「寛容の精神」と「アメリカ」という国

ksen2009-05-16

海太郎さん、「寛容の精神」、ご指摘の通り、いい言葉ですね。

もちろん、私自身も格好つけて使っていますが、じゃあ、身につけているかというと
はなはだ自信がない次第です。


今朝の日経を見ていたら、「カナダから帰国し、新型インフルエンザに感染した大阪の
高校生が退院し、学校に戻る→一部に、中傷やいじめが懸念される」という
記事が載っていました。

こういうの、本当に悲しいですね。


もっとも、「寛容の精神」とは何か?
は意外と難しい。

例えば、アメリカは「寛容」の国か?

梅田望夫は、『ウェブ時代をゆく』の「終章」でこんなことを書いています(231ページ)。



・・・さまざまな矛盾を抱えるアメリカのすべてを肯定する気はないが、
「あなたの国の疲れた者、貧しき者を、私のもとに寄こすがいい」で始まる「自由の女神
の台座に刻まれたエマ・ラザルスの誌に象徴される開放性と寛容の理想が私は好きである。


(略)アンディ・グローブ(注:インテルの創業者)は、1956年、20歳のときにハンガリー動乱
に関わり祖国を脱出して難民輸送船でアメリカにやってきた。アメリカに下り立つと、歯医者、
眼鏡、補聴器の費用から、大学の奨学金、教科書代、生活費の一部まで、難民支援団体が支払って
くれた。そのことに彼は感激し、アメリカでの自立に向け猛勉強し、「自助の精神」でたくましく成長し、
機会を与えてくれたアメリカへの愛国心を抱く。私はこういう話を聞くとなぜか無性に嬉しくなる」



長い引用になりましたが、実は、私は、いま「アメリカ」のビジネスや企業や金融や経営者
について講義をしています。

そこで感じるのは、若者に、アメリカ嫌いが増えてきているという傾向です。

もちろん、イラク戦争ブッシュ政権にみられる一極主義、「アメリカ」発金融危機
といわれる「暴走する資本主義」が、自分たちの日々の暮らしや将来の就職活動にも影響している・・・
という不満や不安も大きいでしょう。


しかし、どうも、彼らは、アメリカを「寛容」の国とは見ていない・・・・という気がします。


たしかに、ロバート・ライシュの言うように、民主主義と資本主義のバランスが
崩れてしまったという現状は否定できないでしょう。


アメリカ」の授業で、私は、古い映画を観てもらうことで、このバランスについて若者に考えて
もらおうとしているのですが、その意図が果たせるかどうか?


因みに、映画は以下の3つです。

駅馬車』(1939年ジョン・フォード監督)―フロンティアの精神とは?アントレプレナーとは?

スミス都へ行く』(1939年、フランク・キャプラ監督)―「民主主義の教科書」といわれる作品

ウォール街』(1985年、オリバー・ストーン監督)―市場、株主、そして「強欲」(Greed)とは?


こういったことを考えてもらった上で、秋学期の「社会起業論」
につなげていきたいと希望しているのですが・・・・