長は停滞し、高齢化と人口減少を抱えている。1980年代後半にはアメリカを上回っていた平均賃金はいまや40%も低い。

(3)そういう状況で、政府は第二次世界大戦以来最大の防衛費増強を決め、国内で議論になっている。

  1. どこまで国内で真剣な議論がされているか・・・・

6月6日の毎日新聞は「「軍拡より生活」訴え」と題する小さな記事を載せました。

(1)「政府が進める軍事費拡大路線に異議を唱える女性たちが結成した「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」が4日、初のシンポジウムを開いた」という記事です。

 

(2)会は、法政大前総長の田中優子さん、実業家の奥谷禮子さんが共同代表、元東大教授の上野千鶴子さんが共同副代表とのこと

(3)シンポでは藤原帰一前東大教授をゲストに講演とパネル討論が行われた。藤原さんは、「国防を第一にする経済は、その国の経済を弱める」と言い、「平和主義とは地域の安定、平和構築の主体になることだ」と指摘した

と報じています。