かものはしプロジェクトの村田早耶香さんについて、私のような年寄りかつ庶民に出来ることは多くありません。ほとんど何も無いと言ってもいいかもしれません。

せめて、機会を作ってあげて、こんな生き方を選んだ若者が日本にもいるという事実を多くの人に語り伝えていきたいとは思います。

とくに、同世代の若者に知らせたい。ということで、今回の講演を企画して、はるばる京都まで来てもらったのですが、果たして彼らにどんなメッセージが伝わったでしょうか?


やや前回の繰り返しにもなりますが、彼女が、いまの活動を始めたいと思ったのは大学2年生。スタディツアーでカンボジアを訪れて、児童買春の実態を知ったそうです。
助け出された少女たちに会う機会もあり、貧しさのために売春宿に売られた母親がHIVに感染し、5歳の娘も伝染したという何とも悲惨な話も聞いた。

「政府機関を含めて誰も手をつけていない児童買春の撲滅に、自分の人生をかけてもいいから何かをしたい」と強く思ったという。幸いに共感する仲間や支援者が現れて、NPO(非営利組織)を設立。IT(情報技術)事業で収入を図りつつ、カンボジアに事務所とパソコンの訓練学校をつくった。少女たちに技術を習得させて、日本からの受注によってビジネスとしてスタートさせる。他方で「コミュニティ・ファクトリー」と称して、農村に活動を広げ、親たちの経済的自立を支援している。


 活動を始めて5年。完全に軌道に乗っているとはまだいえないかもしれないし、当日も講演で触れていたように、この間、失敗も挫折も苦労も山ほど経験したことでしょう。しかし、「カンボジアの子どもに笑顔を取り戻したい」という想いは強く、それは、講演を聞いた多くの若者の胸にも届いただろうと思います。

二次会で何人かの学生にも参加してもらって、村田さんとホテルで夕食をともにしながら講演のフォローをしました。

この日、私自身が学んだこともたくさんありました。

例えば、もちろん児童買春自体をビジネスとして扱っている人間がおり、おそらくアンダーグラウンドの世界ともつながっているだろうこと。だから彼女はカンボジアでは、生命の危険もあって、児童買春の撲滅というスローガンはいっさい使用せず、あくまで貧困をなくすことを活動の使命として掲げているそうです。

また例えば、児童買春は悲しいことにそういう特殊なニーズをもった人間の欲求によって成り立っていること。不幸にして少女としか交われないという病、これをペドフィリアと呼ぶのだと教えてくれたのは、実は、当日の夕食会に参加した学生の1人でした。

この年になるまでそんな専門用語も知らず、勉強になりました。
そして、これは、欲望の側からも対処しないと根絶しないかもしれない、もちろん、村田さんの活動には最大限の敬意を払いつつも、他方で「もとから絶たないとだめ」という現状をどう考えるか、といささか暗然たる思いでした。