図書館―居場所であり知の宝庫としての

1十字峡さん有難うございます。
「京都慶応義塾跡」の写真、再度拝見しました。ちなみに、ここに{KSEN}名でコメントしたのは私です。
なお、福沢には、京都の学校を視察したときに書いた「京都学校の記」という短文があります。岩波文庫の「福沢諭吉教育論集」に入っていますが、「明治5年・・三条御幸町の旅宿松屋にて」とあります。
下男・下女のコメントも興味深く拝読しました。
こういう時代に生き、体験を目にした方がまだ居るというのは、何か同志に会ったような気持ちです。


2.ところで今回は図書館の話です。図書館が大好きです。
まずは、節電で冷房を抑えているとはいえ、まあ涼しいし、お金は掛からず、時間の制限もない、静かで、独りでいられる気持ちよい場所であることに加えて、やはり「知の宝庫」だなあと痛感します。


3.私がよく通う図書館は3つあります。

(1) まず1つは、六本木にある国際文化会館という会員制施設内の「図書室」です。ここはわが家から少し遠く、車を運転していくか電車ですが、環境はいちばんです。
三菱の旧岩崎邸跡ということもあって庭が素敵で、いつも空いていて、PCも自由に使えます。図書は日米関係の英書が殆どですが、日本語も若干あって、いまは吉見俊哉氏の『親米と反米―戦後日本の政治的無意識 (岩波新書) 』を借りているところ。
ゆっくり滞在して、その間昼時にはカフェで簡単に食事をすることもあります。
都心にあるので、このあたりに出かける用があるときに、時間調整にも使えます。


(2) もう1つは、梅が丘にある区立の図書館です。

ここのメリットは、散歩コースのほほ終着点にあるということです。
北沢川緑道という歩行者専用の道があって我が家から片道30分ほどで到着。
しばらく座って、トイレに寄って、また同じ道を歩いて帰ります。
区内でも比較的小ぶりの図書館なので、私が借りたいという本は殆どありませんが、新聞や雑誌をちょっと眺めるのには便利です。
最近では、事実かどうか知りませんが、小沢一郎氏の元夫人が支援者に送ったとかいう、同氏あての離別状の内容を週刊誌で読みました。
雑誌では1冊だけ英語の「TIME」があり、ここで眺めたり、コピーを取ったりします。
最新号では、五輪を控えて、ボリス・ジョンソン倫敦市長へのインタビューがあり、面白く読みました。


彼は倫敦と英国を熱心に売り込む人物としても知られています。
最近、「インターネットもトイレ(ット)も、大方の理解に反して実は英国人が発明したのだ」と発言して物議を呼んでいます。
その点を問われて、こう答えています。
「トイレの発明者は、ジョン・ハリントンという、エリザベス女王(1世)の廷臣だった男だ。アメリカでトイレのことを「ジョン」とも言うのは、そこから来ている」


確かに、アメリカで「ジョン」と言いますが、発明者の名前からというのは本当でしょうか?
手元の英和辞典では、JOHNの5番目の訳語に「(男子)便所」とありましたが、由来の言及はありませんでした。

(3) 以上は、散歩コースの途次にあったり、居場所として快適だったりするわけですが、やはり、図書館は「知の宝庫」だなあと実感する行きつけの場所に、駒場の東大教養学部図書館があります。
独立行政法人になってからか、出入りが自由になり、キャンパスへのアクセスが近くなりました。有難いことにわが家から歩いて10分ほど。
また有難いことに、OBはカードを貰えます。貸し出しは認めてくれませんが、閲覧は自由です。


ここの地下1階には、古い本、とくに全集などが豊富に並んでいます。
目下、福沢諭吉を追っかけているので、もっぱら参照しています。
彼の全集は過去に4回出ていますが、最初はまだ生前の1898年(明治31)に本人が編纂して時事新報社から出した5巻本、通称「明治版」。


こういう本を手にとって読めるというのは、図書館ならではの醍醐味でしょう。
また、最初の本格的伝記として、彼の弟子で時事新報の主筆を務めた石河幹明の
福沢諭吉伝』全4巻(岩波、1932年)があります。
これも、私は、ここで初めて手に取りました。


なかなか図書館でしか読めない、古い本がいくつもあります。
こういう過去の書籍を出版時のままで残っていて、それを眺める時間というのは、大げさかも知れませんが、感動的です。


4.図書館といえば、アメリカの大学がもっとも大事に・誇りにする施設は図書館です。

10年ほど前に、古巣の大学の学長(当時)とアメリカに出張し、大学を幾つか訪問しました。その報告をもとに、2000年に丸善から『なぜアメリカの大学は一流なのか』という本を書きました。「一流」の理由の1つに図書館があります。


訪問した大学で印象的だったのは、どこでもまず最初に図書館に案内してくれて、どんなに図書が充実しているか得意になって説明してくれたことす。
普通はどこでも、年間を通して24時間、利用できます。


大学だけではありません。
3月に短期間、NYに滞在したときに、在住のKさんと一緒に、公立図書館(パブリック・ライブラリー)に行きました。
中央図書館がNY市内に3つのほか、市内各地に80以上のブランチがある由。


PCを持参しなかったので、利用したいと思ったのですが、旅行者でもパスポートを見せてOKでした。

本館の古い建物(1897年〜1911年に建てられた)の中を、いつもながら、素敵だなあと思いながら、歩きました。

以下のサイトにも紹介がありますが、最後に「さわり」を以下に引用します。
―――名称には "public" という語が含まれているが、設置主体はニューヨーク市ではなく、独立の法人であり、財政的基盤は民間からの寄付によって成り立っている。
ニューヨーク公共図書館の館名の場合のパブリックは「公立」(地方公共団体が設立した)という意味ではなく、「公共」(一般公衆に対して開かれた)という意味にあたる。
公共図書館であるため利用は原則として無料で、ニューヨーク市に在住あるいは勤務している者であれば誰でも会員になることができる。
本館は五番街の42丁目にあり、その豪奢な建築で観光名所としても知られている。」

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%AF%E5%85%AC%E5%85%B1%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8