蓼科生活と長野県の幸福度

1. 前回のオバマ大統領について海太郎さんおよびフェイスブックのコメント有難うございます。
遠い異国の話と思っている人が多いだろう中で関心を持っていただき、感謝です。


2. 今回のブログは非日常から日常に戻ります。
このところ、田舎と都会を行ったり来たりしています。
来週は東京2泊京都4泊で、京都から八ケ岳山ろくに戻ります。

ここは長野県ですが、今月初めの新聞に「県民の幸福度」と題する記事がありました。
(1) 最近国内のシンクタンク都道府県別の「幸福度」ランキングを公表している。
(2) 日本総合研究所が昨年まとめたランキングで長野県が総合で1位になった(因みに2位が東京、以下、福井、富山、滋賀、と続く)
(3) 果たして長野県民はそんなに幸せなのだろうか。

「幸福度」の中身にもよるでしょうが、この調査は、
1人あたり県民所得のほか、健康、文化、仕事、生活、教育の5分野から合計55の指標を使用し、
長野県は、高齢者有業率、待機児童率の低さ、10万人当たり体育・スポーツ施設数などの個別指標で1位だそうです。

ただ、某教授は
「上位県は、地元で安定した生活基盤を築いた人は幸福だが、それ以外の人は県外に出て行く地域、という解釈も成り立つ」
とコメントしていました。

私は、家人が時々行く美容院の店長をしている若者の話を思い出しました。
(1) 東京の大きな店で働いていたが、環境の良さ等に惹かれて、妻と幼児を連れて茅野市の隣の原村に移住し、茅野で働き始めた
(2) お金を貯めて何れ独立した自分の店を持ちたい。妻も美容師なので、2人で、まだこの地にはさほど多くない、新しいタイプの美容院にしたい
のだそうです。

手に職を持った若者が田舎に移り住んで、独力でスモールビジネスを初めて、暮らしていくことが出来れば、いいことだなあと思います。

3. 長野県といっても私は茅野市の山奥に住み、ときどき街に下りるぐらいですが、それでも、たしかにいろんな意味で暮らしよい街だろうなと感じています。
もちろん大都会のような刺激も便利さも無いでしょうし、何と言っても「仕事」を見つけるのがだいへんでしょうが、「暮らし」という面では、自然は豊か、
立派な文化施設やスポーツ施設があり、道路も良く、渋滞もなく、病院もきれいだし、大きな駐車場のある食料品店でまとめ買いが出来るし、ほぼ毎日家人が坂道を歩いて買い物に出かける東京とは大違いです(その代わり、元気な老人は80歳を超え、90近くになっても軽自動車を自分で運転しています。車がないと生活できません)。

個人的には、茅野市の図書館を愛用しており、週に1〜2回は出かけます。
きれいだし、空いているし、スタッフは親切だし、1回10冊を3週間借りられるというのも有難いし、しかも待ちなしで借りられることが多いです。


4.もっとも、都会の暮らしとは違う不便も多いでしょう。
地元の高校もありますが、欲を出して進学校に通うとすれば電車通学。しかも、自宅から電車に乗るための茅野駅まで歩ける距離ではないので、両親による車の送迎等の方法が必要になります。
大学に行けば親元を離れて、今度はお金がかかる。


小学校・中学校は地元ですが、予算の制約からか、スクールバスはない。
公共の交通手段もない。したがって歩いて通学する生徒が殆どと思われる。

私が住む標高1350メートルの山奥にも定住している人たちが100世帯近く居て、中には若い・子供の居る家族も居ます。

そのうちの1家族は夫はカナダ人、奥さんは日本人。
村の小学校まで4キロから5キロはありますが、毎日歩いて通学しています。
いちど、家人と2人で車で家に戻る途中、学校から山道を登って帰る少年を見かけて、
「今日は疲れているみたい、乗っていかない?」
と声を掛けたのですが、乗ろうとしません。
あとで、近くに住む人に間接的に聞いたのですが、
「両親の主義として原則歩かせる。声を掛けてくれる気持ちはまことに有難いが、人によって、あるいは日によって対応が変わるのもよくないので、原則全て断っているようだ」とのこと。
山道を歩いて往復するのはいかにも厳しい日々でしょうが、それを子供にやり通させようとする両親の姿勢に、強い意志を感じました。


5. そして、我が家に戻れば、静かだし、朝夕は涼しいし(その代わり冬の厳しさは格別)、自然は豊富です。
田舎の人にとっては珍しくないでしょうが、自宅の庭で、
運が良ければ、6月には小鳥の巣立ちを目にすることも出来るし、
数日前には、蝉の脱皮を見ました。

蝉の脱皮・羽化は、インターネットのサイトもたくさんあり、
ご存知の方も多いでしょうが、実物を見るのはやはりなかなか印象的です。

以下、ウィキペディアの引用です。
晴れた日の夕方、目の黒い終齢幼虫は羽化をおこなうべく地上に出てきて周囲の樹などに登ってゆく。
羽化のときは無防備で、この時にスズメバチやアリなどに襲われる個体もいるため、周囲が明るいうちは羽化を始めない。
夕方地上に現れて日没後に羽化を始めるのは、夜の間に羽を伸ばし、敵の現れる朝までには飛翔できる状態にするためである。
木の幹や葉の上に爪を立てたあと、背が割れて白い成虫が顔を出す。
成虫はまず上体が殻から出て、足を全部抜き出し多くは腹で逆さ吊り状態にまでなる。
その後、足が固まると体を起こして腹部を抜き出し、足でぶら下がって翅を伸ばす。
木の幹や葉の上に爪を立てたあと、背が割れて白い成虫が顔を出す。
成虫はまず上体が殻から出て、足を全部抜き出し多くは腹で逆さ吊り状態にまでなる。
その後、足が固まると体を起こして腹部を抜き出し、足でぶら下がって翅を伸ばす。」

まさに上の記述どおりの様相でした。