「トランプ復帰の可能性」と「平和の配当は終わった」

  1. 先週は六本木の国際文化会館で、同世代3人、昼食をとりながらのお喋り会がありました。

英国エコノミスト誌5月27日号の2つの記事が話題になり、最後には「長く生きても良いことはないね」という悲観論が出ました。

2. 1つはトランプ前大統領についての論説です。

(1) 本号の表紙は、彼の顔半分の写真に「The haunting(悪夢)」とあります。

論説の見出しは、「Seriously? Yes」(今風に訳せば、「マジで?」)「ドナルド・トランプが復帰する可能性は、残念ながら高い」。

(2)「来年11月のアメリカ大統領選挙を予測するにはまだ早すぎる。しかし現時点では、ドナルド・トランプ共和党の候補者選びで大きくリードしており、そうなると次期大統領になる可能性が現実味を帯びてくる( Trump thus has a real chance of becoming America’s next president)」。

(3)と予測した上で、

「自分が勝ったときしか選挙結果を認めない、議事堂襲撃事件の主犯者を殉教者と呼び、大統領になったら恩赦を考えると公言し、債務上限問題ではデフォルト(債務不履行)を主張し、法違反を問われる裁判を幾つも抱えている・・」、 

こういう人物の勝利は、西欧世界の分断を招き、何よりウラジミール・プーチンを喜ばせるだろう。

――と総括し、

アメリカの未来のみならず、民主主義や保守主義や品位に関心を持つ誰もが、トランプ以外の人間が共和党の候補者として勝利することに賭けるべきである」と主張します。

 

2. エコノミスト誌5月27日号のもう一つ気になる記事は、「世界的な軍拡競争の代償。平和の配当さようなら(The cost of the global arms race. Farewell ,peace dividend」と題します。

 以下、簡単な要約ですが、

(1) 「冷戦終結にあたり、アメリカのブッシュ(父)大統領は、軍事費の削減が経済の

活性化につながるという考えを広めた。同国の軍事費は1989年のGDPの6%から、10年かけて約3%にまで減った。

 しかし最近の地政学上の不安定―とくにロシアのウクライナ侵攻と中国の台湾に対する威嚇―を主因に、軍拡の動きが拡がり、かつての平和の配当の時代は終わった」

 

(2) 「昨年の軍事費支出の伸びは世界全体で実質4%伸びた。今後、9~12%もの増加が予測される」

 

(3)・中国とロシアはむろんだが、インドやサウジなど中東の伸びも著しい。

NATO加盟諸国はドイツを筆頭に、GDPの2%を軍事費に当てる目標の達成に向けて動き出した。加盟30カ国のうち、2%を達成している国は、2014年の3カ国から昨年は7カ国に増えた。

・そして「日本は、2027年までに防衛費をGDPの2%にまで引き上げ、世界第3位の軍事大国になることを目指している」。

 

(4)記事は,高齢化、気候変動、金利上昇など新たな支出増に加えて、各国がどのように財源をねん出するのか(とくに日本とポーランド)、懸念を表明しています。「我国は2%達成を目標にしない」というカナダ首相の発言も伝えています。

 

(5)しかし、全体的な記事の論調は「平和の配当の終焉」を指摘していて、これが世界にどのような緊張関係を増幅していくのか、暗澹たる気持ちになります。

 昼食をともにした3人の中で最年長の某さんは、「人間はいつまで経っても利口にならないな」と呟いていました。