英国:パブ文化とクラブ文化

1. 土論汝さん、コメントまことに感謝です。

また、柳居子さん、ブログに紹介を頂き、有難うございます。
http://plaza.rakuten.co.jp/camphorac/diary/201007230000/

英国は真夏でもご指摘の通り「散歩日和」です。

国立の美術館が無料なのには確かに驚きますが、それだけでなく写真撮影が原則OKなことも、アメリカも同じで、メトロポリタン(NY)やナショナル・ギャラリー(ワシントンDC)について写真の掲載とともに昔のブログに書きました。
http://d.hatena.ne.jp/ksen/20051124


2. 滞在中は旅行にも出ますが、家の周辺に居ることも多いです。

娘夫婦の住まいは、ロンドンから20マイル(32キロ)ほど離れたサリー州(テニスで有名なウィンブルドンも、有名なゴルフ場のウェントワースもサリー州)にあるオターショウという人口3700人ほどの小さな村です。
オター(Otter)とは「かわうそ」のことだそうで、「ショウ(Shaw)」は英語の古語で「茂み・雑木林」の意味だと辞書にあります。昔、かわうそが先住者としてたくさん居たのでしょうか。


3. 村には、「かわうそ」の看板のある集会所や、教会や学校や数軒がならぶ商店街があり、もちろんパブやクラブもあります。

パブ(パブリック・ハウスの略)
までは歩いて20分ほど、いままでで2回、ひとりで散歩をして半パイントのビールを飲んで休んできました。

もちろんパブは仲間で集う大事な居場所で、ひとりで来ている人は私ぐらいで、仲間や男女が楽しそうにしゃべっています。

パブと同じく大事なのがクラブで、英国は「パブ文化」「クラブ文化」の国だとつくづく思います。

クラブと言ってもごく庶民的な、パブと内実変わらないものもあり、他方で、いわば中産階級の・大事な「居場所」もあり、ゴルフもテニスも出来、ジムもプールもあり、食事も宿泊も出来て、広い敷地にマナーハウスのような建物が建っている場合が多い。ブリッジやヨガの教室なども開かれる。家族ぐるみの様々な行事も開催される。オター村には下の写真のような
「フォックス・ヒルズ」というクラブがあって、審査を経て会員になれるわけですが、娘夫婦もいずれ入会したい(まだ、ここに引っ越して半年ですが)と言っていました。


4. クラブ生活をエンジョイしている先輩の日本人に佐藤さんという夫婦がいます。

このご夫婦とは20年前に私たちが住んでいたときに知り合って、ほぼ同世代のこともあり、たいへん親しくなりました。今回も実に久しぶりに、お会いして、早速自宅に招んで頂き、ご馳走になりました。

ご主人はもと日本企業の駐在員でしたが、退職してそのまま英国に住み着いて、もう40年になります。
サリー州のヴァージニア・ウォーターという村に住んでいますが、ウェントワースはこの中にあり、彼らはもう20年以上、ここのテニスクラブの会員です。

自宅だけでなく、クラブにも行ってクラブハウスでお昼をご一緒しました。


週に最低2回はテニスのダブルスを続けているそうで、その仲間とはテニスだけでなく、家によんだりよばれたり、ブリッジをしたり、日々の付き合いの中心であり、大事な「居場所」である。

隣近所も、一部ではあるでしょうが、とても親しくしている場合があって写真のように
裏庭にゲートを開けて(それも隣人が自分で作ってくれて「日本式に作ったよ」とのこと)行き来している人もいる。


5. クラブ文化というのは、理由は分かりませんが、なかなか日本では育ちにくいですね。
実は昔ロンドン勤務のとき、ウェントワースは、私の所属する企業も法人会員になって、私も何度も(下手な)ゴルフをしました。
写真は1番のティー・グラウンドとクラブ
ハウスです。

しかし、男性だけが(しかも日本人だけが)週末ゴルフをして、終われば自分たちだけで食事をして帰ってしまう。家族はおろか、他のメンバーとの付き合いも、ほとんどない・・・こういうのは「クラブ」の付き合いではないでしょう。

日本的な「法人会員」という制度も、バブルの頃、いわばクラブの資金集めのために始めた制度だと思いますが、他の会員の評判はさぞ悪かったろうと思います。いまでも、こういう制度があるか、日本企業が入っているか、知りません。

6. 佐藤さんのお宅の庭に4人で座って、ワインを飲みながら、そんな話しをしました。


この国には、不便なこと、不合理なことがたくさんあり、清潔でない、きちんとしていない,効率が悪い、サービスがよくない・・・・等々、日本的な価値観からすれば問題がまことに多いようです。

例えば、電車はよく遅れるし(しかも説明は一切ないし)、電気洗濯機はいまだに旧式のドラム式で洗い上げるのに1時間はかかるし、きれいに洗えないし、これは冗談とは思うけど佐藤さんの話では郵便物の3%はあて先に無事に届かない(配達員が、面倒臭い、と捨ててしまう!)とか・・・・


しかし、そんな諸々のことを含めて、彼らが英国生活、人間関係、自然、そして「余裕」を本当にエンジョイしていることをひしひしと感じました。