- 信州の田舎家に居を移して10日が過ぎました。
老夫婦二人の静かな日々です。当地も気温は高いですが、朝夕は涼しく、人が少なく、緑がふんだんなのが有難いです。聞こえるのはうぐいすの鳴き声ぐらいです。
- 先週の日曜日は、「恵泉蓼科ガーデン」の一般公開日で、お庭を見学しました。
(1)恵泉女学院は東京世田谷にある歴史の古い中高一貫の女子高で、大学もあります
(ただし来年から新入生の募集停止となる)。
(2)創立当初から、「聖書」「国際」「園芸」の3つを教育の柱とし、「園芸の恵泉」として知られ、正課に取り入れています。
(3)学校案内には、
「中1の授業はまず「じゃがいもの植え付け」から始める」、「額に汗して、土に親
しみ、植物を育て、いのちを慈しみ、花のある生活を築いていく女性を育てる」
とあります。
3.その恵泉女学園が保有する研修施設「蓼科ガーデン」は、我が家から車で5分ほどの八ヶ岳山麓にあります。
1985年に「自然と人間生活の融和」をテーマに創設され、自然から学ぶという姿勢で維持管理している由。
標高1150メートルにあり、広さは1万平米。骨格は英国風ガーデンだが、作庭にあたっては可能な限り土地の自然をそのまま受け入れることを重視した。
- 年に数回一般公開をしていることを、近くに居ながら今まで知りませんでした。
友人夫妻に誘われて今回初めて訪れました。日差しの強い日でしたが、緑を堪能しました。
近隣の人たちが朝早くから入場し、まず広場の中央に立つガーデンのシンボルともいえるリンデンバウムと隅にあるメタセコイアの大きな樹が目につきます。
ガーデン長の小澤さんの話を聞きながら彼女の案内で園内を見て回りました。
4.リンデンバウム(西洋菩提樹)は姿の美しい樹です。蓼科の風土に合うようです。
ヨーロッパ中南部に広く分布する、中世ヨーロッパでは「自由」を象徴する木とされたそうです。シューベルトの歌曲で有名ですね。近藤朔風訳詞は、「♪泉に沿いて茂る菩提樹、したいゆきては、うまし(素敵な)夢見つ・・・」。
小澤さんによると、「今年は花(とても地味な花です)がたくさん咲いた。葉と一緒にハーブ茶にして飲む、秋には黄色く色づく・・・」。
- そのあと約50分、メインの通りや薔薇園、ハーブガーデンなどを廻って歩きま
した。その間、彼女の語りは,
(1)教育施設でもあるので、商業施設とはコンセプトが異なる。あまり手をかけずに、植物の自生を大事にしている
(2)花を愛でるだけでなく、木や草や葉も見てほしい。花だけでなく、それらすべてが美しく、それぞれに個性があり、多様性に富んでいる。
(3)それらの個性に応じて庭のいちばんふさわしいところにそれぞれを植える。
そして、「聞こえない植物の声に耳を傾けるようにしている。お腹が空いた、水が欲しい、日に当たりたい・・といった声を聞き取るようにしている」。
(4)最後にロックガーデンに案内されて、日本と西洋の美意識の違いにも触れて、
「ここが、八ヶ岳の石と緑と水との調和を考えていちばん苦労した庭です。西洋のガーデンは石は埋めてしまいます。欧米から訪れた人は、ここにいちばん印象を受けるようです」と言われました。