- 先週も、銀杏の落葉を踏みながら東大駒場の図書館まで往復しました。
(1)視力・知力ともに衰え、小さな活字を読むのがしんどくなりましたが、英誌エコノミストだけは、図書館で毎週目を通すようにしています。
(2)その中で、11月18~24号は、「2024年の世界」を予測する90頁の特集記事に興味があり、この号は購入しました。
(3)国際情勢から文化に至るまで、幅広く来年の予測を取り上げたものです。
- なかなか読み切れませんが、今回は、特集記事の冒頭「2024年の世界
(編集部から)」と題する「序文」を紹介します。
結論を先に言えば、エコノミスト誌の「来年の見通し」は残念ながら、明るいものではありません。
3.「序文」は、来年を予測するに当たって以下の9つの問題を提起します。
(1)世界中で選挙の年だが、民主化にとって朗報か?
(2)アメリカの大統領選挙は?
(3)欧州のウクライナ支援は?
(4)中東の混乱と悲劇は収束するか?
(5)無秩序状態がいっそう進むか?(アジアに軸足を置こうとしたアメリカの戦略は、ウクライナとガザでの戦争によって挫折。アメリカ一極の世界は終わった)
(6)米中対立はグローバル・サウスを巻き込み、新しい冷戦時代を迎える?
(7)クリーン・エネルギーへの移行の流れは資源の世界地図を塗り替える?
(8)世界経済の不安定は続く(中国経済は失速するかも)?
(9)AI(人工知能)が雇用や情報操作などに与える影響はさらに拡がる?
4.以下に、このうち(1)と(2)について補足します。
まず(1)「選挙の年」。
・来年は、世界人口の半分以上となる42億人強を占める70以上の国・地域で選挙が実施される。史上初めての出来事。
・しかし問題は、だからといって民主主義が進むとは言えないことである。
実施される選挙の多くは(ロシアをはじめ)自由でも公平でもないだろう。
・因みに、来年最初の選挙は1月13日の台湾の総統選挙である。日本にとっても最大の関心事であることは言うまでもない。
5.次いで(2)のアメリカ。
・来年の選挙の中で最重要は、アメリカの選挙、中でもトランプが当選するかどうかである。
・同誌は、11月の米大統領選挙でトランプが再選される確率は現時点で3分の1と予測する。
・アメリカ独特の選挙制度のために、誰が大統領に選ばれるかは、数少ない州(いわゆるスイング・ステイト)の数万人に過ぎない有権者の選択によって実質的に決まってしまう。
・しかもその結果は、気候変動やウクライナの戦争を初め、世界全体に巨大な影響を与える。
- エコノミスト誌は、トランプ再選を「2024年の大きな危険」と呼び、「世界予測が、今回ほど1人の人物の行く末に左右されたことはない」と述べます。
同誌が予想するように、プーチンも、ウクライナやガザの運命も、この人物が当選するかどうかに依存するとすれば、恐ろしいですね。
そして2024年の世界は,引き続き悲惨な戦争を抱えたまま、過ごしていかざるをえないのでしょうか?