「プロフェッサー・オブ・ジ・イヤー」「通訳案内士」など


1. 前回のブログで『ドラゴン・タトゥーの女』というミステリーを紹介しましたが、まだ観ていませんが、日本でも映画が公開されましたね。
本日はとりわけ寒いので室内で凍えていますが、京都から帰ったばかりです。

「ソーシャルビジネス町家塾」受講生の熱気にあおられて帰京しました。
新幹線で通る関ヶ原のあたりはまだ雪深しといったところです。

2. 他方で東京ではこの寒さの中、昔の職場の仲間と個別に食事をする機会が多くありました。
場所は六本木の国際文化会館が多いですが、早くもお雛様が飾ってあり、お人形も寒そうです。

東京銀行という職場のかっての同僚ほぼ同世代、
みんなそれぞれ頑張っていて感心することしきり。
今回はそんな報告です。


1人は女性で、四谷にあるミッションスクールの付属幼稚園の同窓生という不思議なご縁で職場も同じ。
10年以上前に銀行を退職しましたが、長く朝日カルチャーセンターに通っていて、すでにシェイクスピアをほぼ全て英語で読み終えて、いまは、16世紀の英国エリザベス朝の詩人・劇作家クリストファー・マーローの作品を英語で読んでいるとのこと。

マーローなんて私は名前しか知らないので驚き感心しましたが、シェイクスピアなら時間があれば私も英語で読みとおしてみたいと思いました。

それと、カルチャー・センターというのは何やら実用的な講座だろうと思っていたのですが、サイトを覗いてみて、その講座の質量まことに豊富なのに感心しました。
例えば英語に限らず、あらゆる外国語の文学を先生と一緒に読むことができます。


これ全て、それなりの数の受講生が集まっているとしたら日本人の知的レベルと向学心は驚くべきものがあると思います。
彼女の話を聞いて面白いと思ったのは、
「いまの大学で外国文学なんかまじめに勉強する若者が少ない。予習復習もしない。
それに比べてカルチャーセンターの受講生は実にまじめで、教えがいがある」
従って大学で教えるよりよほど楽しいと言う先生が多いそうです。


3. もう1人は、埼玉県飯能市にある某大学の教授を7年やっていますが、昨年、同大学でスタートした「フロフェッザー・オブ・ジ・イヤー(今年最良のプロフェッサー)」の第1回に130人の教員の中から1人だけ彼が選ばれたとのことで、お昼をともにしてお祝いしました。
(1) 日本ではこういう制度は珍しいと思うが、同大学でも初めての試み。5学部あるが、それぞれの学部から1人を学部長が推薦し、うち1人を学長が選ぶ。


(2) 選考基準は、「学術」「教育」「社会貢献」の3つで、彼が思うに、「学術では大した論文も書いていないし、教育は比較がなかなか難しいし、学生の人気投票というわけにもいかない。思うに、社会貢献が評価されたのだと思う」とのこと。


(3) 聞いてみると、企業へのインターンシップの充実のほか、地元の飯能や隣の入間市と連携して、町おこし、環境保護、経済の活性化等に学生を巻き込んで精力的に活動している。
飯能というところは人口6万人ほど。江戸時代は織物と木材で栄え、江戸で大火があるたびに商売繁盛。いまも「森林都市」を宣言。
地元の金融金庫の寄付講座を設けてもらって、そういった歴史と現状をふまえた地域活性化に熱心に取り組んでいるようです。


(4) 面白いと思ったのは、「社会貢献」が3つ目の大学の重要施策に入り、それを評価する基準を入れてきたという時代風潮です。この点に社会人からの転出組の利点(社会と関わることは得意でフットワークも軽い人が多い)もあって、純粋培養の教員の場合、得てして自分の研究の方が大事で、なかなかこういう手間のかかることに意識や時間や労力が回らない。
その辺を変えてもらいたいという大学側のメッセージもあるのではないかという気がします。
(5) 因みに、ご褒美は盾と多額の賞金と記念講演とのこと。


4. 最後にご紹介する某さんは1年年下、旧東銀時代、長くスペイン語圏に勤務して、英語の他、スペイン語・カタルニーヤ語に不自由がない。
今回、初めて「通訳案内士(スペイン語)」の国家試験に挑戦して合格したというニュースです。


(1)因みにこの資格、日本政府観光局のサイトによれば、
「通訳案内士法の規定により、報酬を受けて外国人に付き添い、外国語を用いて旅行に関する案内をする業を営もうとする者は、通訳案内士試験に合格し、都道府県知事の登録を受ける必要があります。2011年4月1日現在の登録者数は15,371人に達しています。通訳案内士試験の外国語の種類は、英語、仏語、西語、独語、中国語、伊語、ポ語、露語、韓国語及びタイ語となっています」
http://www.jnto.go.jp/jpn/interpreter_guide_exams/index.html

(2)試験は1次が「筆記(学科)」で2次が「口述」。
彼にとって1次はまったく問題ないのですが、まことにえらいのは「口述」です。
彼は何年か前に食道がんの手術を受けて、発声に困難があり
、いまもリハビリを続けています。
(有難いことに私の拙いエッセイ集を愛読してくれて、リハビリを兼ねて、音声を出して丁寧に読んでくれます)


従って、「口述」の試験も、「電気人工発声器」を使用して受験したとのことです。そのような仕組みか、私にもよく分からないのですが、本人からのメールによると

「Electric Larynx と言います。
ロボットのような機械音で耳障りなのですが、身体障害者のこのような発声でもガイドの資格が取れるということを証明したかったのです。スペイン語圏には20数年勤務し、
スペイン語が話せるのは当たり前で、今回は、スペイン語の試験と言うより、発声の試験を受けた積りです。”声試し”です」。
そして今月、見事合格したとのことです。
この、挑戦する意欲が素晴らしいですね。見事です。


5. ということで、旧東京銀行という職場は(もちろん他の職場だって似たような話はあるでしょうが)男性も女性も知的にも品性でも素敵な同僚・仲間がいたものだと、あらためて嬉しく感じた次第です。}