「聞こえない声に耳を傾ける」

  1. 前回は「恵泉蓼科ガーデン」の紹介をしました。

高橋さん、Masuiさんから、恵泉OBの友人が居るとのコメントで、何れも母校に良い思い出をお持ちのようです。

「(ガーデンは学校の創立者)河井道さんの理想がかたちになった」とは飯島さんの感想です。

 Masuiさんは、「菩提樹の大樹を見ると西ドイツにいた頃を懐かしく思い出す」とも。

 田中さんからは、「「聞こえない植物の声に耳を傾けるようにしている・・・」、本当にそうですね。「人」もまた然り」とあり、納得です。私もガーデン長のこの言葉に共感したので、その場でメモ帳に書きとめました。

  1. 他方で岡田さんは「今年はとてつもない暑さ」と書いておられます。

私どもは申し訳ない気持を抱えつつ、庭で過ごす時間が長く、緑を眺めながら食事をし、本や新聞を拡げます。

時には来客もあります。シドニーでご一緒したMさん夫妻もこの地におられて、先週お招きしました。庭でワインを飲みながらお喋りをしました。

シドニーと言えば、昔住んでいた頃は、一年を通して冷房も暖房も要らない気候でした。いまはどうでしょう。オーストラリアは「ラッキー・カントリー」と呼ばれますが、豊かな自然と資源に恵まれ、住みやすいところでした。

 

3.そのシドニーに永住する野田桂子さんのフェイスブックで、長年連れ添った夫の逝去を知りました。享年79歳。

(1)私が勤務していた頃は日本からの企業進出が盛んで、社交クラブもオープンしました。経営する上品で和服の似合う素敵な女性が彼女で、「マドンナ」と呼ばれて誰にも好かれ、頼りにされていました。日本舞踊の名取で、しとやかながらしっかりした女性で、お世話になりました。

(2) 勝手ながらフェイスブックの一部を引用させて頂きます。

「3年余り前肺ガンが見つかり、治療に専念しましたがガンは消えず。ただ痛みも不快感もなく、穏やかな日々を過ごして来ました。しかしガンは急に成長し、検診で主治医から、治療ではなくPalliative Care(緩和ケア)を勧められました。すぐに緩和ケアチームの手厚いサポートが始まり、自宅で過ごしていましたが、じわじわ衰え始めSacred Heart(ホスピス)に入院しました。

入院してからは、家族が交代で毎日ランチとディナーを届け、食事を楽しんでいました。ホスピスは面会時間が長く、家族たちはまめに病室を訪れることが出来ました。ペットもOKで、ベッドで愛犬達が寝そべったりしてました。大勢のスタッフ達が親身に介護してくれた中、日本人のナースがお二人いて、どんなに心強かったか。本当に有り難くて感謝の気持ちで一杯です」。

  1. 拝読して、心に沁みました。

(1)おまけに野田氏は20年前に肝臓の移植をしており、その時の主治医も最後まで相談にのり緩和チームと連携してくれたそうです。

(2)私は過去に、シドニーで亡くなった友人を何人か知っています。何れも遺族から、病院や施設での対応への深い感謝の言葉をお聞きします。

(3)日本での対応は果たしてどうだろうか。シドニーと変わらないかもしれない。しかしこんな風に、死にゆく者の身になって「聞こえない声に耳を傾けて」くれるだろうか、不安も感じます。

もし違いがあるとしたら、なぜ、どこが違うのだろうか?

そんなことを考えています。