ksen2005-12-05

そもそも、日本にソーシャル・アントレプレナー社会起業家)なる存在が本当に必要なのか?必要とすれば何故なのか?を考えてみる必要がありそうです。別に呼び方は何でも構わないのですが、どういう人たちかという共通の理解が大事だと思います。ここでは、あまり難しく考えないで、「世の中を少しでも良くするため・変えるために、自分も充実した時間を送りながら、ドン・キホーテ(これ、安売りの店のことではありませんよ)のように発言し・行動する人」とでも理解しておきましょう。
念頭に置くべきひとつに、日本もアジアの一員であるという認識に立って、アジアの貧困という問題があります。週刊誌「ニューズウィーク」国際版(Newsweek International)の11月21日号は「増大するアジアの貧困(Asia’s Growing Poor)」という特集でこの問題を取り上げています。
記事は、過去25年のアジア経済の急成長にも拘らず、なぜアジアの人口の半分は依然として1日2ドル以下の貧困状態にあるのか?という問いかけではじまります。そして、「アジアは、栄養不良、スラムでの暮らし、水や衛生の不足状態にある人間を、世界のどの地域よりも多く抱えている」という、9月国連総会での黒田アジア開発銀行総裁の言葉を引用しています。
紹介されている統計を幾つか・・・アジア全体で1日1ドル以下で暮らす最貧層が7億人。2ドル以下まで入れると19億人、これは第2次世界大戦終了時におけるアジアの全人口を越えているそうです。現在、1人あたりのGDP国内総生産)の全世界平均が約9000ドル。そしてタイの平均はこれより70%低く、中国の平均は84%低く、インドネシア−86%,インド−92%,ベトナム−94%,ビルマ−98%(1人当たりのGDPが約180ドルということ)。対するに、平均を上回る主要国はアジアで3つ、シンガポール+195%,韓国+65%,そして日本はダントツで、世界平均の3倍強(319%)です。日本はまさにアジアの特権階級といえるでしょう。「特権には責任をともなう(With privilege comes responsibility)」というアリス・テッパー・マーリンの家庭教育を、痛みとともに思い出します。