AI自動翻訳のDeepL(ディープエル)―その2

f:id:ksen:20211024112142j:plain1.前回、AI自動翻訳のDeepL(ディープエル)を紹介したところ、フェイスブックでコメントを頂きました。

 

  1. ご存知の方ももちろんいて、中島さんから、

「産業翻訳や一般的な説明書などを含めて、需要は大きい。理科系の論文はほぼ問題ないとの評判。英語力にハンディのあった日本人研究者には福音だろう」とあります。

 

  1. ドイツ在住の刈谷さんからは以下の情報提供がありました。

(1)Google翻訳を使っているが、これも結構いける(DeepLもこれから試したい)。

(2)例えば、フランスに旅する際、ドイツ語で書いてグーグルでフランス語に変換してメールする。欧州言語同士であれば、宿の予約程度の文章なら、ほぼ問題なく使える。

(たしかに、AIの翻訳機能は、まずは、英語と欧州言語および欧州言語同士から、早く進歩しそうです)。

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(3)また、

「(日本にいる)友人が大学の授業で、英文のエッセイを書くよう課題を出したら、何人かの学生の英語がかなりこなれていた、どうやら自動翻訳してそのまま提出したらしい」。

添削しながら、「私はいったい誰の答案を直しているんだろう」と思ったそうです。・・・・・・」

(先生が、機械による翻訳を、大学生には書けない「こなれた英語」だと思ったところが面白い。日本の学生のレベルよりは上と判断したのでしょう。)

(4)このようにGoogle翻訳が先行して、後発のドイツのベンチャー企業DeepLが追いかけるという構図でしょうか。

もちろん他にも多数が研究・開発しているでしょうから、競争原理がうまく働けば、質もさらに向上するのではないか。

 

  1. 「早速試してみたが、素晴らしい。驚きました」あるいは「これから無料体験する」というコメントも頂きました。

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  1. 岡田さんからは、

(1) 「高校生に教えている「キャリア教育」の教材に使おうと、昔の教科書に載っていた、南北戦争時のリー将軍が息子に送った手紙の一節を日本語訳にしてみた。音声も聞いた」とメールを貰い、「早いのに驚いたが、後半の訳がだいぶずれている」という指摘を頂きました。

 

(2) ちなみに、もとの英文は以下の通りです。

 「January 23, 1861 A LETTER TO HIS SON

(A) If you have any fault to find with any one, tell him, not others, or of what you complain ;

(B) there is no more dangerous experiment than that of undertaking to one thing before a man’s face and another thing behind his back.  Robert E. Lee 」

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(3)岡田さんが試して、出てきたDeepLの翻訳は以下の通りです。

――「(A)誰かに不満がある場合は、他の人ではなくその人に、あるいは何について不満があるのかを伝えましょう。

(B)ある人の顔を見て、別の人の背中を見て請け負うほど危険な実験はありません。――

 

➡(A)は、うまい訳とはいえませんが、意味は通じます。

しかし(B)は、理解できません。岡田さんご指摘の通りです。

 

(4)そこで、メールを頂いた翌日、念のため私も試してみました。

(A)の部分は変わりません。

(B)の部分はこう変わっていました。

――「人の前ではあることをして、人の後ろでは別のことをするということほど危険な実験はない。」

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(5)私あてに出てきたDeepL訳の(B)部分は、やはりうまい訳ではないが、意味は通じる。機械としては上出来と言えるのではないでしょうか。少なくとも、誤訳ではない。

 

(6) ということで、岡田さんとメールで「一日遅れただけで、どうして違う訳が出てきたのか。不思議ですね」と話し合ったところです。

 

(7) ちなみに、ロバート・リー将軍は、アメリ南北戦争のときの南軍の司令官。敗軍の将ながら、名将かつ高潔な人物との評価が高い。故郷ヴァージニアを見捨てることはできず、リンカーンからの誘いも断り、南軍に参加した。戦争や、奴隷制に必ずしも賛成ではなかったとも言われています。

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しかし、昨年のアメリカ全土を揺るがした人種差別抗議の嵐の中で、「南部の象徴」として攻撃され、銅像が幾つも撤去されて話題になりました。