前回、CSR(企業の社会責任)にふれて、言葉だけがひとり歩きして、何でもありの状況になっているのではないだろうかと書きました。ちょっとでも良いことをすればCSR,そのくせ、上役の顔を窺いながら居残りを続け、上司にろくに意見もいえないような企業が多いのではないか、と危惧します。「ソーシャル・アントレプレナー(社会起業家)」についても、認知度が高まっているのは嬉しいですが、これも言葉だけのひとり歩きにならないように、「社会起業家」といえば何でもありの自己満足に終わらないように、僭越ながら私のブログもその一助になればと願っています。
ご覧になった方も居られるでしょうが、1月15日のNHK[経済羅針盤]に東京スター銀行のタッド・バッジ頭取が登場しました。
経営破たんした東京相和銀行が公的支援を受け、アメリカの投資ファンドの資金で新しい銀行名・経営陣のもと再生を果たし、東京1部への上場も果たしました。その陣頭に立ったのがタッド・バッジ氏(写真中央)。19歳でモルモン教の宣教師として来日、その後日本語の能力をかわれて、コンサルタント会社に入り、新しい銀行の再建をまかされたという異色の経歴。
彼の発言でまず同感したのは・・・・再生にあたっていちばん大事なのは経営者の「リーダーシップ」。リーダーシップとは「ひとの力を引き出すこと」であり、従来の日本型経営とは違う。バッジ頭取のもとでの東京スター銀行のユニークな戦略について関心のある方はウェッブ・サイトをご覧頂きたいと思います。
そしていちばん印象に残ったのは、私自身の長いサラリーマン人生への反省を込めて、「ワーク・ライフ・バランス」「家族は仕事より銀行より大事」「頭取は決まった期間だけだが、お父さんは永遠」という人生観と生き方。朝8時に出勤してパソコンに向かって1日の日程を再確認。最優先するのは娘の誕生日のパーティだの6人の子供たちの行事日程。
職員に対するメッセージとして以下のように言う・・・・第1に自分自身のテイク・ケア、第2に家族、第3に仕事。そして「もうひとつ、社会貢献。これがないと、人生にひとつ(大切なものが)抜けてしまいます」
そして、この4つのバランスを計画的に・楽しく考えていくこと。「お手玉」をするように、4つのお手玉を落とさないように、たのしく・うまくバランスして生きること。
こういう経営者の下なら働いてみたいですね。バブルの時代には、ワンマン経営やスキャンダルも含めて黒いうわさの絶えなかった東京相和銀行がみごとに生まれ変わった様子を知って、もと銀行マンとして嬉しく思いました。