仕事と私事のバランス

前回、「身内の結婚披露宴」と書きましたが、新婦はロンドンの投資銀行で働いていて
今回のために2週間強の休暇をとって一時帰国をしました。


彼女の話を聞いて「なるほど」と思ったことがあります。

2人だけの小さなセクションで働いていて、同僚はアメリカ人の女性。

その同僚の父親が急死して、葬式のためにアメリカに一時帰国をしなければならないことになった。
2人同時に職場を離れてしまえば、仕事はストップ、お客さんにも迷惑をかける・・・

職場の皆が、「あとは何とかするから絶対に予定通り、休暇を取るように」という姿勢で、
ニューヨークから応援のスタッフを送ってもらうことで対応したそうです。

家族を大事にする、自分の私事を優先する、それを皆が応援するという姿勢が、何とも嬉しかったという
コメントで、よく分かるような気がしました。
日本の企業では、なかなかこうは行かないのではないでしょうか。


もちろん、欧州の投資銀行の場合、「いつ、首になるか分からない。結果を出さなければ、ボーナスは
大幅減少する」といった厳しさと裏腹なのですが。


対して日本では(もちろん、今はだいぶ変わっているかもしれませんが)、大した結果を出さなくても、
上司が残っていれば、先に帰ることをせず、休暇も取らず、私事を犠牲にしてひたすら会社のために・・・
という姿勢を見せていれば、首になることはない・・・

この「文化」の違いは大きいような気がします。



たまたま、10月19日の日経に、イケア・ジャパンの社長がインタビューで「労働者は1日8時間、
週40時間以上働くべきではない」という持論を展開しており、印象に残ったので、長くなりますが、紹介します。
1.「イケア・ジャパンでは緊急時を除き残業を禁止。労働効率を考えれば、8時間以上働くと疲れて
仕事に集中できない。大切なのは労働時間の長さではなく、決められた時間の中でいかに生産性を上げるかである」


2.「私自身、毎年夏に3週間の休暇を取り家族を連れてスウェーデンに帰る。短いクリスマス休暇も取る。
普段はよほどのことがない限り、午後6時に家を出る。こうした働き方はスウェーデンでは当然のこと・


3.「(ただし、)社員に要求する仕事のレベルは高い。限られた時間で成果を出す必要があるので、
社員は相当きついと思う。・・・時間当たり生産性をあげて、自分の時間も楽しんでほしい」


日本では、こういうコメントを読むと、すぐ「会社を早く出て、仕事を家に持ち帰っているのではないか」
といった発想になりますね。


しかし、前述のロンドンで働く女性も言っていたし、私自身の経験もそうだし、身近な、海外勤務をした
若い会社員に訊いてもそうだし、皆「海外に勤務すると、精神的なゆとりがある」と一様に答えます。

もちろん、仕事は忙しい。ストレスもきつい。

それでも、家族と夕食を共にする時間は増えるし、オペラが好きなら行けるし、ボランティア活動
だってできる・・・・


この違い、いったい何なのでしょうね。


個人的には、まず「忙しい、忙しい・・」と嬉しそうに言わないことだと思うのですが。


「忙しい」と言わないと、なんだか上司に睨まれそう・・・の文化を変えられませんかね。



あまり関係ないけど、私は、昨日(日曜の夜)、ひとりで、京都府府民ホール「ALTI」に行き、
京都クラウディオ・モンテヴェルディ合唱団の定期演奏会で「聖母マリアの夕べの祈り」を聴いて、とても満足しました。


私自身、カトリックの信者でも何でもないのですが、今年亡くなった、信者だった姉のことをしみじみ
思いだしたし、大昔、カトリックのミッション・スクール附属の幼稚園に通ったことも思いだしました。