5年ぶりのロンドン雑感


1. いきなり私事ですが、ここ10日ほど末娘が孫を連れて一時帰国し、狭い我が家に滞在し、賑やかでした。3歳半の彼は時差がとれず、午前3時には起きてしまうので、老夫婦も一緒になって付き合い、くたびれました。
ということで一人になってゆっくり本を読んだり、書いたり・考えたりという気になれず、従って今回も英国旅行の続き、ロンドン雑感で終わります。


もっとも、大学時代の友人で、お嬢さんがいわゆるキャリアウーマンで遅くまで仕事をしており、奥さんと交互に、自分も毎週1回ないし2回は2人のお孫さんの夕食を作りに出かけていくという話で、これも立派な社会貢献だと感心、それに比べればごく短期間なので何ほどのこともありません。


2. ということで、ここ数回英国の田舎について書きましたが、今回はロンドンを歩いた雑感です。
5年ぶりの再訪で市内には3泊しましたが、言うまでもなくこの街は5年ぐらいでは殆ど何も変わりません。
この間にオリンピック開催されましたが、地下鉄の路線が少し延長されたようですが、市内を走る地下鉄は何も変わっていません。
リージェント・ストリートやピカデリーは相変わらず旧い建物が並び、昔懐かしい「ハッチャー」という私の大好きな本屋も健在で内部の様子も昔とまったく同じです。
25年前に住んでいたときに家人と2人で観た「オペラ座の怪人」は、まだ同じ劇場で上演しています。

改めて気がついたのは物価が高くなったことで、日本の倍の感じでしょうか。地下鉄の初乗りが4ポンド80、約950円。
昼に「一風堂」という博多ラーメンの店にひとりで入りましたが、いちばん簡単なラーメンが11ポンド、約2千円でした。
もっとも、地下鉄の切符について、途中下車OKとか何回乗ってもOKとか買い方によっては便利なシステムもあります。
また為替相場もあって、1ポンド190円弱という現在の相場はちょっと円が過小評価されているなという感じです。


それだけ日本からの輸出企業には有利、国内で輸入品を手に入れる消費者には不利になっているのでしょう。かつこれでは、英国から来る観光客にとっては日本の物価はまことに安く感じることでしょう。


因みに、「一風堂」のラーメンはいま評判のお店だそうです。むかしはもちろんなく、街も少しは変化しているしるしでしょう。京都の大丸の裏にお店があって昔よく入りましたが、日本で定番の「白丸(SHIROMARU」)」「赤丸(AKAMARU)」の2種類があって、前者を頂きましたが、味も同じでおいしかったです。

3. 5年経ってもロンドンの街並み(旧いところも、汚いところも、通りが真っすぐではないところも)は少しも変わっていませんが、老人2人旅ですから、旅人の方は変わります。
とくに、やや尾籠な話題ですが、2人ともトイレがますます近くなったこと。
同行した義兄のメールを以下に引用します。

「二人の珍道中は、まずトイレ探しです。
特にロンドンの市内では普通の地下鉄の駅にありません。
公園にもありません。道の公衆便所もありません。
皆さんも同じと思うが、年取ると近くなるので大変でしたね。
一度など、いろいろな線の終着駅になっている上野駅のような大きな駅で探しましたが大変でしたね。
爺さん二人の4つの目で表示を探したり人に聞きまくってようやくたどりつき開放感に浸りました。危なかった!
この点、日本は安心です。
そんなことも含めて10日間の非日常は脳や身体機能を刺激し、細胞を活性化させたように感じました。
非日常の程度が国内旅行とは桁違いなので、疲れもしましたが。」

私はひとりで街を歩くときは、もっぱら、(1)百貨店・大きなお店と(2)美術館を活用しました。
リージェント・ストリート、ピカデリー、トラファルガー広場あたりを歩くときにはもっぱらこの2つです。
(1)であれば、日本に比べれば、場所は少なく(例えば地下1階にあるとか)、目立たなく、きれいでもありませんが、それでもあることはある。訊けばちゃんと場所を教えてくれる。
今回活用したのは、紅茶で有名なフォートナム・メイソンとリバティ百貨店です。
もっとも買い物にはまったく興味がないので、トイレに利用しただけで、この点は申し訳ないのですが、まあどちらも中国人や日本人の観光客で繁盛している様子だったので彼等に消費行動は任せることにして、私は敬意を表して後者の写真だけ撮って載せておきます。

両方とも、雰囲気の良いお店で買い物好きな方には大いにお勧めです。


4.美術館であれば、この界隈であれば、もちろん「ナショナル・ギャラリー(国立美術館)」と「ナショナル・ポートレート・ギャラリー(国立肖像美術館)」。
トイレ利用に最適なのは、好きな場所だということと入場料無料で、何度でも入れるということです。
「5ポンドを目途に寄付してほしい」というチャリティボックスはありますが(5年前はたしか2か3ポンドだったような気がする)、まあ1回寄付すれば許してくれるかなと思って、これも申し訳ないけど何度も利用しました。

もっとも、ナショナル・・ギャラリーの方はスタッフのストをやっているそうで一部の部屋しか開いておらず、この点は少し残念でした。働いているスタッフの1人にいろいろ訊いてみましたが、ある民間の大手の管理会社(セコムみたいなところ)が経営権を取得し、それに抗議しているそうです。
従って、「無期限でいつ終わるか分からない。かつデモに参加していないスタッフもいるので彼等が出てくれば、一部だけは開ける。どの程度開けるかは出勤する数によるので日によって変わる」ということですが、主だった絵はなかなか見られないようです。


それでもトイレ利用に何度も入場し、建物の前にあるトラファルガー広場を眺めたり、近くのパブでビールを飲んでしばらく散策し、そうするとまた催して美術館のお世話になりました。

建物の前に大道芸人が余興をやっていました。
日本でもこういうことをやる人がいるかどうか分かりませんが、頭が悪い私には、彼がどうして支えも無いのに立っていられるのか、さっぱり分かりません。