中野さん、コメントのお礼が遅くなりました。
そうですか。宇治市の地域SNS「お茶っ人」(宇治茶とチャットをひっかけたもの)参加をすでに検討中ですか。
若者は行動力があり、すばやいですね。
内容についてそのうち教えてください。

ということで私の場合、仕事のせいか、年の割には若者の目線で社会を見てしまうことが多いようです。同世代の方からは反発されてしまうでしょうが。

先日、『若者はなぜ3年で辞めるのか、年功序列が奪う日本の未来』(城繁幸光文社新書)を面白く読みました。

ちなみにこの本、KSEN(京都ソーシャル・アントレプレナー・ネットワーク)の仲間Musescape::Lifelogに薦められたもので、彼は今年大企業に就職したばかりのサラリーマンです。

一般には「今の若者はわがままで忍耐が不足→すぐ辞める」という批判が多いのですが、本著は「若い世代からの「告発」として一読に値する」と日経書評にあるように、「年功序列」の恩恵をフルに享受した人間には、耳の痛い指摘でした。

ベストセラーの新書というのはちょっと抵抗があるのですが、期待以上だったので以下、私自身の記録のためにも抜き書きをしておきます。


1.年功序列制度の本質=「若い頃の頑張りに対する報酬を将来の出世で支払う」→「昭和的価値観」
成果主義の本質=「働いた分の報酬はタイムリーにキャッシュで支払う」


2.日本企業における成果主義=「あくまでも従来の年功序列制度のレールの上で実行される」→「つまり社内にはやはり1本のレール(=キャリアパス)しかないのだ」


3.「社会全体もまた、(いまだに)昭和的価値観に支配されている。それは、「年長者ほど有利な世界」だ。その価値観は、自ら生き延びるために若者に強く負担を強いてきた」


4.企業は次世代をリストラ(非正規社員の増加を含めて)することで、企業自体の未来をも危うくしている。社会(注:企業だけでなく、政治家もメディアを労働組合も教育システムも)もまた、若者を犠牲にすることで、その未来を失おうとしている→「少なくとも、われわれは強欲で恥知らずな老人どもとは別の選択肢を採るべきだ」(注:これ、激烈な「告発」ですね)


著者(東大法科卒。富士通の人事部で成果主義の導入に携わり、退社。現在コンサルタント会社経営)は、「別の選択肢」は、もういちど「何のために働くか」を自ら問い直して、「失われた動機を取り戻すこと」から始まると言います。

そしてそのような生き方を選んだ若者の事例を紹介しています。


長くなりましたのでこの辺にしますが、「格差社会」といわれるいまの日本社会の根っこの1つに、世代間の既得権や価値観をめぐる根深い対立があることを考えさせられました。


また、「ソーシャル・アントレプレナー(社会起業家)」という話をあちこちでしても、若者と女性は関心をもってくれるが、中高年の男性の多く、とくに企業人(とくに大企業のエリートサラリーマンほど、と言ったら言い過ぎでしょうか)の関心はきわめて低いという現状についても考えました。


「強欲で恥知らずな」(と若者に批判される)年寄りにできることは何なのでしょうか?
若者とどういう対話が可能でしょうか?