蓼科の秋深まり、稲の刈り入れの時期です。

  1. 先週は信州茅野に、4泊5日の短期滞在しました。

この時期は稲が実り、刈り入れも始まり、美しい里山をどうしても眺めたくなります。

 

2.10 月1日の土曜日に出て5日(水)に帰京しましたが、行きの中央高速は渋滞でした。週末の人出が増えているようです。

最初のサービスエリア「談合坂」まで倍以上の時間がかかり、入り口も1キロの渋滞。私を含めて、トイレに行きたい人たちの行列です。

5日後に東京に帰る朝は、高速に乗るまでは霧が深く、乗ったらずっと雨でした。

3.現地滞在している間は、晴れて暖かな日が多かったです。

東京では夫婦そろって体調いまいちでしたが、田舎に来てだいぶ回復しました。人も車も少なく、空気も乾燥しています。

帰京して渋谷に出て、人の多さだけでなく、「歩く」スピードに改めて驚きます。私のような老人は時々ぶつかりそうになります。

これが「現代社会の速度」なのでしょう。

4. 茅野は刈り入れ直前の田と終わったばかりの田が両方見られる時期です。

ご夫婦で刈り入れをしている最中にも出くわし、邪魔だったでしょうが、しばらく立ち話をしました。

 収穫機(コンバイン)で作業は楽になったが、コストも増えた・・・などなど話を聞きました。

「地域に根差した食と農」は社会の基本のあり方で本当に大切ですが、専業農家では暮らしも厳しいでしょう。   

すでにスーパーには新米が出ていて、「長野県産コシヒカリ」を手にしました。

5.秋も深まり、木々も少しずつ紅葉してきましたが例年より少し遅れています。

 

(1)  数少ない友人にも会います。この地で知り合い、ここでしか付き合わない人が多いです。

とうぜん高齢者が多く、「また来年」と言って別れて、翌年にはもう姿を見せないという方もおられます。

 

(2) 次世代への継承がうまくいけばよいのですが、そうでないと、ある日とつぜん来られなくなり消息も分からないという夫婦がおられます。寂しいけどやむを得ません。

(3) 一軒、人の姿はなく、駐車してある車がそのままになっているお宅があります。今年も散歩の途中に通りましたが、家は相変わらず無人、埃がたまった車はもう3年そのままです。気になりますが、面識のない方なので何が起きたか分かりません。

 

  1. 一方で、20年ほど住んだお宅を譲渡し、運転免許も返上し、すべてきれいに整理

して、東京暮らしだけの日々に戻った方もおられます。

このように決断できる人は立派ですが、たいていがもう少しと頑張っているうちに、突然来られなくなってしまうのでしょう。

 

  1. まだ頑張っているHさんと、今回の滞在でも会いました。

 彼は私と同い年で、退職して田舎暮らしを続けました。この地をこよなく愛しています。

すい臓がんがみつかり、「早期なので、いまなら治る、しなければ余命は3年」と手術を勧められました。

ところが、彼は「もういい年を生きたから」と手術を断りました。担当医は機嫌を損ねたそうですが、私は立派な覚悟だと思い、尊敬しました。

この夏に3年を過ぎたが、さいわいまだ病人にしては元気で、散歩も外出もしています。医者の誤診だったらよいのですが。

 

8.妻と二人でお宅に寄り、堀ごたつのある、窓から紅葉や落葉松が見える和室で暫くお喋りをしました。

「遺言を書こうと思うのだが、まだ、なかなかその気になれない」と語るのを聞きました。

「来年も来られるかどうか。お互いに何が起きるか分からない。今日がお別れかもしれない」とサヨナラしました。

---「明日ありと思う心のあだ桜、夜半に嵐の吹かぬものかは」