2012年タイム誌「今年の人」はオバマ大統領

1. 海太郎さん今年初めてのコメント有難うございます。
ブログ仲間へのカムバック、おめでとうございます。
寝ても覚めても本の虫』(児玉清)を「バイブルのように」読んでおられる由、こういう本は貴重でしょうね。
それと海太郎さんの句作にはいつも感心しておりますが、「極月や東寺は変わらず立ちており」もいかにも京都で詠んだ雰囲気の出ている句ですね。
無学の私は恥ずかしながら、広辞苑をひいて「極月」が「2月の異称」のこと初めて知りました。

2. コメントではありませんが、ここでKSEN仲間の中尾さんにもお礼を申し上げます。
年末、FBとブログとの連携がうまく行かなくなり、彼に頼んで対応してもらいました。メールで操作を教えてくれたのですが、自分ではどうもうまく行かず、結局お任せしてしまいました。本来自力でやらねばいけないのですが、こういう若い友人が居るのは本当に助かります。
それにしても、FBというのはよくいろいろと新しくなるようで、こういう点では保守主義者の私はどうも苦手です。


3. 本論に入りますが、お正月は例年の通り、タイム誌「今年の人(Person of The Year)」を読んだので、その報告です。
2010年がFBのマーク・ザッカーバーグ
http://d.hatena.ne.jp/ksen/20110203/1296709294

2011年が「ザ・プロテスター(抗議する人たち)」
http://d.hatena.ne.jp/ksen/20120103

そして、2012年は08年 ( http://d.hatena.ne.jp/ksen/20090111/1289798131 )
に続いて、2度目のオバマ大統領です。


4. 毎回書いていますが、アメリカの雑誌ですから、アメリカ人が多くなるのは当然で
1927年スタート以来の86人のうち約50人がアメリカ人。
おまけに2期8年勤めた大統領は全て2回選ばれていますから、
(因みに、大統領以外で過去に2回選ばれたのは、
スターリンジョージ・マーシャルチャーチルゴルバチョフそして
デン・シャオ・ピン=とう小平です)

今回のオバマ選出は一向に意外ではありません。

私に興味があるのは、単に2期目というだけでなく、なぜ彼が「今年の人」か?
その理由です。


5.タイム誌はこう書きます。
(1)まず、彼の勝利が、前回ほどではないにしても、安定勝利だったということ
(日本のマスコミは、話を面白くするためでしょうか、「接戦」を強調しましたが)。

即ち、過去の民主党の大統領で2度の選挙でともに総得票数の50%以上を獲得したのは、フランクリン・ルーズベルト以来のこと
共和党を含めても過去44人の大統領のうち5人しかいない)。


(2)彼は「変わりつつあるアメリカの設計者」になると期待されること。
即ち彼の施策は、過去30年以上続いた(民主党クリントンの時代を含めて)、レーガン思想(レーガノミックス)の終わりを意味するであろうこと。


(3)しかもそれは単に政治経済の面だけではなく、社会的にも文化的にもオバマ
「21世紀を象徴する新しいアメリカ人」であること。

(4)それはまた、アメリカの人口構成の変化を背景に「新しい国のあり方」を示唆していること。
即ち、かってのアメリカを代表するモットーとしての有名な
「多数から一つへ」(e pluribus unum= out of many, one)から
新しいアメリカは、「一つであって、しかも多数の国」(one and yet many)となる、その象徴がオバマであること。


(5)今回の選挙で「人口構成の変化と価値観の変化」をまさにオバマが捉えたことは以下の指標から明らかである。
即ち、ヒスパニックの71%、黒人の93%、アジア系の73%、30歳以下の60%が、今回オバマに投票した。
しかも、ヒスパニック系の投票率は今回史上最高であり、黒人は、史上初めて、白人の投票率と並んだ。


5.もちろん、このような支持者のオバマへの期待に答えるために彼が取り組まなければならない課題は、経済や財政、雇用、外交問題といった通常の問題だけでなく、
移民対策(違法移民の合法化)や富裕層への増税や銃規制があります。
どこまで彼が成果を上げることが出来るか?
(冷静沈着で知られるオバマが、11月から12月にかけて3回、公衆の前で涙を見せたとタイム誌は書きます。
選挙の勝利で2度、そして最後は、小学校での虐殺事件での記者会見です)

6 インタビューに答えて彼はこう言っています。
(1)2008年の最初の勝利は「異常な出来事」だった。初の黒人大統領に興奮した人も多かったと思う。
しかし、2012年は違う。「異常な出来事」ではない、そのことが大事なんだ。
それはアメリカが、一層、多様化し、かつ寛容な国に向かっていることの証左として重要なんだ。

また、「4年後、8年間の施政をどのように振り返るつもりか?」と訊かれて、

(2)もちろん、国内の様々な課題に対処していかなければならない、
その他に、人口構成の変化や文化的、技術的な変化に十分対応していく必要がある。
しかも、
これらの変化を、私たちが大切にしている、古い価値観――一生懸命働けば報われるという価値観や、勤勉、規律、自己責任――と結びつけることに努力した、
・ ・・・そういう8年間だった、と言われたいと思う。

7.最後に、
タイム誌とともに、アメリカの2大週刊誌(それなりに質の高い、ゴシップ記事等には一切目を向けない)を代表する「ニューズウィーク誌」が昨年12月31日号を[The last print issue]としてこれを最後に、以後全て電子媒体に移行することを決めました。
1933年創刊。
タイムがどちらかと言えば、保守的なのに対して、ニューズウィークは長く、ワシントン・ポスト(あの、ニクソン弾劾の口火を切った、ウォーターゲイト事件の報道で有名な)傘下ということもあってどちらかと言えば、リベラル色の強い雑誌でした。
これも時代の流れですね。