テレビ番組「新発見!言葉でつながる小鳥たち」

1, 蓼科で過ごしていると、古い・小さいテレビしかないこともあって、見る機会が減ります。その代わり、庭にやってくる小鳥を眺めています。

そんな訳で、東京の家で見た、小鳥たちの生態を伝えるテレビ番組を取り上げたいと思いました。

 

BSの「ワイルドライフ」という動物たちの生態を追うシリーズの1つに、「言葉でつながる小鳥たち」という番組がありました。初回放送は2021年9月で、私はつい最近再放送で見ました。

2.動物行動学を専門にする京都大学の若い学者(鈴木博士)が,軽井沢の森で、シジュウカラなどカラ類の生態を4年間にわたって調査した。

 

その結果、

(1)彼らの鳴き声は約200パターンあり、情報によって使い分ける

(2)一つ一つの鳴き声に意味がある

(3)すなわち、人間と同じような言葉の機能がある

といったことが分かってきた。

これはNHKの解説によると、「世界的な新発見」だそうです。

3,例えば、

(1)巣箱に入るシジュウカラを観察する。メスが産卵をし、ヒナを育てる。

メスが鳴いて「お腹が空いた」と知らせると、巣箱の外で「そばにいるよ」と鳴くオスが餌を運んでくる。

 

(2)天敵である蛇のはく製を置いて様子を見ると、「ジャージャー」と鳴く。この鳴き声は蛇を見た時にしか出さない。

「ジャージャー」は単なる恐怖の叫び声ではなく、蛇の指示名詞である。

 

(3)親鳥は「ツビー」という鳴き声で巣立ちを促す。巣立ったヒナのいるところに、はく製の蛇を置いて様子を見る。

すると、親鳥が「ジャージャー」と鳴き、しばらくすると子供たちも真似て鳴くようになる。

すなわち、親が教えることで子も鳴き声(言葉)を学習し、覚えていく。

4, その結果、種を超えてコミュニケーションが実現することがある。

(1)食べ物が少なくなる秋から冬に、「混群」を見かける。

種の違う・同じカラ類が言葉を通してつながり、鳴き声を通して理解しあう。

(2)シジュウカラが「ヂヂヂヂ」と鳴き、これは「集まれ」の意味。

これに、コガラ、ヤマガラも自分たちの鳴き声で続き、集まってくる。

(3)「集まれ」は「食べ物の在りかを教える」ためであり、発見者シジュウカラ松ぼっくりのある場所まで飛んでいき、あとから皆が続く。

➡鈴木博士はこの行動を、「言葉で情報を伝え合う鳥たちの生存戦略」と名付けます。

5.しかも、

(1)天敵タカがやってくることがある。すると、シジュウカラは「ヒーヒーヒー」と鳴いて危険を知らせる。ヤマガラなどもこれを理解して一緒に逃げる。あるいは一緒になって威嚇してタカの攻撃を諦めさせる・・・

 

(2)「警戒しながら集まれ」という具合に、二つの鳴き声を合わせて、いわば「文章を作る」こともある。

 

(3) この「ヒーヒーヒー」を他のカラ類の鳥だけでなく、リスも理解する。

シジュウカラのこの鳴き声に反応して地面にいたリスがあわてて木に登っていく様

子を、NHKが映像に残しています。

6.ほかにもいろいろな事例を紹介していて、とても面白い番組でした。

例えば、

・同じシジュウカラでも長野と東京、沖縄とでは鳴き声が少し違い、「方言」まである。

・違う種同士で伝え合うだけでなく、時に「嘘」をつくこともある。

 餌台に餌を置いて観察すると、いちばん弱いコガラは餌争いで負けてしまう。すると、「タカが来た」というウソの鳴き声を発する。他の鳥が逃げたところで、自分は餌にありつく

――というような状況も映像で示してくれます。

7.この番組、

東京でブルーレイに採録してあるのを何度も見て、楽しみました。

 

いま蓼科では、小鳥たちの姿は毎日眺めます。

姿は見えませんが、ウグイスも鳴きます。

カラ類はここではあまり鳴きません。情報伝達の必要性が少ない環境なのかもしれません。

私たち夫婦は揃って蛇が大の苦手なので、庭で彼らがとつぜん「ジャージャー」と鳴きだしたらどうしようかと心配しています。