ksen2006-06-14


6月7日(水)、尾辻かな子さん(大阪府議)が大学に来られ、講演を聞きました。
学生が自主的に活動するサークル「レッド・リボン・プロジェクト」が企画したものです。
メンバーである学生に頼まれて、いわば義理で出席したのですが、興味深い内容でした。教員は2名だけでしたが、学生は60名以上と予想外に多く、当初用意したレジュメが足りなくなる状況で、主催した学生諸君も喜んでいることと思います。


1. 尾辻さん同志社大卒、2003年4月に大阪府の府会議員に最年少で当選。05年8月に、東京のパレードで同性愛者であることをカミングアウトして、知られました。以後、性的マイノリティへの理解と支援の活動を続けています。


2. 当日は、自分自身の体験を織り交ぜながら、性的マイノリティについての基礎知識、同性愛者に対する差別と偏見がいまでも存在すること、教育においても異性愛しかないというすり込みが子どもたちを悩ませていること、日本における課題も多いこと等についての話しがありました。


3. 同性愛者は、人口の3〜10%と言われているそうです。それなのに、目に見える存在になっていない。尾辻さんは、自ら同性愛者であることを公表し、カミングアウトすることで、現実に困っている人がいることがわかる、差別・偏見の解消につながるといった効果を期待しています。


4. 府議に当選したあとの発表であり、これが次の選挙で有権者の意識にどのように働くか・働かないかも注目されるところです。自らマイノリティであることを公表することは勇気の要る決心・行動だろうと思います。私のまったく知らない世界でしたが、勉強になりました。


5. また、経費については大学の支援がありますが、運営企画は全て学生たちの自主的な活動であることも、評価しています。「レッド・リボン・プロジェクト」はエイズの予防やPR活動をすすめる学内の団体ですが、代表を勤める女子学生の話では、面識のない尾辻さんに手紙を書いて講演の依頼をしたそうです。こういう行動力も立派なものだと感心しています。


6. 尾辻さんには質問しなかったのですが、私が期待するのは、こういう人たちの行動が、すこしずつでも、日本での養子制度の普及につながっていかないだろうか?という思いです。アメリカでいちばん感心したことの1つに、養子を(例えばベトナムからの難民の子どもなどを)とることが珍しくないという風土です。こういう人たちからでも風穴が開いていけば、社会も変わるのではないかなと感じています。