3年ぶりの京都と「田澤さん偲ぶ会」

  1. 3年振りに、新幹線に乗り、京都に2泊しました。

12月中旬でしたが、13年も住んだ街、懐かしかったです。

旅の目的は、観光でも仕事でもなく、友人や知人と会ってお喋りをする、時々街を歩くといった時間で、楽しかったです。

 

2. 出掛けたきっかけは、今年9月69歳で逝去した田澤耕さん(日本のカタルーニャ研究の第一人者、法政大学名誉教授)の「偲ぶ会」に出席したことです。

(1)田澤さんについては、

・研究者になる前の8年間、旧東京銀行に勤務し、上司だった岡田多喜男さんとはその後の辞書作成などでも熱い交友が続いた

・生前最後の作品『僕たちのバルセロナ』を、西田書店から発刊した

・他方、岡田さんと私は20代半ばからの親しい東銀仲間で、今はともに西田書店が出す雑誌「あとらす」の寄稿者である。

・という具合に三人の輪が繋がります。

(2)その「輪」に、京都の岡村さん(祇園町会長)が加わりました。

同氏から、バルセロナ文化センターで「田澤さんを偲ぶ会」があり、岡田さんに出席してほしいとの希望が伝えられました。

 

(3)岡田さんは健康上の理由で出席できません。

そこで、代わりに出て欲しいという依頼があり、代役として引き受けました。

3.バルセロナ文化センターは北大路駅賀茂川の間の北大路商店街にあります。

 数多くの図書が揃い、ミニ図書館のような場所です。

カタルーニャ文化圏の紹介を目的として」「スペイン語カタルーニャ語の学習機会を提供しに、言語と文化に関する様々なイベントを企画しています」。

 せンター長のロザリアさんは文学博士で、30年以上京都に住み、日本語も堪能です。

4.当日は、20人弱が集まり、小さいが、気持ちの良い会でした。

(1)まずロザリアさんが、田澤さんの業績や両国への貢献について、当センターに沢山の図書を寄贈したことの感謝とともに語りました。主な業績は、

・3冊の辞書、2冊の文法書など。中でも「カタルーニャ語辞典」は1000頁、4万円。日本で初めての、唯一の本格的辞書です。

カタルーニャの紹介―中公新書カタルーニャの歴史』など。

カタルーニャの有名な文学の翻訳―岩波文庫の『ダイヤモンド広場』『ティラン・ロ・ブラン』など。

漱石三島由紀夫など日本文学のカタルーニャ語への翻訳

 

(2)私は、岡田さんから預かったメッセージを代読し、彼と田澤さんとの長い・親しい関係を報告しました。

「本来は皆さんのように、ドクターあるいは先生と呼ばないといけないのだが、東銀の文化は誰でも「さん」付けなので「田澤さん」と呼ばせてもらう」とも補足しました。

 

(3)その後、出席者同士、歓談をしました。言葉を学ぶ日本人や留学など様々な理由で京都に住むスペイン人などとの立ち話は、面白かったです。

5.会には田澤夫人も参加されました。

彼女もともにバスセロナ大学で学び、やはり博士号を取得しました。同志を失った気持ちでおられるのかもしれません。

 

6.田澤さんは入行後、語学研修生としてスペインに派遣されました。彼の希望は英語かフランス語で、スペイン語は考えてもいませんでした。

図らずも全く知らない言葉を学ぶ機会を与えられて人生が変わりました。もちろん、彼の優れた業績はご自身の努力と情熱の賜物です。

しかし、きっかけは東京銀行がつくったわけで、彼自身、人生って面白いなと感じていたのではないでしょうか。