1.五月晴れの気持ちよい日、妻と二人で調布の神代植物公園に満開の薔薇を見に行きました。大勢の人出でした。
2.それぞれに付けられた名前を確認するのも楽しみです。
「プリンセス・チチブ」「イングリッド・バーグマン」などは毎年迎えてくれます。
「ピース(平和)」という薔薇もあります。
米タイム誌5月23~30日号は、「次世代のリーダー10人」を選ぶ特集記事を載せました。
トップは、ウクライナの33歳の女性オルガ・ルデンコ。読書と日本のアニメが大好きな、「キーウ・インデペンデント紙」(以下「キーウ紙」)の編集長です。
4. 電子版だけの、20人強のちっぽけな日刊新聞は、侵略のわずか2週間前に発足しました。
いま、「英語で発信される、この戦争のもっとも信頼できるウクライナからの情報源」とタイム誌は評します。ツィッターのフォロワーは200万人を超えます。
5.彼女とその仲間は、戦争が近いと確信して既存のメディアから独立して本紙を立ち上げ、以後、危険かつ悲惨な戦場と化した場所に留まり、情報収集と発信に努めています。
「ジャーナリズムは正義の実現を助ける仕事だ」と語ります。
6.その「キーウ紙」が、5月24日に「ニューヨーク・タイムズの社説への応答」と題する社説を載せました。
ニューヨーク・タイムズ(以下タイムズ)は、170年の歴史を有する、リベラルな、アメリカでも有数の高級日刊紙です。
ウクライナを支持するタイムズ紙の姿勢はキーウ紙も十分認めている。しかし、5月19日の「社説」には賛同できず、鋭く反論しました。
(1)タイムズ紙は、
・ウクライナが決定的に勝利すると考えるのは現実的ではない。
・ロシアは強大であり、プーチンは自らの威信を賭けている。
・ウクライナは辛いだろうが、一部領土の割譲を譲歩すべきであり、アメリカはその方向で説得すべきだ。それがこれ以上の殺りく、世界の食糧危機、エネルギー危機を救う道でもある。
――という社説を掲げた、とキーウ紙は紹介し、これは第2次世界大戦時、英仏がヒトラーに譲歩したと同じ「融和政策」であり、ウクライナは断じて譲歩しないと主張します。
(2) なぜなら、まず,そもそも大義のないロシアの軍隊は、決して 強くない。
しかも、ウクライナ国民は、この戦いが自国の生存と独立のための防衛戦であり、敗れれば滅びることを十分理解している。
だからゼレンスキー大統領といえども、国民を説得することは出来ない。
(3)しかもウクライナは、「長く続く平和で自由な“世界”」のためにも戦っているのだ。
ここで譲歩するのは、ロシアの、レイプ・拷問・大量虐殺を見逃すことになるのではないか。ファシスト国家の更なる侵略を許すのではないか。台湾に対して、中国に譲歩しろと迫るのと同じではないか。
(4) その為にもアメリカはロシアに妥協せず、支援を一層強化してほしい。それはアメリカそして自由世界すべての為でもある筈だ・・・・・・。
- キーウ紙社説の必死な訴えには心を打たれます。
(1) 他方で英国BBCは、「大きすぎる血の代償に、停戦を求める声が大きくなっている」と伝えます。
(2) しかし英国エコノミスト誌は断固として反論します。最新27日電子版の論説は、名前はあげませんがキーウ紙を全面的に支持する内容です。
即ち、――「今はふらふらする時期ではない。ウクライナに必要なのは弱腰のアドバイスではなく、支援なのだ。プーチンとの妥協は、永続する平和をもたらさない」
(3) NY タイムズと英エコノミストという古典的リベラリズムの両雄が、いまプーチンの残酷な戦争をいかに収束させるかをめぐって、真向から対峙しています。