英エコノミスト誌の「日本特集」

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1.東京は、青空の美しい、しかし朝夕の寒い日が続きます。年を取ったせいか寒さが応えます。

 

(1) 我が家は古い一軒家なので、廊下や階段、洗面所など寒いです。

刈谷さんから、「ドイツは建築基準法で、真冬でも室内は19度以上に保つことが義務付けられている」と教えて頂き、感心しました。

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(2) 冬の厳しいニューヨークで初めて暮らした55年も昔を思い出します。

あの頃からすでに、クイーンズのごく庶民的なアパートでも、室内は暖かく、誰もがTシャツ1枚で過ごしていました。当時からアメリカはエネルギーを使い過ぎていたのでしょう。

 

(3) 他方で、豪州のシドニー暮らしは、暖房も冷房も要りませんでした。

いまは気候変動でだいぶ変わっているかもしれませんが。

 

2.寒い東京で、昨年12月11日号の英国エコノミスト誌がとり上げる「日本特集」を読みました。

(1) この号の論説トップは、「アメリカは何のために戦うか?」で、表紙の写真もこの問題でした。

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(2)しかしメインは、「What the world can learn from Japan (世界は日本から何を学べるか?)」と題する論説と、10頁の「最前線に立つ(On the front line)日本」です。

 

(3)特集記事は、

・「令和という新しい時代(The new era)」

・「外交と安全保障」

・「気候変動」

・「大都市東京」

・「人口動態―高令化と少子化

・「経済」

・そして「日本の将来」の6つを個別に取り上げて分析し、論述します。

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2.ここでは、特集記事に先立つ「論説」を要約します。

(1)「日本は、活力を徐々に失った国、或いは、スシやサブカルが魅力で先進的だがちょっと変わった国という、2つの物語で語られることが多い。

 

(2)両方の見方からは、日本は例外的で、我々にあまり関係ない国と考えがちである。

しかし、それは間違っている。

この国は離島(outlier)ではなく、先ぶれ的存在(harbinger)である。

 

(3)「課題先進国」(advanced- in- challenges country)と呼んでもよい。

確かに、この国の課題は多い。

・第一に日本は自然災害の多い国である。気候変動がこれに追い打ちをかける。脱炭素を目指さなければならない一方で、原発にともなうリスクは大きい。

・第二に、人口動態、高齢化がもっとも進み、少子化による人口の減少も起きている。

・第三に、経済が長期停滞に見舞われている。

・そして第四に、対立・対決を深めている米中のはざまにある国である。

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3.このように指摘したうえで、実はこれらの問題はいまや日本だけではないことに注意を促します。

 

(1) 気候変動もコロナも世界大の問題である。どこの国もリスクとともに生きるすべを学ばねばならないのだと明らかにしたのがここ数年の出来事だった。

 

(2)高齢化・人口減少も同じで、これからほとんどの社会で予想される事態である。

2050年までに世界人口の6人の1人が65歳以上になり、2019年の11人に1人から大幅に増える。中国を含めた55か国で人口減少が予測されている。

 

(3)米中の対立も、日本だけの問題ではないことは言うまでもない。

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4つまり、日本は他の国もいずれ対処せねばならない課題を先取りしているのだ。

いかに生きのびるかの先見性を世界に示す役割を担っている国と言ってもよい。

もし日本がこれらの課題解決に成功すれば、貴重なモデルになり、失敗すれば、日本を真似るべきではないという教訓を与えてくれる。

 

5.いままでの日本は,これらの課題に、まずまず上手にとり組んできた。

例えば、平均寿命は最長を更新し、コロナ対策ではG7の中で、死亡率は最低、ワクチン接種は最高、マスク着用をめぐる争いもない。今では70~74歳の33%が働いていて、10年前の23%から増えた・・・。

 

6.しかし日本にとって、これからの課題への挑戦はさらに厳しいものにある。そのためには現状を変革する必要があるが、それは可能だろうか?

世界が注目する必要がある。