皆様のコメントに感謝です

例によってお礼が遅くなり恐縮至極ですが、
3人の方々のコメントまことに有難うございました。

以下今回はコメントへのお礼で終わりそうですが・・・


1. まず23日付我善坊さん、丸山さんの「精神的貴族主義」という言葉、
「好きだが、気恥ずかしい気もする」というのは確かに頷けますね。

ただ、「旧制高校教養主義の匂い」については、この言葉自体にはそういう
「匂い」を感じるとしても、丸山さんはこれと「民主主義とを内面で結びつける決意」
を語っているわけで、旧制高校教養主義には、民主主義へのコミットメントの方は
発想としてなかったように思います。

因みに戦前の「教養主義」を支えたのは、良くも悪くも都市の気風よりもむしろ
農民的刻苦勉励の精神であり、立身出世と結びついていたと指摘するのは、
ご承知の通り、竹内洋元京大教授です(「教養主義の没落」中公新書)。

(注)


2. 同じく23日付けMikkoさん、お読みいただいて有難うございます。


「政治」の現場で苦労しておられる方々からすれば、
丸山「政治学」なんて、現実を知らない・学者のナイーブな
主張だと一蹴する人も多いのではないでしょうか。

彼はおそらく、政治家ではなく、我々のような一般市民に対して、
政治への心構えを語っているのでしょうね。
(政治家の中に立派な人がたくさんいることは別としても)
政治そのもののいかがわしさに「絶望する」ことなく、
ノンポリになることもなく、「いやいやながら」も発言し、参加していく、
そして1人1人が「思想」(政治の世界であれば、「いまさら」と言われようが、
民主主義)を価値化し、伝統化していくことを考える、そういう市民のありよう
を期待しているのだろうと思います。

3. 最後に、20日付Northさん、まことに勉強になりました。ご指摘感謝です。

(1) 恥ずかしながら不勉強にて、Richard WrightもH.L.Menckenも名前だけ
しか知りません。「The library Card」は面白そうなので、早速、アマゾン経由、
購入することにしました。

(2)「1964年以前、南部黒人には図書館からの本の借り出しは不可だったではないか」・・・
この小説の舞台は南部ではないので多少事情が違うかもしれませんが、
基本的には、たしかにご指摘の通りですね。



私が、南西部テキサス州のダラスで過ごしたのが、1966〜67年、
公民権法のあとですが、それでもまだ、黒人お断りのレストランがたくさんあり、
バスは、白人は前、黒人は後ろと決まっていました(アジア人=オリエンタル
である私は「君は前でいいんだよ」とわざわざ言われました)。


(3)それでも公民権法のあとですから、少なくとも公立や大学の図書館は、
黒人立ち入り禁止ということはなかったと思いますし、貸し出しもOKだった
のではないかと思いますが、はっきりしません。
 
何れにせよ、勉強になりました。もう一度「Goodbye Columbus」を読みなおして
みたいものです。


というようなことで、夏の名残を味わいつつ、ブログを書くことの有り難味を
痛感しております。

今週末は、おそらく今年最後の田舎での時間にて、

山を眺め、もぎたてのトマトを堪能しています。


(注)この丸山さんの言葉を「丸山真男『日本の思想』精読」
(岩波現代文庫、2001年)で
著者(宮村治雄)は以下のように解説しています。


・・・「精神的貴族主義」とは、「自分が自分である」ことをかけがいのない
価値とみなす勇気であり、それは「教養」や「文化」の次元で敢えて「少数者」で
あることを懼れない内面的矜持のことです。しかし、それは決して「孤立」や
「孤高」の自己満足へと誘うものであってはならない。むしろそれこそ、「政治」
への独自の回路を開くものであるからです。・・・・・(P.78)