戦争を多少知っている老人からのメッセージその2


1. 遅くなりましたが、我善坊さん、十字峡さんまことに有難うございます。

2. 朝、いつもの緑道を散歩したら、もう「オカメザクラ」というのが
咲いていました。

東京は、まだ弱いながら余震が続き、ガソリンや保存食料品が減り、電力抑制で電車もお店の空いている時間も減り、一部停電もあります。電車は暖房を切ってあるので寒いです。
卒業式を始め、さまざまな催しが中止されました。
もちろん、被災地のこと・事故現場のことを考えればものの数ではありませんが。


こんなとき自分は何ができるか?
(1) 不要不急の身はむしろ動かない
(2) 買いだめはしない。
(3) 節電をする
(4) そして、ささやかな寄付をして、「少なくとも今は」不平・不満はいわない、批判しない、他人の足を決してひっぱらない。責めない。
(5)被害者にはあまりにもむごいから不可能にしても、どんなに不謹慎と言われても、せめて我々はユーモアを忘れない。
そんなことでしょうか。
我が家では火鉢と炭が活躍しています。

3. 東電に関して、本日の東京新聞佐藤優氏が「頑張れ!東京電力」というコラムを載せています。政府や当事者の対応のまずさ(その多くは当たっているとは思うが)を批判する記事が相変わらず多いだけに目立ちます。

私が「いまは批判はやめよう」と繰り返し訴えるのは我々自身のためでもあります。
批判すればするほど、本社(のエリート連中)は現場に向かって「何やっているんだ。もっと本社に情報を寄こせ」というだけではないのか。現場が本社への対応に時間を取られるようになったら・・・と思うと、これがいちばん怖ろしい。そんな時間も惜しく、必死に動いているはずです。


ここで、ご存じの方もいるかもしれませんが、福島原発の女性職員が流した実名のメッセージを友人が送ってくれたので友人の了解を得て以下にそのまま引用します。

私は涙なくして読めません。


以下引用

今日の朝方 発電所から避難させられ福島の親戚の家で家族と合 流しました
とりあえず私は無事です
お前だけは安全な所へ…と言われ泣きながら企業さんの車で発電所をあ とにしました

本当にこのような事になってしまい本当に申し訳ありません
東電はすごく叩かれてる…
でも逃げずに命懸けで作業を続けてるのも東電です
どうか非難しないで下さい

私も東電の社員として福島第二原発の所員として昨日まで現場対応にも 参加してました
大津波警報で夜中の3時足元も見えないまま死ぬ覚悟で海の目の 前での復旧作業…
冷却機能のある機械は海側のため津波でやられてしまいなんとか復旧しようとみんな必死でした
みんな疲労と戦いながら足を引きずりながら作業にあたっていました
冷却機能を復旧できなければ第二原発も第一原発のような爆発が起きて いました
それを防いで全号機冷温停止させたのも東電です
発電所を見捨てて逃げればこんな状況では済まされません
逃げずに立ち向か っているんです
津波の影響は想像を遥かに超えていました
地震だけであれば第一原発の爆発も起きなかったんです

みんな自分の命を顧みず 停止する作業に全うしてます
多々噂があるけど避難勧告の圏外にいれば健康に影響ある程浴びる可能
性は低いです

健康に影響がある程浴びるのは発電所で頑張ってる作業員のみんなです
殆ど寝ず食わずで現場に行っています
噂に左右されず 避難勧告圏外へ避難して外気になるべく触れな いようにして下さい

彼氏は今もずっと発電所で夜勤を続けてます
今はただ皆の安全を祈るしかできない…
一番怖いのは発電所で作業している皆です
逃げずにそれに立ち向かっているのは東電と関係企業さんです

家族との連絡がつかない人もたくさんいるけど現場へ向かい作業をして ます

それだけは忘れないで下さい
一人でも多くの人に知って欲しい
悪用防止の為コピーではなくURL公開して下さい
発電所のみんなは逃げずに今も戦っています
住民の 皆様には不安な思いをさせて大変申し訳なく思っています
誹謗中傷 覚悟の上で名前も載せます
皆を守る為自分の命と引き換えに今も作業をしている人がいます

こんな状況ですが 自分の命を顧みず立ち向かっているみんなを見て
一緒に復旧作業に当たることができて 東電社員であること 福島第二原発所員であることを誇りに思います」

4. 他方で、別の友人が、以下のメールとともに
友人の陸自OBの活動報告を送ってくれました。

「いま、この大災害のため島根県から災害派遣され、花巻拠点空港でヘリコプター・パイロットとして災害救援活動をしています。
今日は雪で周辺が閉ざされ、激務の中、時間ができたというので現場の状況をまとめて送ってくれました。
ご覧ください。
http://www.h3.dion.ne.jp/~saintex/AVNOB/20110316HANAMAKI.htm


彼も、その中で、
「政府にはいろいろ言いたいことはあるが、今は愚痴はいいますまい。
この国難に遭って政府が自治体が何をしてくれるのではなく、それは彼らに任せ、
私たちはそれぞれの立場にたって何ができるかを考え、真摯に対応していきたい、
国民がそうあってほしいと願うのみです。
私たちは歴史の流れにあって、一つの扉の前に立っています。
美しく優しい祖国再建のために賢明に努力いたしましょう。」
と書いています。 」

5.「国民が何ができるか?」
関西や直接の被害から遠いところでは、平常通り元気に活動してほしいです。


東京の大学、卒業式を中止したところも多いようですが、
古巣の京都文教大学は本日、無事、実施したはずです。

学長にとっては、この時期に祝辞を述べるのはさぞ辛かろうと拝察し、
僭越ながら、ある高校の校長挨拶を親族が前置きとともに送ってくれたのでそのまま転送しました。
サイトとともに以下参照ください。

「卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ(校長メッセージ)」
というサイトが大変評判になっています。

名文です。私の半分以下の年齢の若者へ向けてのメッセージなのですが、何度読
み返しても胸が熱くなります。

涙腺注意、ハンカチ必携。
http://niiza.rikkyo.ac.jp/news/2011/03/8549/


5. 最後に、これもはなはだ僭越ながら、首相以下リーダーの皆さんへ。

不満を感じて批判している人も多い。尤もでしょうね。


しかし他方で、こんなとき、どうやっても誉められることなんかないと覚悟して、動ぜず、冷静に対応するしかありませんね。


そもそも、我々国民の誰もが、戦争も知らず、こんな国難にリーダーシップを発揮した経験なんか(ましてメディア諸君)自分が持っていない。


自分自身、経験も実績もないからこそ、批判も不満も強くなるのは仕方ない。


アメリカだって同じことで、大昔ではあるが、エイブラハム・リンカーンは、アメリカ史最大の国難にあって、「弱気だ」「無能だ」等、味方からも批判され、非難され、糾弾された。ニューヨークの某新聞は公然と攻撃した。名前と風貌にちなんで「エイプ(猿)」と罵られた。辞任要求や暗殺の危険に常にさらされ、
最後には、暗殺された。


しかし、いま「史上、最高の大統領」という評価が定着している。


リーダーの皆さん、あなた方はいま歴史の審判の前に立っているのです。