今年も「メサイア」、「エコノミスト」誌の2017年の「Country of the Year」は?


1. 2017年も本日で終わります。

(1)皆さまは年末をどのようにお過ごしでしょうか?
私であれば、変わり映えせず、忘年会が少し(恒例で二子玉川高島屋内の蕎麦屋にも行きました)と、年賀状書き、「メサイア」と「墓参」でしょうか。
メサイア」は7年前までは京都で「オール同志社」を聞いていました。
その後、東京の青山学院大学での「オール青山メサイア」に行くのが今年で6回目です。


(2) 曲の終わり近く、「トランペットが鳴り響く」というバスのアリアの後、トランペットの独奏が2分以上続き,この夜の花形です。このところ女子学生が吹くことが多く、素人なりに懸命に吹いているのが可愛らしく例年、大拍手を浴びます。

オール青山は、今年はオケのコンサート・マスターも女子学生2年生でした。
いいことだと思います。
それにしてもクリスチャンは1%しかいないという日本で、この時期「メサイア」はまことに人気があります。
これもいいことだ、と私は思います。別にクリスチャンでなくても、1年に1日ぐらいキリストという存在を意識してもいいのではないか。数日後には、1年に1日、日本の神様を意識するにしても・・・・


2. 二人で墓参もしました。私の方は小平霊園で、連れ合いの実家は谷中霊園に接する天王寺です。

天王寺は、お参りのあと谷中銀座の古い商店街をあるき、「おしるこ」で身体を暖めました。

年末の寒い平日だというのに、外国人の観光客がけっこういて、お店を覗いていますが、最近は天王寺の境内にもいて、大仏様の写真を撮ったりしています。
異国から来て、生涯に1度ぐらい、京都の観光寺院とは違った、普通の・小さなお寺を歩いてみるのも、いいことだと思います。

3. ということで、2017年の外出も一昨日には終わり、あとは自宅でゆっくり過ごしました。タイム誌とエコノミスト誌もぱらぱら眺めました。

(1)  タイム誌恒例の「2017年、今年の人(Person of the Year)」はご承知の通り、「沈 黙を破った人たち(The Silence Breakers)」ですが、これはお正月にゆっくり読むことにして、
エコノミスト誌の年度最後の12月23日号は、社説で「今年の国(Country of the Year)」
を選びます。

タイム誌の真似かどうかは分かりませんが、始めたのは2013年と新しく、過去には以下を選びました。

2013年―ウルグアイ
2014年―チュニジア
2015年―ミャンマー
2016年―コロンビア

判断基準は、国の大小や政治力・経済力・文化力・幸福度などではなく、「この1年間で、目立って良くなった国、世界を明るくさせた国」で選ぶそうです。
「今年いちばん好感が持たれる国(Most favored nation)は?」とも書いています。
例えば、昨年のコロンビアは、南米で最後の大規模な紛争と言われる、半世紀以上におよぶゲリラ革命軍と政府との内戦の和平合意が成立したことを評価したものです。


(2)もっとも同誌は、2015年のミャンマーを「間違いだった」としています。

「5年前にはまだ悪辣な独裁国家だったこの国は、選挙でアウン・サン・スー・チーの党が総得票の77%を獲得した。強大な権力を握る軍隊は居直ろうと画策しているし、これからの困難は十分予想される。
しかし、民主主義に似通った体制への移行は誰もが予想されたよりずっと早く実現したといえる。」
これが選んだ理由ですが、その後、ご承知の通り「ロヒンギャの悲劇」が明らかになって、国際社会から厳しく批判・非難されています。
エコノミスト誌は、判断の過ちは認めていますが、「2015年の時点では明らかでなかった」とあまり反省する論調ではありません。


4.それでは2017年の「カントリー・オブ・ザ・イアーは?」
エコノミスト誌は「フランス」を選びました。
理由は、40歳の若い大統領エマニュエル・マクロンの登場です。
(1) 新鮮――政治経験に乏しく、伝統的な政党からの支援もつながりもない、もと銀行員が、新しい政党を立ち上げて、同じような候補者を政界に進出させて、古い体制を打ち破ったこと。
(2)希望――外からの多様な人々や物資や考えに「オープンで寛容」なフランスを掲げて、移民やEUを敵視する国民戦線・ルペンを国是から退けたこと。
(3)改革――いままで不可能だと思われていたフランスの悪弊(汚職、労働者にあまりに有利な労働法)の改革へ踏み切ったこと。


エコノミスト誌は以上3点をあげて、「現在、開かれた社会と閉じた社会との争いが、もっとも重要な政治路線の対決である。フランスはまさにこの対決に直面し、“跳ね橋を上げて閉じようとする人たち(drawbridge-raisers)の主張を打ち負かした」と指摘し、「端倪(たんげい)すべからざる国(Formidable Nation)」と評しています。

5、面白いと思ったのは、フランスの他に候補にあがったのは、
バングラデッシュ(ロヒンギャの難民を受けれている)」と「アルゼンチン(財政均衡に真剣に取り組み始めた)」の2国ですが、
フランスと最後に決戦になったのは「韓国」です。

私は韓国の知識はあまりなく、日本の報道もどちらかと言えば「負の側面」を取りあげる傾向があるように思えます。
エコノミスト誌が2017年の韓国を評価する理由の1つに、北朝鮮の挑発的な・危険な(そしてアメリリカの感情的な)言動に対して、韓国が「冷静に・上品に(calm and grace)」に立ち向かっていると評していることに興味を持ちました。


6.日本は、2018年には、「国民により希望を与え、世界を明るくさせるような国(a country that made the world brighter)」になるでしょうか?

それでは、皆さま、良いお年をお迎えください!