ksen2005-11-30


アリス・テッパー・マーリンのdeep truth(本当の自分)ー11月14日および20日を参照ーに話を戻しましょう。
彼女は、ニュージャージー州の大西洋岸に近い、美しいヴィレジで生まれ・育ったそうです。父親は富裕な実業家で、生家の敷地は13エーカー(何と約1万6千坪!)もあり、大きな邸宅に住み込みの使用人が2人住んでいました。その後―ちょうどアリスが障害児のための夏のキャンプでボランティア活動を始めた頃にー父親は事業に失敗して、彼女も大学を卒業してから自活の道を選ぶことになります。
しかし、少女時代に両親から教えられた価値観がいまの自分を作ったと感じています。即ち、特権には責任がともなうこと、自然や動物を深く愛すること、人は等しく敬意と平等な機会を与えられるべきこと、そして勤勉であること。食卓の話題には、政治問題や社会問題が取り上げられ、貧しい人たちについても話しが交わされたそうです。しかし実際には、13才の夏のキャンプを経験するまで、貧困について何も知らず、貧しい人たちを見たこともなかったのです。そんなアリスにとって、夏休みのボランティア活動がどれほど強烈な体験だったことでしょう。
私は、「ニューヨーク美術案内」にある千住氏の教育についてのコメントを読んで、アリスが私たちに語ってくれた”deep truth”の一部、幼い頃の家庭教育を思い出しました。