今年初めて蓼科で過ごし、「黙浴」と「黙食」をしました。

  1. 前回は、赤坂で、京言葉や祇園の芸妓だったモルガンお雪の話を聞いたことを記しました。京都から参加した講師他の皆さん、「東京は刺激になりますなあ」と言いながら、帰洛されたそうです。

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 私の方は、7日に「刺激的」な都会を離れて、長野県蓼科に移動しました。もっとも滞在中に東京でも「まん延防止~措置」が発動されたので、あわてて明日には帰京してしばらく謹慎するつもりです。

 ということで5泊6日の短期間ですが、昨年11月以来今年初めての山奥暮らしで、気分転換になりました。

 往路の途中、中央高速の釈迦堂というレストエリアには、花桃がいっぱい咲いている花園があって、ちょうど満開でした。花々も春の到来を喜んでいるようです。

 私ども夫婦は高齢者マークを付けた車の運転ですが、天気の良い昼間、できれば平日の空いている時間に走るようにしています。夜間や雨の日の運転は可能な限り避けます。高速道路でもスピードは出さす、追い越し車線に出ることもほとんどありません。

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2 蓼科の山奥は、まだ緑もほとんどなく、寒々としています。早速小鳥がやってきますが、人の姿は見かけず、静かなものです。

 街まで下りてスーパーに入ると多少は人に出会います。そろそろ田や畑の準備が始まる時期で、地元の農家の人々も畑に出ています。

 我々素人もじゃがいもの種イモを買います。今年も友人夫妻と野菜作りをやるつもりですが、老人はそろそろお引き取りで、長女夫婦の手助けがますます大事になってきました。

 種イモを買った足で、今年も利用させてもらう畑を見てきました。所有者がすでにきれいに耕してくれていて、有難いことです。

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3. 4月の初めは、東京だけでなく当地も温かかったようですが、その後、寒の戻りがあり、滞在中は寒かったです。好天には恵まれました。八ヶ岳はまだ雪が残っています。

 1回270円の市営の温泉に入り、馴染みの蕎麦屋にも入りました。

 東京だと外での会食は難しいですが、当地は少し気楽な気持で入れます。

 長野県は累計感染者は3千人強と東京の約40分の1です。かつ、長野市上田市など県北が多くクラスターも発生していますが、山梨に近い茅野・蓼科はきわめて少ないです。

 それでも、感染対策はもちろん厳重で、スーパーに入るときもマスク着用は当然の義務、温泉では連絡先を記入して、検温を受けます。「入浴中は会話を控えて黙浴しませんか」と書いた紙が浴場に貼ってあります。

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4.蕎麦屋でも、その点はきわめて気を遣っていました。

ここにも「黙食」というビラが貼ってあり、

「お食事中の会話が飛沫感染リスクになります。楽しいお食事のひとときをご提供できず大へん心苦しいのですが、当面はお食事中(ノーマスク時)の会話はお控えください」と書いてあります。

 当然の注意書きだなと思って、順守しつつ、妻と二人でそばがきともりそばを頂き、会話は控えて静かに食べ終えました。

 ここは、気分の良いところで、おかみさんも明るく、話も楽しいので普段なら燗酒をつけてもらい(帰路は妻の運転です)、「今年の桜はどう?」なんて会話を交わします。常連の中には私たちの友人もいて、「~さん、来られたけど、愛犬が死んじゃったって嘆いていましたよ」なんて最新情報をここで教えてもらうこともあります。

 ご夫婦でやってるカウンター席8人の小さな店ですから、たまには隣に座った知らないお客同士で話が弾んで、燗酒1本がつい2本、3本となることもありました。

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 5.食べ終わってご夫婦に礼を言い、「またお喋りの出来る日が来るといいですね」、「東京オリンピック、ほんとにやるんですか?」などほんの二言三言、言葉を交わして早々に蕎麦屋を出ました。

 それでも日本人は真面目ですから、こういうルールは皆、きちんと守ります。

 欧米人は、親しい仲間や家族や友人と会話を楽しむことが食事をすることと考えている人が多いでしょうね。会話をせず、黙々と食べる雰囲気には耐えられないのではないでしょうか。

その点、日本人は、ルールを守るという真面目さに加えて、食事中会話を楽しむことにそれほど重きをおかず、おいしいものを食べればいいという人たちが欧米より多いかもしれません。

まだコロナ禍の始まる前でも、外に食べに行って、近くの席に座った夫婦らしき二人がお互いに自分のスマホをいじりながら黙って食事している光景を見かけたこともありました。

 我が家は、食事どきも、飛沫を飛ばして喋ることに精力の半分は使う傾向があるだけに、会話を控えて外食するくらいなら家でいいやという気持になってしまいます。

 それだけに、これではこの時期、飲食店はますます大変だなあと、と余計気の毒に思います。