再びフェイスブックとマーク・ザッカーバーグ

1. 例によってお礼が遅れました。
十字峡さん、1月30日付コメント有難うございます。


「わが意を得たり」は光栄です。
ブログをきっかけに「京都まち暮らし」を話す機会があったとのこと
よかったですね。
京都の価値と独自性をこれからも発信されることを期待いたします。



2. 私はよそ者ですが、しかし2回のブログで書きたかったのは
(1) 京都に(住むことに)いちばん魅力を感じているのは
実は一部の異邦人ではないか。
(2) その理由の1つに「違い」=多様性を認める文化があるから
ではないか(距離感という言葉を使いました)
という認識です。

若いころからアメリカに暮らして、多様性を尊重することがどれだけ
住みやすい風土を作るか、「出る釘は打たれる」人間関係と
どれだけ違うかを痛感してきただけに、以上のように考えるのも
かもしれませんが。


3. 柳居子さん、2月3日付コメント
「頭脳格差」とはまことに興味深い問題提起ですね。

ご指摘のように、マーク・ザッカーバーグユダヤアメリカ人です。

そう言えば、ブログで触れた、経営学者ピーター・F・ドラッカー
ユダヤ系です(らしくないのは、アメリカに来て苗字を変えたはずです)。


ユダヤ系(ジュウイッシュ、私たちは昔ニューヨークに居るころ
十から連想して、「くいち」さんと呼んでいました)
について詳しくありませんが、確かに頭脳優秀な人が多いですね。

昔、NYで、ゴールドマン・サックスやソロモンブラザーズという
投資銀行に多く、彼らとはよく付き合いました。

「日本人に似ているところがある」と彼らに言われたことがありますが、
どうでしょう?
彼らに言わせると、頭がいい、繊細・緻密である、芸術的な感性にすぐれる、
といって点で似ているそうです。


そういえば、むかし天才ピアニストのホロヴィッツが、
「ピアニストには3週類しか居ない。ユダヤ人とホモと
下手くそだ」と言ったという逸話を中村紘子さんが書いておられました。


4. 「フェイスブック」(以下FB)の発明者
マーク・ザッカーバークも、まあ天才の1人でしょうか。
12歳のときにすでに家族内の交流システムを構築した、
名門校フィリップ・エクゼター校時代には、ゲームを2つ開発し、
マイクロソフトが百万ドルで購入しようとした・・・・

(ちなみに、タイム誌によると彼は金銭や金儲けには
全く興味のない人物で資産800億円とも推定されるいまも
きわめて質素な生活だそうです)

5. ハーバード大2年生(19歳)の2004年に、学生寮の自室から
「大学におけるソーシャル・ネットワークを通して
人々を結び付けるオンライン名簿システム」と銘打って
FBを「発明」(大学は中退)

このサービスは、2年後の2006年には早くも12百万人の
ユーザーを獲得。
09年末には実に3億5千万、昨年末5億5千万人。
いまも1日70万人が加入しており、10億人までは
行くだろうとタイム誌は予測しています。


6. タイムの言い方はやや大げさに聞こえますが、以下の通り。

・・・5億5千万人は世界の全人口の12分の1であり、
アメリカ人の2人に1人が加入している。
75の言語が使用されており、これを国家とみれば、
人口数で中国・インドについで世界第3位。
しかも、どの政府よりも自国の市民についての情報をもっている。


「しかも、数だけの問題ではなく、人と人とのつながり方を
革命的に変えた」=オープンであること、つながっていくこと
(友人の友人は友人である)・・・


7. 因みに、5億5千万のうちアメリカは、1億5千万弱、
インドネシア32(以下百万人単位)英国30トルコ24フランス20
等々。


対して、日本は180万人、中国92,540人
(中国は政府が禁止しているとのこと)
上の写真、「グローバルネットワーク」と題した
地図には「FBはアメリカを征服した。果たして
世界もそうなるだろうか?」というリードがあります。


「日本」については以下の説明が補足されています
「日本だけは、ユーザーは登録にあたって血液型を“自己紹介欄
(プロフィル)”を入れることが出来る。こういう地域特有の
サービスを許容しているのは世界中でこれだけ!」



8. タイム誌が指摘しており、私が興味をもったのは、彼が
大学でコンピュータ・サイエンスと同時に心理学を
主専攻しており
(つまりダブル・メイジャー。日本の硬直した大学制度は
こういう「多様性」を認めたがらない)
それが成功の1つの要因ではないかというくだりです。

「彼ぐらいのプログラム開発能力を備えた人間は他に居ない
わけではない。しかし、彼のようなやり方で人間の心理に
踏み込んだアントレプレナーは居なかった」

「他の起業家たちがインターネットをコンピュータのネットワークと
理解したのに対して、彼はそこに
人々のネットワークをみたのである」

最後に彼の言葉を同誌から引用しておきましょう。


・・・世界には信頼が存在する、と僕は思うんです。
私たちは、人々とその関係を通して世界を理解し、組み立て
ようと欲しているのではないか。
とすれば、大事なのは、可能な限り、信頼の人間関係―これを
友情と呼んでもいいですが−を作り上げる(map out)
ことではないでしょうか」